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第63話:対象兵殲滅作戦

――1人称side――


 時は遡り一日目の夜。賈詡(かく)と兀突骨は地図を挟んで睨み合っていた。

 

「今日は象兵により大打撃を被りましたな……」

 

「あぁ。この戦い、象兵を如何に使うかが勝敗の分かれ目になると思う」

 

「ですが、そうなると敵の象兵は頭数だけでも自軍の2倍ほど有ります。明らかに不利な戦いになりますね」

 

 そう。端から象兵の数が違う以上、象兵同士をぶつけるという策は成立しない。そう考えて兀突骨は言う。

 

「あぁ。だから明日は象兵を出さずに歩兵だけを出そうと思う」

 

「何ですと!?」

 

「だって象兵の差が2倍ほど有るんだから、象兵を出したって気休め程度にしかならないだろう? それならいっそ歩兵だけを出した方がいいと思う」

 

「うーむ……一理有りますね」

 

「そこで明日は歩兵を使って敵の象兵だけを殲滅したい」

 

「象兵だけを? ふーむ……」

 

 少し考えるように賈詡(かく)が言う。

 

「誘い出せばいけますかね?」

 

「多分な。敵も今日の戦いで此方の歩兵や騎兵が精鋭揃いだというのは分かったはずだ。恐らく最初から象兵を前面に押し出してくるだろう」

 

「一度晒した手口を隠しておく意味は有りませんからね」

 

「あぁ。明日にはその前面に出ている象兵に歩兵が攻める振りをして撤退してもらう。そうすれば象兵を誘き出せる筈だ」

 

「しかしそう簡単に誘き出せるとは思えませんね。ここは部隊長だけに本当のことを伝えることにしましょう。そうすれば部下は本気で攻めるはずです。多少の被害は出るでしょうが仕方ありません。それで敵の象兵が殲滅できるとしたら安いものでしょう」

 

「えぇ……」

 

「そうですね、それでその後にはここか何処かの渓谷に誘き出して……」

 

「上から岩を落とすんだよね?」

 

「いいえ。岩だけでは恐らく足りません。ここは岩に加えて有りったけの矢を射掛けましょう」

 

「だ、だけどそうすると矢が足りなくなるのでは?」

 

「そんな物は象兵が殺られたあとにその身体から抜いて再利用すればいいのです」

 

「えぇ……」

 

 賈詡(かく)がかなり怖いことを言っている。正直怖い。

 

「あ、そうそう。敵の部隊長は出来れば捕縛しておきたい」

 

 思い出したように兀突骨が言う。

 

「それはまた何故?」

 

「象兵を5百頭も従えているんだ。きっと只者じゃない」

 

「なるほど……。では歩兵の部隊長は武にも秀でてる人が良いですね」

 

「そうだな」


 兀突骨と賈詡が、一緒に頭を悩ませる……までもなく、二人の頭の中にはとある人物の名前が思い浮かんでいた。

 

「それなら……」

 

「うってつけの人物が居るじゃ無いか!」

 

 かなり武に秀でていてそれでいて無茶な要求もこなしてくれそうな人物。

 

「「甘寧殿が!」」

 

 こうして甘寧の預かり知らぬところで甘寧に白羽の矢が立ったのであった。

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