読めないレシピと南中行き! 張飛、お前が毒見役やったんか?
ウチ、アイル。
異世界最高峰の称号、ミシェロンシェフを目指す女。
『神殺しの食材調達 (ゴッド・キラー・レシピ)』を読んどる。
あかん、文字が読めへん。
イラストがあるから、なんとなく、ふわっとした感じでええやろ。
孔明とも連絡が取れへんし……。
パラパラとページをめくる。
ふと見ると、禍々しい岩山のスケッチと、そこから生える、異様に赤いキノコの絵が描かれていた。
「えーっと、これは……『岩窟天狗王のピンキーマッシュルーム』? 絶対ちゃうやろ」
張飛は琥珀の残骸をカチカチ鳴らしながら、横から覗き込んできた。
「おいアイル、この赤いキノコの絵、見覚えがあるぞ。たしか、南中の奥地にある『終末の岩塩鉱』。あそこは昔、創世神の血が落ちて、塩と鉄が混ざり合った『血晶石の山』になったと聞く」
関羽がライブグッズを片手に、冷静に補足する。
「その岩塩鉱の最も深い、常闇の底に、『神罰の灯茸』が生える。レシピの注釈には『神々の嗅覚を麻痺させ、食した者に世界が虹色に見える幻覚をもたらす』でござる」
「虹色……って、張飛が今、体験しとるやつやん!」
ウチはドクロスマホの地図を起動。
ピンが立ったのは、成都から遥か南の、真っ赤に塗られた危険地帯だった。
「よし、食材調達に行ってみよか。まずは、『終末の岩塩鉱』や!」
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