第44話:妻達の会談
「蔡文姫! 馬雲騄! 居るか?」
ウチの才女様たちを探して屋敷を回る。え? 尻に敷かれてるって? ソンナコトナイヨ。
そうそう、屋敷といえば今俺が仮住まいしているのは劉焉に与えられた所である。元々張魯の屋敷だったようで張魯が漢中に行ってからは空き家だったらしい。そこを一応仮住まいとして提供してもらったのだ。
「兀突骨様? いかが致しましたか?」
考え事しながら歩いていると部屋の中から馬雲騄が出てきた。
「いや、蔡邕殿の書を読もうと思って……」
「あら、そうですか。丁度中に蔡文姫が居るので入って下さい。そうそう、呂玲綺殿も来ていますよ」
「呂玲綺? あぁ、呂布殿の娘の?」
「えぇ、どうやら相談があるとのことで。今は3人で話をしています」
「あー……。そっか、邪魔したか?」
「いいえ。どちらかというと来てもらった方が話が早いので今からお呼びしようと思っていたところでした」
「お、おう? 分かった」
馬雲騄に連れられて部屋に入る。すると急に馬雲騄に止められた。え、入るんじゃないの?
「あっ、兀突骨様、ちょっと待って下さい」
「どうした?」
「壁の後ろで待っていてほしいのです」
「どういうこと?」
「中には蔡文姫殿と呂玲綺殿が居るじゃないですか。少しは配慮って物が無いんですか?」
「あ、あぁ、そうか。分かったよ……」
「ではそこの壁の裏で待っていて下さいね」
そう言って馬雲騄は一人で仕切りのに中に入る。どうやらこの仕切りのことを"壁"と呼んだらしい。中から蔡文姫たちの声が聞こえてくる。
「……で? どうしたいのよ、あんたは」
「ええと……ボクは出来れば伝えたいんだけど……。ダメかな?」
「まだ話が纏ってないんですか?」
「あ、馬雲騄! どこ行ったの?」
「いえ、少し変な感じがしたもので」
「ん? なんか居た?」
「いいえ、小さな鼠でした」
「なら別にいいわ」
……俺って鼠に似てるのかなぁ。
「で、呂玲綺殿は結局どうするんです?」
「え、えと……。と、取り敢えずはいつか話せたらなぁって……」
「いつかじゃダメでしょ! アイツは鈍いんだからさっさと言ったほうがいいわよ!」
「そ、そういうもんなのかな?」
「ごめんなさい、今までの話を整理させてもらいますよ? まず呂玲綺殿は兀突骨様に嫁ぎたい、と? それで私達のところに相談しに来たってことでいいんですよね?」
「う、うん、そうだよ」
「そうですかぁ、呂玲綺殿も兀突骨様が好きなんですかぁ!」
「ちょっ、ちょっと馬雲騄、声が大きいわよ! 外に聞こえちゃうじゃない!」
「あ、ごめんなさい。そうでしたね。つい大きな声になってしまいました」
「は、恥ずかしいんだから大声で言わないでよ……」
「はいはい。大声で言わないと聞こえないと思ったんですよ」
「え?」
「いえ、何でもないです。それでは話を続けましょうか」
……え? 今なんて言ってた? 今の話からすると、まさか呂玲綺が馬雲騄たちと話をしてたのって3人目のお嫁さん候補ってこと? は? いや俺が知らないところで何の話してんの?
呂玲綺を改めてよく見てみる。流れるようなショートカットの銀髪に陶磁のように白い肌。赤い服装に赤い頭飾りが身体の白さによく映えている。率直に言うと綺麗だ。もし嫁として来てくれるのだったら両手を上げて喜ばれるような類に入るだろう。いや、俺もそんな選べる程偉い立場に居るわけじゃないけどね? でも今呂玲綺が兀突骨の所に嫁ぎたいって言わなかった? え? そんな事ある?
ゴトッ!
「ん? なんの音?」
やっべ、選りにも選って花瓶が……!
「ちょっと見てくるわよ?」
「う、うん」
倒れた花瓶の音に、蔡文姫が仕切りを開ける。そして、残念ながら仕切りを取られると隠れる場所はどこにもない。
「キ、キャァァァ! この変態! いつから会話聞いてたのよ! 出てけ!」
「え、え?」
「あら、兀突骨様いらっしゃったのですね。そうすると……さっきの会話も聞いておられたのですか?」
おい、蔡文姫に怒られるのはわかるけど馬雲騄に怒られるのはおかしいだろ。白々しいな。
「……!」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ……!?」
「出てけー!」
何が何だか分からないまま、俺は部屋から叩き出されてしまったのであった。
安心して下さい。ヒロインはこれで全部です(断言)
相変わらず恋愛描写が下手を極めているので、拙い部分はどうかご容赦頂けるとありがたいです。後に改訂を入れるかもしれません。
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