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第58話:哀牢王との再会

初平3年(西暦192年)10月


 3万の軍勢を率いた俺はそのまま南下を始めた。何処から兵が湧いたのかは敢えて言わないことにしよう。ともかく2ヶ月間奮闘したお陰で、俺は辛うじてではあるものの軍勢を得ることに成功した。


 先ず初めに目指すのは雲南(昆明)である。昆明族の本拠地から真東に向かい、且蘭(貴陽)を落とすというのが賈詡(かく)の作戦だ。確かにそうすれば巧都(こうと)も迂回できる。また、夜郎(やろう)の北方には元々漢からの襲撃に備えた砦が幾つかある筈だが、それらも回避できるのだ。そう考えてこの作戦を採用したものの行軍の時間が遅くなってしまったのは否めない。本当は本国の危機なのだから今すぐにでも真っ直ぐ向かいたいのだが、それは賈詡(かく)に敵の罠に嵌まるような物だと止められた。うーん……一理どころか十理くらい有るから何とも言えない。


 まぁそんなことは兎も角として今俺はとんでもない数の軍を率いているのだ。ヤバい、今更だけど緊張してきた。


「義弟殿!敵はまだ居ないようだな!」


「義兄殿……。私達は味方の領内を歩いているんですよ?」


「あぁ、それもそうか。だがこうもやり甲斐が無いと意気込みが無くなってくるぜ」


 ……!そうだ、失念してた。現実世界なんだから士気が重要になるじゃないか!というかそれを考えたらウチの軍の士気は微妙だ。何とかして上げたほうがいい。


 ……のだが、どうしよう。手っ取り早いのが美味しい物を食べることなんだけど、3万人に振る舞うのは少し難しい。ここら辺は出発する前に準備しておくべきだったな。今更どうしようもない。


 そうすると次に思いつくのがエンターテイメントなんだけど……。あぁ、もう止めとこう。別に士気が低いわけじゃないんだ。次から対策することにしよう。士気がどうこうと言っても詰まるところ本国を守る戦いなんだから、少なくとも藤甲兵等からは逃亡者などは出ないだろ()


  色々と取り留めのないことを考えながら軍を進める。雲南(昆明)の集落が見える頃には既に俺も含めてヘトヘトになっていた。


「兀突骨殿!よくいらっしゃいました!」


 笑顔で哀牢王が出迎えてくれる。だがその笑みの目元は隈が出来ていて、数日間寝ずに準備をしていた苦労を感じさせる。


「哀牢王殿、先に行ったのではなかったのですか?」


「それがですね、昆明(くんみん)族全体で言えば12万人程の軍を出せる筈なのですがお恥ずかしいことに急なこと過ぎて兵が中々集まらず……。辛うじて4万ほど集めたのですがこれでは10万に敵うはずは無いと思って兀突骨殿と合流しようと考えていたのですよ」


「そうですか……」


 確かに2ヶ月で12万もの軍を集めるのは無理がある。というかその12万が漢のような常備軍ならともかく、殆どが1からの徴兵なのだ。間に合うわけがない。4万も集めた方が驚きなほどだ。


「仕方ありませんよ、哀牢王殿。きっと本国は叔父上が何とかしている筈です。私達は私達で敵の部隊を撃破することに専念しましょう」


「……あぁ、そうですな」


 申し訳ないような顔をしながら哀牢王は後ろを振り返る。そこには象を連れた男が一人立っていた。見るからに俺と同年代くらいだろうか。象が大人しく言う事を聞いているので象との間にかなり信頼関係を築いていることが分かる。


「紹介しますよ。ウチの倅の木鹿です」


「木鹿?」


「えぇ。兀突骨殿が藤甲兵を組んでいるのを見て自分も直属の兵を組もうと考えたようで……。今では毎日部下や仲間たちと村から少し離れたところで象と遊んでいますよ」


「オヤジッ! 俺は遊んでるんじゃない、象を使った最強の兵を鍛える為にやってるんだ! ウチの部隊にとってそんじょそこらの象兵なんてもう目じゃねぇよ!」


「木鹿。象兵なんか鍛えている暇が有ったらもっと奇抜なものを試したらどうだと何度も言っているだろう。蛇も虎も犀もこの地には居るじゃないか。なんで象なんかに拘るんだ」


「ふんっ! こんなに大きくて頼りになる動物が他に居るものか! しかもコイツらは皆賢いんだ!」


「ったく……。兀突骨殿、こんな奴ですが仲良くしてやって下さい」


 哀牢王が苦笑したように此方を向いて言う。ってか木鹿?うーん……どっかで聞いたことあるような……。


「象兵……はっ!?」


「どうしました?兀突骨殿?」


 試しに鑑定してみると木鹿大王と出た。特殊スキルに象兵とあるが例によって複写できない。というか象兵の木鹿と言えば木鹿大王じゃないか! なんで鑑定するまで気付かなかったんだ。何処に居るんだろうとは思っていたけどまさか哀牢王の息子だとは思わなかったな。


「あ、いえいえ、何でもありません。木鹿殿も此度の出陣に同行するのですか?」


「あぁ、俺もオヤジに付いていくつもりだ」


「そうですか。では木鹿殿、これからよろしくお願いします」


「……こちらこそ」


 こうして若き日の木鹿大王を連れて兀突骨一行は雲南(昆明)を東に向かうのだった。

すみません、此処数日立て込んでおりまして、少々、というかかなりクオリティが低い状態で公開してしまっている話が数話続く可能性があります。時間があり次第即座に改訂を入れさせて頂きます。読者の皆様にはご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。年度終わりに思った数倍の作業が入ってしまい、かつ無計画な筆者がそれを予測できなかったのが原因です。少なくとも予約投稿だけは切らさないように気をつけます…。


ブックマーク、☆ポイント、感想での応援ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
作者様が斬首されたら続きが読めなくなるから斬首ダメ、絶対。 そして木鹿大王(ショタの姿)と象兵参戦! 象なら多少の障害物も物ともしないぜ! ─── タイトルは誤字修正の対象にならないので、こちらで誤…
更新お疲れ様です。 此処で木鹿さんか!象は某無双ではちょっと使い辛かったですが、リアルの象さんは猛獣を追い払う位のパワーがある→味方としてきちんと動けるなら頼りになりそう。 内容に関してですが……や…
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