第25話:いざ暗殺
「王允殿」
「おぉっ! 兀突骨殿。いかが致した?」
「先程呂布殿と対談して董卓様と仲違いをさせる布石を蒔いておきました」
「……なんと?」
「貂蝉殿に董卓様が手を出そうとしている。こう言っただけです。私は後ほど、董卓様と会談して貂蝉殿に手を出すようにけしかけます」
「なっ……!」
「分かっています。貂蝉殿の心は既に呂布殿の下にある、と言いたいのでしょう?」
「……」
「問題ありませんよ。貂蝉殿に危害は加えられないように致しますから。貂蝉殿を傷物になどするつもりは毛頭ありません。そのためにも、王允殿は貂蝉殿との交渉と呂布殿への交渉、そして呂布殿の妻である厳夫人との交渉をお願いします」
「どうやら私は兀突骨殿のことを見誤っていたようであるな」
「それは良い方に、という解釈をさせていただきますよ?」
「勝手にするがいい」
「ではそのように」
今俺と王允さんは、きっと悪い顔をしているに違いなかった。
「で、兀突骨殿。具体的にはどうするつもりなんだ?」
「まずは董卓様が貂蝉殿に手を出すように仕向けます」
「それはさっき聞いた。で?」
「そこから貂蝉殿に動いて貰います。董卓様には『呂布殿が無理矢理都の外に連れて行こうとするんです』と、呂布殿には『董卓様が無理矢理襲ってくるんです』と言ってもらいます」
「……本当に襲われたらどうするんだ?」
「その場合はギリギリのタイミングで私の伝令を部屋に入れます。要件は『涼州の馬騰、韓遂が動いた』でいいでしょう。涼州の討伐に行ったことのある董卓様なら無下にはしないでしょうし。涼州にほど近い長安に遷都したというのも幸いしたかもしれません」
「ふむ……。嘘だと気づかれた場合は?」
「現在口裏を合わせるために部下の布岳が涼州に向かっているはずです。また、この会談が終わり次第董卓様に布岳が取り入ることになっています」
「なるほど……」
「最終的には呂布殿をけしかけて董卓様を暗殺しましょう。その際貂蝉殿はおそらく呂布殿と駆け落ちしたがるはずなので厳夫人の説得はお願いしたいという旨です」
「分かった。それにしても随分と詳細な所まで計画を立てたのだな。儂も似たようなことを考えてはいたがそこまで決めておらんかったぞ?」
そりゃホントはあんたの計画だし、実行の2年前に計画の詳細を立ててたらビックリだよ。史実で董卓が暗殺されるのは192年4月だからね()
「まぁ情報があればここまでは……」
「それもそうか。だがまぁ、そこまで詳細な情報がある、というのは驚愕だがのう」
「……」
「まぁいいだろう。で、その計画はあくまでも呂布殿には花を持たせたい、ということか?」
「えぇ。その件に関してなんですが、貂蝉殿との面識が欲しいため、今度貂蝉殿と会談する時間をいただいても?」
「分かった。董卓への情報撹乱は頼んだぞ」
「分かりました」
やはり俺と王允さんは悪い顔が似合うらしい()
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