第20話:婚礼の席で
数日後、とある席の上で兀突骨は頭を抱えていた。その理由は蔡文姫のステータスである。取り敢えず、見てもらった方が早いだろう。件の蔡文姫のステータスは以下である。
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PN:蔡文姫(12) LV:17
種族:漢民族
称号:無し
HP(体力):15
STM (スタミナ):10
STR(筋力):10
DEX(器用):50
AGI(敏捷):30
TEC(技量):45
VIT(耐久力):25(55)
LUC(幸運):25
特殊スキル:無し
スキル:忘憂EX、傾国、歩兵基礎4種中3種(激戦、堅守、突進)、弓兵基礎1種(回避)、弓兵訓練5種中1種(金汁)
装備
左右:琵琶
頭:ルビーの簪
胴:紫糸の漢服
腰:金糸の帯
足:無し
アクセサリー:金の頭飾り
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……え? バグなの? ステータスはともかくスキル構成エグくない? てか皆堅守持ってるけど、アレ豚肉のスキルだったのかよ。美味しそうに豚肉を食べてるからやっと分かったわ。もう既に龐徳さんから複写しちゃったよ。
それはともかく、忘憂とかいう珍スキルに貂蝉等に見られる傾国、貴重な弓兵スキルである金汁まで持っている蔡文姫は相当に多彩である。そもそも金汁なんてスキル、文官っぽいコイツが持ってても意味あんのか? 毒矢だぞ?
「ねぇ、何考えてるの!」
「いや、なんにも?」
蔡文姫のステータスについて考えていると、当の本人に声を掛けられた。何を隠そう、兀突骨と蔡文姫は今婚姻の儀をしている最中である。その事を頭から追いやってステータスを覗き込んでいた兀突骨が蔡文姫から注意されるのも当たり前だろう。というか客観的に見て結婚式の最中に別の事を考える兀突骨ってどうなんだ。
「まさか他の女の事じゃないでしょうね?」
「馬雲騄のこと?」
「そ、そうよ! その女よ! やっぱりその女の事を考えていたんじゃないっ!」
「えぇ……」
蔡文姫が叫ぶ。単純に五月蠅い。そして考えていたのは馬雲騄の事じゃなくてお前のステータスだ。なんで馬雲騄の話になるんだ。全く関係無いだろ。
「そ、そう言えば兀突骨っ! 私の事は敬語付きで呼ぶのに、なんでその女のことは呼び捨てで呼ぶのよ!」
「え、妻だから……」
「じゃあ私のことも呼び捨てで呼びなさいよ!」
「え、なんで?」
「だ、だって私も妻じゃないの……」
「いや、でもこれからなんじゃ……」
「細かいことはいいの! 呼ばなかったら殺すわよ!」
いきなり物騒だなオイ。殺気を込めた眼で睨み付けてくる蔡文姫を放っておくと知らない間に寝首を掻かれていそうな怖さがある。
「じ、じゃあ、蔡文、姫?」
「そ、そうよ! もう一回呼びなさい!」
「蔡文姫……?」
「っ〜〜〜! そう、これからはそう呼ぶのよ!」
「は、はぁ?」
嬉しかったようで顔を赤らめてモジモジする蔡文姫。唐突な変な注文に首を傾げた兀突骨だったが、取り敢えず機嫌が直ったなら良かったと思い、何も考えない事にしたのであった。
世の中に「蔡文姫」と珍しく字が浸透しているので、彼女のみ「蔡文姫」を基本呼称とします。一応名は蔡琰なので、今後その名前で出てくることも有るかもしれません。
また、予め理っておきますが、際限なくヒロインが増えていく、ということはありません。ちゃんと片手の指で数えられるくらいになります。増えてあと1人2人です。馬雲騄が許容する数までになります()
ただ、恋愛方面の話を筆者自身が上手く書けないので、兀突骨にも恋愛不得手になってもらうのはどうかご容赦下さい。割と彼女達の活躍などは省かれるかもしれません。特に蔡文姫は文官寄りなので、目立たなくなる可能性が高いです。のでキャラ付けとして濃くする為、ツンデレになって頂きます(正当化)
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