スマホアプリで呂布を攻略!? 洛陽騒乱、始まりの一撃
ウチの名はアイル。
最強をテイムする女、ここに参上。
朝陽が洛陽の街を照らす中、ウチはスマホに声をかけた。
「行くぞ、エンデヴァー!」
「いい加減に名前を覚えて! 私はエクセレント!」
前方、巨大な錬金馬にまたがる男が地を踏み鳴らしながら近づく。
「貴様がアイルか? 謀反の罪で処刑する」
呂布――その名だけで、空気が震える。
ウチは相棒のスマホ、いや、エン…エンペラ…なんとかを握りしめる。
「もうええわ! エクセレントや!」
スマホが再びツッコむ。
「謀反? 何のことか知らんけど、洛陽の市民を盾にするやり方は気に入らん」
画面に呂布の情報が映る。
呂布奉先
戦闘力:測定不能
スキル:
・【無双】圧倒的な武力で敵を粉砕
・【鬼神】恐怖で士気を低下
弱点:裏切り癖あり
「裏切り癖って、アンタもなかなかやな」
「フン、余計な知識で俺の強さを測ろうとは――愚か者め!」
呂布は方天画戟を構え、一撃が地を這う雷鳴の如く炸裂。
ウチは咄嗟にかわす。衝撃で建物が崩れ落ちた。
「……ちょ、マジかよ……」
息をのむウチ。
「どうすればええんや!」
「せや、アイツの弱点は『裏切り癖』や。より良い条件に惹かれる本能を持っとる」
ウチはエクセレントに丸投げする。
「次の主は、貴様を正当に評価してくれるはず!」
画面が光り、一つのアプリが起動する――『英雄召喚』。
注意書きが表示される。
「英雄召喚は使用回数制限あり。スマホがロックされる」
光の中から現れた巨漢――董卓。不敵な笑みを浮かべる。
「ハハハ! 呂布よ、袁紹も曹操もお前を裏切る。だが、わしならどうだ? この洛陽をやろう。并州までくれてやるぞ!」
呂布の目が見開く。方天画戟を握り直すが、指先がわずかに震えた。胸の奥で迷いが浮かぶ。
(――孤独は恐れぬ。ただ、より良い条件に従うだけ――)
董卓の声が胸を突き刺す。
「わしは、貴様が最初に裏切った主人よ!」
「常に己の武を評価してくれる主人を求めた。しかし、誰一人信用できなかっただろう? 今日こそその孤独を終わらせてやる!」
街全体が緊張に包まれる。方天画戟の衝撃で石畳が割れ、商人や傭兵、市民が逃げ惑う。赤兎馬の蹄音が響き、瓦が飛び、洛陽の内城まで戦の気配が広がった。
ウチは舌打ちする。
「はぁ……ウチが城ごと吹き飛ばした方が早いんちゃうか」
董卓はさらに条件を積み重ねる。
「袁紹が与えるものなどゴミ。わしなら、お前の望むものすべてをやる。さあ、どちらを選ぶ?」
呂布は胸中の迷いをぎゅっと押し込むと、ゆっくり方天画戟を下ろした。
「……ふん、面白い。この洛陽を、俺にくれるのか?」
「そうだとも!」
赤兎馬にまたがった呂布は、董卓と共に内城へ進む。
ウチは息をのみ、目の前の状況を見定める。
「さて、次に動くのはどいつや……じっくり楽しませてもらおか」
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