火を吹く料理の魔神、爆誕!
ウチ、アイル。
ライブ会場入り。
魔導馬車が轟音を上げて停止したのは、蜀の都・成都の城門前やった。
「ヒャッハー! 着いたぜ、料理人! ここがライブ会場 (バトルステージ)か!」
張飛が馬車の屋根を突き破り、蛇矛を空に突き立てて咆哮する。
城門をくぐると、南中の瘴気よりも遥かに濃密で、全身の毛穴を抉るような刺激的な熱気に包まれた。
「うわぁ……なんやこの匂い! 山椒の痺れる麻と、唐辛子の灼熱の辣が、空気そのものに溶け込んどる!」
ウチの鼻は、その瞬間、最高の警報を鳴らした。
辺りには、真っ赤なスープの火鍋屋や、香辛料が積み上がった屋台がひしめき合っとる。
「さすがは天府の国、美食の都でござる。この街の熱気と刺激が、食材と料理人の魂をさらに高める」
関羽は団扇で顔を覆いながらも、その瞳は街の喧騒を静かに観察している。
ウチは立ち止まられへん。
この街の熱量が、昨日虹龍から受けた「純粋な理」の衝動を増幅させる。
「よし! この麻辣地獄で、ウチのミシェロンシェフとしての覚悟を、火を吹く料理の魔神となって証明したる!」
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