異世界中華料理スタジアム――自由の鍋と制御不能の傲慢
ウチ、アイル。
怒りに燃える究極の狩人や。
転送光が収束した場所は、無数の巨大な鍋が連なる、異世界「中華料理スタジアム」やった。
熱気が立ちのぼり、油とスパイスの香りがウチを包む。
「ちっくしょー! ええところで邪魔しよって!」
ウチは中華菜刀を地面に叩きつけ、怒鳴った。
先ほど完成させたばかりの『自由の法則』が、沸騰したまま体内で渦巻いとる
「なんやねん、あの暑苦しい張飛は! ウチの最高のテイスティングの時間を奪いやがって!」
ドクロスマホが、脳天気な電子音で煽る。
『カッカッカッ! マスター、怒りは最高のスパイスですが、今のマスターの『自由の鍋』には、すでに『憤怒』のダシが入っています! 同じスパイスの重複は、料理のバランスを崩しますよ!』
「うっさいわ! ウチの料理は、そんな安っぽいスパイスとちゃうから、いつでも黄金の味や!」
周りを見渡す。
大量の中華鍋の間で、料理バトル勢が食材の山を手際よくさばいていた。
「ここは……『裏・龍門点心街』やな」
視線は、食材の山のひとつに吸い寄せられた。
そこにあるのは、業火で焼かれた金剛石のように硬い、無骨な黒い肉の塊。
立ち上るオーラが、半端やない。
「あれは……張飛の分身が生み出した、『制御不能の傲慢』やないか!」
胸の血が、熱く沸き上がる。
ドクロスマホが甲高い警告音を鳴らした。
『マスター! 復讐のスパイスとして最適!』
「ウチの鍋はもう誰にも真似できへん! 宇宙一自由な味にする!」
その瞬間、全身から噴き出す麻辣オーラが、スタジアムの熱気を遥かに超え、肉塊に襲いかかった。
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