自由の法則は、四種の苦味で完成する
ウチ、アイル。
後悔、憤怒、そして孤独という、最高の苦いダシで満たされとる。
天空竜宮城の石畳に、偽りの関羽だけが残った。
死神少女の光を吸い込んだ中華菜刀が、紅い光を放ちよる。
「お前の番や、見せかけの忠義者!」
ウチの目が大きく開いた。
関羽は青龍偃月刀を構え、目の前に立ちはだかった。
そこには、どこか冷たく、緊張を孕んだ空気が漂っとる。
偽りの関羽が、静かに笑う。
「フフフ。流石はゴッドミシェロン。役立たずの『残骸』どもを、ものの数分でダシにするとは」
「その通りや。最高の食材は、手際よく調理せんと、鮮度が落ちるからな」
ウチは中華菜刀の炎を、さらに高めた。
三種の感情が混ざり合い、熱が全身から噴き出す。
偽りの関羽は、その姿を前にしても動じへん。
「私は法則の最深部に巣食う、最も扱いにくい『皮肉』そのもの」
ドクロスマホが、甲高い電子音を立てて警告する。
『マスター! 偽関羽は、法則の隙間で増殖する、『自己欺瞞のスパイス』です! その忠義は、その本質から逃れるための飾りですよ!』
「なるほど! 本物もそういうことなんか」
中華包丁を突き出し、槍の構えを取る。
「ウチの料理に、逃げ場なんて作らせへん。最高の料理人っちゅうのは、素材がどんな言い訳を並べても、芯にある真実だけを抜き取って調理するもんや!」
偽りの関羽が、一歩踏み出した。
その足音が、忠義の重さなのか、偽りの重さなのか、判断しがたい響きを立てた。
「貴様の飢えは、『自由』という名の虚しい幻を追いかけているだけ」
「ほざけ!」
ウチは怒りで、中華菜刀を天に掲げた。
感情の渦が、天空竜宮城の闇を引き裂く。
「お前の歪んだ忠義を、『味わいのあるスパイス』にしたるわ!」
偽りの関羽が、青龍偃月刀を一閃した。
それは、重厚な忠義の念と、虚しい皮肉の念が絡み合った、恐ろしい斬撃やった。
ウチは、真っ向からその斬撃を受け止める。
キンッッ!!
爆発的な金属音と、感情の熱が衝突する火花が、城内全体に轟き渡る!
衝撃波で、関羽の荘厳な髭と鎧が脆くも霧散し、中から、濃いピンク色の光が溢れ出した。それは、忠義を演じることで逃れようとした、純粋な『自己』の光。
『マスター! これこそが、偽りの忠義の下に隠されていた、最高の「脱却のタレ」です!』
「食らうたる!」
ウチは、その光を中華菜刀で掻き集め、三種のダシが煮えたぎる鍋の中へ、一気に吸い込んだ。
ゴオオオオッ!
後悔、憤怒、孤独、そして、偽りの忠義の奥にあった純粋な自己。
四種の感情が一つに結合し、ウチの全身の神威の器が、今、究極の「自由の法則」で満たされようとしていた。
ドォォン!
城内全体に光が広がる。
「これや! これが、ウチが求めていた、最高の法則の味や!」
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