第66話:烏戈国危機
――3人称side――
兀突骨達が大急ぎで兵を掻き集めていた頃。
「伝令! 夜郎国からの10万の軍による侵攻を確認!」
「何っ!?」
そろそろ床に就こうと思っていた兀没卒は急いで布団から出た。
「それは本当なのかっ!?」
「はい! この目でしかと見ました!」
緊迫した様子で伝令が言う。
「くっ……! 急げ! 奚泥と土安を呼べ!」
そう叫んで兀没卒は鎧を着始めた。
数刻後。進乗(箇旧)の広場には約一万の人が集められていた。
「奚泥! 兵の集まりは?」
「兀没卒様。まだもう少し掛かります」
「そうか。ここで土安と共に聞いてくれ。儂に一つ案がある」
「何でしょう?」
「……お前たちは背後の森に潜んで奇襲をしろ。敵の視線は儂が惹きつける」
「なっ!? しかし……!」
「敵は儂の顔を知っている。影武者は務まらん」
「ですが……!」
土安は必死に止める。何故ならこれは実質国王を見捨てろと言ってるのと同義だからだ。
「……敵は2倍以上居るだろう。大打撃でも与えないと退いてくれそうにない。あとあの甥には伝令を送るなよ。無駄な心配をかけたく無い。まぁ伝令を送る人員すら惜しいがな」
笑えない冗談を言う兀没卒。
「やはり駄目です……! 兀没卒様をそのような目に遭わすことには……!」
「諄いぞ! これは命令だ!」
「「……御意」」
涙を呑みながら奚泥と土安は頷く。
「そうだな……。この戦いを終えたら成都にでも行ってくれ。兄者の息子がどうにかしてくれる筈だ」
兀突骨の成都での活躍は勿論烏戈国にも届いていた。主に発明品に関する情報だったのの、兀突骨がそれなりの地位に居ることは分かる。
「兀没卒様。私達二人は親が死んだ際に兀没卒様に我が子同然のように育てられました。それなのに親を見捨てることは出来ましょうか」
奚泥は尚も食い下がる。
「ならその最期の頼みとしてこれを聞き入れてくれ」
それでも頑なに意見を変えない兀没卒。どんな命令だろうがそれは主君の命令である。仕方無しに奚泥と土安は兵を集め終えた後、森林の中に潜むことになったのであった。
「……ふっ。甥よ。もう一度会えると思ってたのだがなぁ。兄者よ、兄者の息子を守りきれなかった儂を許してくれ」
そう言って夜空を見上げた兀没卒。彼が居る進乗(箇旧)に少しずつ不穏な足音が近づいていたのだった。
此処らへん、演義とか読んでないと誰やねんみたいな人名多いですよね…。兀没卒は忘れてるかもしれませんが主人公の叔父になっています。
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