表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

158/218

自由の法則は、四種の苦味で完成する

 ウチ、アイル。

 後悔、憤怒、そして孤独という、最高の苦いダシで満たされとる。

 天空竜宮城の石畳に、偽りの関羽だけが残った。

 死神少女の光を吸い込んだ中華菜刀が、紅い光を放ちよる。


「お前の番や、見せかけの忠義者!」


 ウチの目が大きく開いた。


 関羽は青龍偃月刀せいりゅうえんげつとうを構え、目の前に立ちはだかった。

 そこには、どこか冷たく、緊張をはらんだ空気が漂っとる。


 偽りの関羽が、静かに笑う。


「フフフ。流石はゴッドミシェロン。役立たずの『残骸ざんがい』どもを、ものの数分でダシにするとは」


「その通りや。最高の食材は、手際よく調理せんと、鮮度が落ちるからな」


 ウチは中華菜刀の炎を、さらに高めた。

 三種の感情が混ざり合い、熱が全身から噴き出す。


 偽りの関羽は、その姿を前にしても動じへん。


「私は法則ルールの最深部に巣食う、最も扱いにくい『皮肉』そのもの」


 ドクロスマホが、甲高い電子音を立てて警告する。


『マスター! 偽関羽は、法則の隙間で増殖する、『自己欺瞞じこぎまんのスパイス』です! その忠義は、その本質から逃れるための飾りですよ!』


「なるほど! 本物もそういうことなんか」


 中華包丁を突き出し、やりの構えを取る。


「ウチの料理に、逃げ場なんて作らせへん。最高の料理人っちゅうのは、素材がどんな言い訳を並べても、芯にある真実だけを抜き取って調理するもんや!」


 偽りの関羽が、一歩踏み出した。

 その足音が、忠義の重さなのか、偽りの重さなのか、判断しがたい響きを立てた。


「貴様の飢えは、『自由』という名の虚しい幻を追いかけているだけ」


「ほざけ!」


 ウチは怒りで、中華菜刀を天に掲げた。

 感情の渦が、天空竜宮城の闇を引き裂く。


「お前の歪んだ忠義を、『味わいのあるスパイス』にしたるわ!」


 偽りの関羽が、青龍偃月刀を一閃した。

 それは、重厚な忠義の念と、虚しい皮肉の念が絡み合った、恐ろしい斬撃ざんげきやった。


 ウチは、真っ向からその斬撃を受け止める。


 キンッッ!!


 爆発的な金属音と、感情の熱が衝突する火花が、城内全体にとどろき渡る!


 衝撃波で、関羽の荘厳な髭と鎧が脆くも霧散し、中から、濃いピンク色の光が溢れ出した。それは、忠義を演じることで逃れようとした、純粋な『自己アイデンティティ』の光。


『マスター! これこそが、偽りの忠義の下に隠されていた、最高の「脱却のタレ」です!』


「食らうたる!」


 ウチは、その光を中華菜刀でき集め、三種のダシが煮えたぎる鍋の中へ、一気に吸い込んだ。


 ゴオオオオッ!


 後悔、憤怒、孤独、そして、偽りの忠義の奥にあった純粋な自己。

 四種の感情が一つに結合し、ウチの全身の神威の器が、今、究極の「自由の法則」で満たされようとしていた。


 ドォォン!


 城内全体に光が広がる。


「これや! これが、ウチが求めていた、最高の法則の味や!」

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ