第40話:張繍討伐
――1人称side――
「あぁぁぁ……やぁ!」
「はぁ!」
馬を走らせて陣の右翼に到着するとそこではオッサンが二人で打ち合っていた。事前に張遼が白い毛を兜に付けているって聞かされてたから直ぐに分かる。間違ってももう一人の赤い毛のオジサンじゃ無いだろうからね!
「張遼殿! 助太刀いたす!」
「おお! 兀突骨殿!かたじけない!」
あと今気づいたけどこれ一騎打ちじゃないな。高順と龐徳が周りの敵を蹴散らしてるから結果的に一騎打ちになってるだけだな。
なにはともあれ俺は馬から下りて盾を構えながら張繡に突進する。勿論スキルは発動済みである。
「くうっ、二対一とはなんと小癪な!」
「張繡殿! お命頂戴いたす!」
「ふはっ! まだお前のような若造には負けんわ! 申せ、名はなんと言う!」
「我が名は兀突骨! 中華で名声を高めるため、張繡殿を討つ男だ!」
「はっはっは! その意気込み、何処まで続くのか見てやろう!」
そう叫んで張繡は横に矛を振る。俺はそれをしゃがんで避ける。そして矛を張遼が斧で受け止めたのを見計らって立ち上がり、馬の側面を盾で押した。
「なっ!」
ヒヒィン!
馬は急にバランスを崩されたことに驚いて暴れ始めた。堪らず地面に転げ落ちる張繡。鑑定した際に乗馬系のスキルが殆ど無いことから薄々思ってはいたけれど、やはり張繡の乗馬技術はそこまで凄くはないらしい。なお、張繡の名誉のために言っておくとこの場に馬術に秀でた人は張遼しかいない。ここからは兀突骨と張繡の白兵戦(張遼のみ馬)である。
素早く足を払いながら突きをかましてくる張繡の矛を兀突骨は鎧で止めて肉切り包丁で斬り掛かる。最早殴りかかったと言ったほうが正しいその一撃を張繡は矛の柄で受け止めた。そのまま払い捨てたと思ったら今度は張遼の斧が大上段から振り下ろされてきて、それを張繡は素早く避ける。
「ふんっ! 中々やるな!」
そう言って張繡が笑う。今の打ち合いで張遼の方が脅威だと感じたのだろう。張遼へと向き直ると矛を勢いよく振り被った。だが仮にも南蛮育ちの脳筋を、馬鹿にしてもらっては困る。兀突骨が張繡の足を払うと、足を取られて張繡は地面に伏すことになった。足を払われた張繡の首の上に肉切り包丁が振り上げられる。
「何か、言い残すことはあるか?」
「……これは見込み違いであったな。中々やるではないか」
驚いた顔で、地面に倒れながら張繡が言う。
「ふっ、今更言い残すことなぞ何もない。戦場にて気を抜いた時点で我の負けだ、若造よ。我の首を手柄とするがいい」
それを聞いて兀突骨は肉切り包丁を振り下ろした。こうして張繡の首が地面に転がったのである。
「張遼様、兀突骨様が敵将張繡を討ち取ったりぃぃぃーーー!!!」
後方で戦いを注視していた旗持ちが大声で叫ぶ。瞬時に敵陣に動揺が走り、敵右翼は総崩れとなった。そんな中で一段落ついた龐徳と高順が駆け寄ってくる。
「兀突骨様、ありがとうございます」
「兀突骨殿、この度は助かった。礼を言う」
「いえいえ、私は助太刀をしたまでです。討ち取ったのは張遼殿ですし、お二人が雑兵を寄せ付けなかったからこその手柄でしょう」
こうして張遼を含めた4人は陣の前線で労い合うのだった。あ、下はサラッと複写した張遼のステータスね?なんか馬超とそっくりだな……。
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PN:張遼(26) LV:41
種族:漢民族
称号:騎都尉
HP(体力):50
STM (スタミナ):60
STR(筋力):80
DEX(器用):30
AGI(敏捷):90
TEC(技量):45
VIT(耐久力):90(285)
LUC(幸運):15
特殊スキル:無し
スキル:突撃EX、鉄蹄、急襲、不屈、騎兵応用2種中1種(捨て身)、歩兵応用4種中2種(激戦、突進)、弓兵基本1種(回避)、方士基本1種(正気)、方士訓練5種中1種(疾風)
装備
左右:戟
頭:召虎兜
胴:金色の鎧
腰:濃紫のベルト
足:紫糸の佩楯
アクセサリー:無し
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――3人称side――
「……ほう、あの男なかなかやるな」
遠くの崖の上に登って戦闘の一部始終を眺めていた男は巻物を片手に言った。
「指揮ばかりしていたからてっきりそちらしか能がないと思っていたのだが……。腐っても南蛮、腕っぷしも強いということか」
そう言い残すと、男はさっと姿を消した。
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