毒と愛、その先へ。 ~虹龍が教えてくれた、ミシェロンシェフ進化の条件~
ウチ、アイル。
ビビッときた女。
虹龍は巨大な翼を広げ、 地上の存在を一瞥することもなく、瞬く間に天へと飛び去っていった。
張飛は、獲物を取り逃がしたことに気づかず、虚ろな表情で空を見上げている。
関羽はすぐに馬車を停止させ、団扇でパタパタと張飛の顔を叩いた。
「貴様のハイテンションゲージが臨界点を超えて宇宙に飛んでいったでござる!」
「ち、ちげーよ! 今、最高の悟りを開いたところだ!」
ウチは、顔を真っ赤にして興奮のあまり、ラボの調理台へ飛び込んだ。
わかった!
神の肉は、最高のスパイスと一体なんや!
ウチのレシピには、毒と愛だけではダメや。
神肉の持つ純粋な創造の理を、スパイスとして加えなアカン。
神罰のエキスを収めたビンを強く握りしめ、新たな決意を固めた。
「虹龍の肉をゲットする前に、さっきの蒸気と同じ純度のエキスを、もう一度抽出したる!」
張飛はすぐにいつものハイテンションに戻り、蛇矛を振り回して叫んだ。
「ヒャッハー! 次のライブ会場、成都に着いたら、まず虹龍をブッ倒す準備だ! 料理人、最高のレシピ、期待してるぜ!」
「上等や! ウチの究極の進化、とくと味わってみい!」
馬車は再び唸りを上げ、ライバルKとの決戦の舞台、蜀の都・成都を目指して、北へと加速するのだった。
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