異世界のスマホが導く、最強のボケコンビ
ウチの名はアイル。
いつか天下を取る女。
今どきのスマホのくせに、AI戦闘アバターにはならんし、どこか人間っぽいなとは思ってたけど……。
まさかのビンゴや。
賞金でも欲しいくらいやな。
でっかいネズミのぬいぐるみとか、ええな。
「至高天界アルカナ・ヘブンは優勢に見えて、実はダークエルフの神に世界を巻き戻され、どんどん追い詰められてるんです。しかも、我々には時を遡らせないというチートが……」
「へぇ、そうなんか?」
「ええ。不思議なぐらい、敵が強くなるんです。だから、巻き戻るそのタイミングで誰かを連れてこようってなったんです」
「なるほどな。それで、シルヴァーナたちと戦わすつもりやったんか」
「ところが、女神とアイルを繋ぐ魂そのものが断ち切られてしまったんです……向こうの手に落ちるくらいならと、急いで転送して今に至るのです」
「で、ウチはどうすればええんや?」
「……もう自由です。恐らく……」
タキオンのその言葉に、ニヤリと笑った。
「ウチはな、この世界で天下を取ろうと思ってる。力を貸してくれへんか?」
その瞬間、スマホがピカッと光を放った。
光が収まると、そこには銀色の髪を持つ少年が立っていた。すらりとした長身、そして知的な瞳でウチを見つめている。
少年は何事もなかったかのように、静かに言った。
「あなたの道は、私が切り開きます」
彼の手には、いつの間にか一本の杖が握られていた。
ウチはすかさず本心を伝えた。
「お前の担当はボケやから、余計なことせんといてくれ」
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