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【激ヤバ厨房】メイド隊長・子龍の冷たい宣告「ここが貴様の墓場だ」
ウチ、アイル。
子龍に連れられ、広大な宮廷敷地内を歩く。
「ええ天気やな……って、あかん、気が抜けん」
子龍は無言で、なんか様子がおかしい。
フリにも全然乗ってこうへん。
白く整えられた砂利道と、まぶしい噴水の光が、余計に焦りを際立たせる。
下女たちはせっせと行き交い、膝を曲げて低く頭を下げる。
掃除する者、花を整える者、食器を運ぶ者――みんな忙しそうやけど、チラチラとこっちを見とる。
「定番やけど、こういう所から情報を集めなあかんな……」
貴族たちは豪華な衣装に身を包み、庭園をゆったり歩く。
金糸や刺繍が光って、高貴さは遠目でもバッチリわかる。
宮廷の建物も威風堂々。
屋根の漆喰と瓦のコントラストが美しく、通り沿いには門や回廊が連なる。
子龍がピタリと立ち止まった。
「さぁ、着いたぞ。ここが貴様の墓場だ」
お前、今、なんつった?
「おい、冗談でもそんなことを言うな。孔明さまの紹介だぞ」
厨房から怒鳴り声が響いた。
……これから何が始まるんやろ。
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