龍とペガサス! 天空竜宮城との遭遇
ウチ、アイル。
借金一億五千万両の負債者や。
夜の蜀の都大路を背に、ペガサスは天高く舞い上がった。
隣には、紫色の鱗を纏った孔明龍が寄り添って飛んどる。
「ふぅ……」
炎と水が渦巻く「神域の赤壁」の裂け目は、夜空に不気味な光を放っとるだけ。
その旅路は、想像以上に長いらしい。
「なんや、このペガサス、乗り心地悪いな。揺れるんや!」
『ゴッドミシェロン。このペガサスは、貴女の神威と共鳴し、最も速く飛べる『自由な速度』を選んでいます。揺れは、貴女の心の乱れです』
孔明の声が、龍の巨体の奥から響く。
「誰のせいや! お前が勝手に一億五千万両の借金背負わせたせいで、ウチの心が乱れとるんやろ!」
ウチはペガサスの首筋をドンッと叩きつけた。
しかし、ペガサスは気にも留めず、夜空の星屑を纏って優雅に滑空を続ける。
その冷めた反応が、ウチの苛立ちをさらに煽る。
「なあ、孔明。あんた、なんで龍なんかになっとるんや?」
ウチは、龍の巨大な鱗を好奇心いっぱいに撫でた。
夜露に濡れた石のように冷たかった。
『フフフ。この世の法則を動かす者たちが集う「神域」へ向かうには、この姿が最も効率がよろしい。私という存在は、「知恵の法則」そのもの。龍は、その法則を自在に動かすための「最高のコンテナ」です』
「……あんたは、自分の知恵を詰めたタッパーなんか?」
『ご想像にお任せします。それよりも、ゴッドミシェロン』
孔明龍は、前方の巨大暗黒雲に注意を促した。
「なんやあれ? 雲上要塞ジークラウドか?」
『幻の天空竜宮城。旅立っていきなり、出会えるなんて、アイルはやはり持っておる』
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