萌えにゃんを呼べ! 異世界料理トーナメント決定!
ウチ、アイル。
世界を救うより、毒タコのダイナマイト玉を作ってる時の方が、なんか命懸けな気がする。
ゴウの顔が、蛍光塗料でもぶっかけたように緑色に変わった瞬間――厨房の空気が完全に凍りついた。
静寂。
屋根の九官鳥すら息を潜めとる。
「カハッ……カハッ……」
炎帝のゴウが、痙攣しながら、口の端からドロッと緑色の液体を垂らす。
……アウトやん、どう見ても。
子龍が、メイド服の襟を直しつつ、冷たい目で言い放った。
「即死でなくとも、毒が回れば失格です。女。残飯係、決定ですな」
ちょ、ちょっと待て!
これからが本番やっちゅうねん!
黄金のドクロスマホを握りしめると、ゴウの体がビクンッと大きく跳ねた。
え、顔色戻った!?
さっきまでゾンビみたいやったのに!
そして、ドス黒いオーラどころか、まばゆい虹色のオーラが噴き出した!
「バ……バカな……何層もの味が、次から次に押し寄せる……! これは、食(蜀)の五次元か……!」
うわ、覚醒した!?
ゴウ、もはや別人や。
どこぞの料理バトル漫画から出てきた神様モード突入やん!
さらに残りのダイナマイト玉を掴み、次々と胃袋に放り込む。
虹色のオーラが爆発的に膨れ上がる。
子龍の顔が引きつった。
この状況、もはや料理勝負どころちゃうで。
「萌えにゃん、急げ!」
子龍が、横のネコミミメイドに耳打ちした。
「爆炎将軍・張飛と、ミラクル聖少女・ゆかりんを厨房に! ――異世界料理トーナメントは、御前試合に移行する!」
ゴウの虹色オーラが「ピカッ!」と閃光を放つ。
宮廷の厨房は、瞬く間に――食の格闘技場へと変貌していった。
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