第1話:いざ、世界へ
どうも、イヌヅカです。
此方は三国志関係の歴史小説(転生モノ)の作品となります。楽しんでいただければ幸いです。
三國志炎舞。これは三國志ゲームシリーズを手掛けてきた某大手会社の初VRMMOとして宣伝されてきたゲームの名前である。三国志ゲームがVRMMО化すると聞いて、大の三国志好きである俺は有無を言わずに購入した。
「これからは三国志ゲームにもついにVRが登場するのか……」
これまで、RPGゲームやバトルロワイヤルゲーム、シューティングゲーム等で軒並みVR化が発表され始めたのにも関わらず、三国志ゲームだけはずっとVR化の音沙汰が無かった。大の三国志好きでゲームにのめり込んできた俺にとって、それは他のゲームを眺めながら臍を噛んで悔しがるような事態である。毎日掲示板等に更新されていくVRゲーム、VR世界ついての書き込みを追いながら、俺は何度も三国志ゲームのVR版を空想した。
もしそんな物が出たら一兵卒から成り上がるのもいいし、オーソドックスに曹操や劉備、孫権や孫策等から天下統一を目指してもいい。史実では滅びてしまった袁紹や劉表、袁術等も魅力的である。きっと血沸き肉踊るような心地なのだろう。
そう思って毎日のように考えを馳せる。ゲームの世界には残酷な描写を精神に影響しにくくする仕組みまで有ると言うし、楽しめること間違いない。三国志世界の草原を駆け、山を飛び回る。中華全土にある数えきれない程ある城の一つ一つを様々な計略を以て落としていく。想像の中で感じたその喜びを今すぐにでも噛み締めたかった。
そしてそんな中で今回の老舗の三国志ゲーム会社による世紀の一大発表が来る。三国志ゲーム界にも遂に光明が舞い降りたのだ。俺はこの発表があってから夜も眠らずにこの新作VR三国志ゲームの解説を読み進め、準備を固めてきた程のガチ勢である。前作と言えるであろう同社の三国志ゲームもやったし、もう一度三国志演義も読み込んだ。スタートダッシュを切るためにここ数日の予定は全部空けたし課金の為に数十万円まで用意した俺にもう隙はないだろう。最初のサーバーで最強になってやる事こそがガチ勢を名乗る為の条件と言えるのだ。必ずや人々が恐れ慄くようなガチ勢の称号を手に入れてやる。
そう誓いながら震える手で買い込んできた三国志ゲームのカセットを出す。VRゴーグルにそれを差し込むと、何やら機械的な音がなり始めた。落ち着くような音で、耳に心地良い。ゴーグルの上に準備OKのマークが出るのを見た俺は深呼吸をしてゴーグルを装着する。
念の為、もう一度確認をしておこう。カレンダーよし、通帳よし、三国志の原本よし。準備万端、全て用意してきた俺にもう死角は無い。満を持して三国志ゲームの世界に入り込んだ俺は被ったヘッドギアから痺れるような衝撃を感じ、意識を手放したのであった。
VRMMOを遊ぶ作品ではないです()
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