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リセット魔法で弾かれたウチ、助けてくれた女神が黒幕の仲間だった

 ウチ、アイル。

 ちょっとだけ人に言えん過去を持っとる女や。

 女神リュミエルの転送魔法の光に包まれたウチの意識は、過去の記憶の底へと引きずり込まれた。遠くて、でも鮮明な、もう一つの人生の記録。



 西暦2200年代、日本。


 空を突き刺すような巨大な塔が全国に現れ、人々の生活は根底から変わった。塔から現れる魔物と人間との戦いは日常となり、恐怖と混乱が街を覆っていた。ウチらはそんな中で、生きる術を必死に探していたんや。


 政府は「能力開発プログラム」を導入し、国民全員がスマホ型デバイスでスキルを習得する時代になった。脳と端末を直接リンクさせ、誰もが自分の力で戦える――そんな世界が、当たり前になってしまった。


 ウチは大阪に拠点を置く《オオサカ・ユナイテッド》のスプレイヤー。スマホで戦う人間のことや。長距離射撃が得意で、衛星を撃ち落としたこともあるんやで。……まあ、そんな話は置いといて。


 あの頃、大阪城では「夏の陣」が激しく動いていた。裏切りと戦いの連続。ウチらは泥まみれになりながらも、命を削る思いで戦い抜いた。


 そして「冬の陣」が始まる直前、江戸城から白鳳ノエルが奇襲きしゅうをかけてきた。気まぐれで、敵か味方かよう分からん奴やけど、拠点の防衛ぼうえいシステムは全て無効化されていた。柳生十兵衛の剣士部隊と服部半蔵の忍び集団が学園内に侵入してくる。


 衝撃しょうげきおそい、仲間たちが次々に倒れていった。シルヴァーナ、ロウィン、ハルト、ルミナ、イツキ、リルヴァナ――みんな、ウチにとって大切な存在や。


 その時やった。

 最強のダークエルフ神、イブキが覚醒かくせいした。躊躇ちゅうちょなく、大魔法を唱えた――


「《アナザーチャンス・リバース》!」


 時間と空間が歪む。未来と過去が重なり合い、世界が渦を巻いた。魔法が収束すると、一つの世界が形を成す。だが、ウチだけは、そこには送られんかった。



 気がついたら、勇者・曹操の荷物持ちになっとった。絶望しかない毎日やったけど、そこに女神が現れて助けてくれたんや。……まさか、その女神が、前世でウチらの学園を襲った連中の黒幕の仲間やったなんて、誰が想像できるやろな。


 ロウィンとシルヴァーナに再会した時、胸がぎゅっとなった。前世で共に戦った仲間たち――散っていった人たち――その面影が目の前にある。でも、シルヴァーナの剣はウチと女神をつなぐ魂の回廊かいろうを断ち切った。


「ウチは……どうなったんや?」


 体が粒子となった今、ウチの意識はどこにあるんやろう。

 リュミエルの言う通り、ウチは彼女のモノになってしもたんか?

 ロウィンの凍りついた顔が、頭から離れへん。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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