表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

138/168

魂を救う料理―― ゴッドミシェロンの覚醒

 ウチ、アイル。

 こんなところで終わられへん。

 パキィン!


 神罰のエキスが砕け散り、七色の毒の液体がウチの顔面に飛び散った。

 視界は、混沌に染まった。


「ふむ、これで終わりか、アイル。実に見苦しい敗北だったな」


 Kは優雅に調理を続けながら、勝利を確信した。


 七色の液体を浴びたウチは、全身から力が抜け落ちていくのを感じた。


 あかん、もう立てへん……!


 魂が溶解し、理性が快楽の波に飲まれ、虚ろな幸福へと沈んでいく。


 その時、頭の中に孔明の嘆きが響き渡った。


『アイルを縛る、その『愛』の 未熟さでござる!』


 未熟さ……?

 誰かのために、誰かに勝つために、誰かに認められるために――


 そうや。

 ウチの「愛」は、常に誰かとの関係性に依存していた。

 ライバルKの存在、張飛の食欲、孔明の期待。

 その一つでも欠けると、ウチの料理は不安定になる。


 それは、究極の料理人として、誰かを救う神の料理にはなり得へん!


かせ……。ホンマに、そうやったんやな」


 ウチは、七色の毒に濡れた指を、静かに調理台の上のスパイス「究極の創造の原点」と触れさせた。


 次の瞬間、全身から、麻辣マーラーの熱気でも、毒の快楽でもない、純粋な白いオーラが噴き出した。


 ただ、全てを許し、満たし、創造する光。


 真の『慈愛コスモス』の目覚め!


 七色の結界を破壊するほどの炎を吐き出した直後やけど、料理魂ソウルは、永遠の静寂のように穏やかやった。


 ウチは、Kに向かって笑った。


「あんたの料理は、理性を破壊して意志を奪う。でも、ウチの料理は、意志を失った者に、もう一度生きる喜びを与えるんや」


 全身を包んでいたオーラが、一瞬にして「愛と創造の炎」へと変化した。

 炎の色は、真紅でも七色でもなく、全ての色彩を内包した、虹色の白。


 グォオオオオオ!


 割れたビンから飛び散った七色のエキスが、ウチの炎に触れると、純粋な創造のエッセンスへと変質していく。


 その純化されたエキスを、調理中の麻婆豆腐へと優しく振りかけた。


『ミシェロンシェフ・エクストリームモードから、ミシェロンシェフ・慈愛コスモスモードへ移行します!』


 ドクロスマホの電子音声が、闘技場全体に宣告された。


「ヒャッハー! 見ろ、義兄! 慈愛コスモスだと!? オレ様の食欲に目覚める時間がきたぜ!」


 張飛は、Kの料理で虚ろな幸福に沈んでいたにもかかわらず、その白い慈愛の香に触れた途端、瞳に熱狂的な光を取り戻した。


 巨大な観客席が、雪解けのように一斉にざわめいた。

 彼らは今、理性を破壊する「静寂の幸福」から、自らの意志で歓喜かんきする「生きた喜び」へと解放された。


「ウチの料理は、あんたの『静寂と孤高』を超える。愛は、縛りやない。全てを許し、統合する力や!」


 ゴッドミシェロンになったウチの本気を舐めんなよ!

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけた方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。


 どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ