謀略の夜明け――孔明の一手
ウチの名はアイル。
気ままにやっとる。
「いやはや、お見事ですな」
その言葉とともに、孔明の使者がくるりと回転した。煙がすっと消え、真の姿が現れる。
「「……孔明!?」」
董卓と呂布が同時に声を上げる。顔には驚きと、わずかな怒りが浮かんでいた。
ウチは完全に気づかなかった。こんなん、絶対ありえへん!
なんでスマホ、黙っとったんや?
画面に小さく文字が浮かぶ。
『孔明の擬態スキル、チートです』
『全機能、一時ロック』
その横には、ちくわをかじる孔明のデフォルメ画像。
「えっ……この状況で、ちくわって……! せめて唐揚げとかちゃうんか!」
思わずツッコミを入れると、銀狼隊を率いるシルヴァ・ノルディックが無言で跪いた。
「聖騎士団が最も厄介でしたが……まさか、あんな方法で従えるとは……」
ウチは≪神命変化≫を解除し、元の姿に戻る。
城の天守に据えられた戦鐘が、一斉に鳴り響く。
ゴーン……ゴーン……。
鐘の振動が胸にまで届き、心の奥底を揺さぶる。
黒鎧に身を包んだ将が、城門の奥から威風堂々と現れた。
「我こそは洛陽城主、曹操なり!」
何が起こってるんや……?
頭がグルグル回るわ。目の前の光景、全てが理解できひん……。
孔明はそんなウチの混乱など気にせず、ぽつりと呟く。
「我が策に抜かりなし。袁紹は曹操に全てを押し付け、城の勝手口から逃げたのです。今頃、趙雲子龍が捕らえているはず」
「な……なんやて……!?」
こいつ、マジでヤバい。
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