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第18話 男には退いちゃいけないときがある

「ジェームズ王子……」


入ってきたのはジェームズ王子とロバートだった。

この国の次期国王の登場に教室に少々のどよめきが走る。

多分王子がこのクラスなのは知っていたんだろうけどそれとこれとは別なんだろうな。


「ジェームズ王子はどんな人なの?」


僕は王子の人となりを知らない。

原作ではかなりの好青年というイメージがあるが今はストーリーを大きく外れているわけだし原作通りの性格ならあそこまでシャーロットが渋い顔をするはずないだろう。

それに原作ではシャーロットの恋人だったわけだしどんな性格であっても面白くはない。


「しつこいストーカーみたいな人です」


「………え?」


いくらなんでも辛辣すぎない?

本当に王子は一体何をしたんだ?


「さて、席は自由だったな。どこに座ったものか……」


僕が疑問に思っていると王子が辺りを見渡し始める。

そしてこちらを向いて視線が止まる。


「おお!聖女シャーロットじゃないか!」


王子がなぜかこちらに歩いてくる。

後ろにはロバートもくっついてきていた。

え?なんでこっちくんの?


「久しぶりだな。シャーロット」


「何か御用ですか?」


「まあそうだな。君と話す、というのが主な用事だが」


「それではお引き取りください。私はアランくんとお話していますので」


王子が話しかけるがシャーロットは目すら合わせず受け答えをする。

まさか昔からずっとこの調子だったのだろうか。

だとしたらシャーロットがしつこいストーカーと言うのも分からなくもないけどなんでこんな性格になってんだ?


「そう固いこと言うなよ。そんな平民と話すより楽しいと思うぞ?」


そう言って王子は僕の方を見て睨んでくる。

敵意を剥き出しにし過ぎだろ……

僕は別に王子に何も悪いことしてないどころか入試で守ってあげたほうなんだけど。


「そんなことないですよ。少なくともあなたと話すよりは何百倍も楽しいです」


な、なんかめちゃくちゃシャーロットが怒ってるんだけど……

こんなに怒ってるのは初めて見るかもしれない。

でも王子の表情が何も変わってないんだけど……

メンタルが強すぎるのかまさかとは思うけど気づいてないのか……?


「照れるなよ。ん?その指輪は……」


王子が指輪をじっと見つめる。

シャーロットが今までで一番嫌そうな顔をして嫌悪感をあらわにしている。


「左手の薬指は結婚のときに着けるものだからやめておいたほうがいいぞ。それにただの木製の指輪なんて美しい君には似合わない。今度俺が買ってやるから一緒に買い物に行かないか?」


その言葉は確実にシャーロットの地雷を踏み抜いた。

シャーロットから今までで一番の怒気があふれる。

ぶっちゃけフェニックスと対峙していたときよりも怖い。


「この指輪を馬鹿にする人は王族であっても絶対に許しません!発言の撤回を要求します!」


「ちょっ!落ち着いてシャーロット!」


僕が止めなかったら確実にトラブルになっていた。

いくら聖女と言えども王子に手を出したら流石に心象が悪すぎる。


「そんな指輪ごときで怒らんでもいいだろう」


「この指輪は大切な人に貰った大切なものです!」


「そんな指輪しか贈れんとはろくな人物じゃないな」


「うるさいです!」


一回王子は黙れ本当に!

なんでそんな一つ一つの発言全部シャーロットを怒らせるようなことを言うわけ!?

本当に原作でシャーロットの恋人だった人と同一人物!?


「どんな奴から贈られたんだ?」


「そ、それは……」


さっきメアリーに軽率に言ってしまったから言っていいのか迷っているんだろう。

僕に視線をやろうとはしないものの困っているのが目に見えてわかる。


「僕ですよ。シャーロットにその指輪を贈ったのは僕です」


「アランくん!?」


「ほう……お前か」


できるだけ隠しているほうが懸命な判断だったのかもしれない。

それでも困っているシャーロットを放っておくことは出来なかった。

これは僕の問題でもあるのだから。


「平民なんぞが聖女の相手にふさわしいと思っているのか?身の程を知れ」


「申し訳ございませんがいくら王子の命令と言えど退くことはできません。シャーロットは僕にとって特別な存在ですので」


王子が睨んでくるが僕は目をそらさない。

男には退いちゃいけないときがいくつかある。

好きな女の子を守る、それは退いちゃいけないときに含まれるはずだ。


「身の程を知れと言っているだろう。魔王に抵抗しうる勇者を生み出すことができる聖女という存在ははこの世にたった一人だけであり全ての者にとって特別なんだ。だからこそ平民には身に余る」


「シャーロットだって一人の人間ですので彼女の意思を僕は尊重します。シャーロットが僕を拒絶するならばすぐにでもこの場から消えましょう」


僕と王子は揃ってシャーロットを見る。

シャーロットは一瞬ビクッとしたけどすぐに表情を引き締める。


「私にとってアランくんは大切な存在です。そばにいてほしいと思っています」


「く……クックックッ……アハハハ!!そうか、ではこうするとしよう」


王子は散々高笑いをしたあと顔に笑みを貼り付けこちらを見てくる。

その顔はまさに悪意そのものだった。


「どちらがシャーロットの隣にふさわしいか。《《決闘で決める》》ことにしようじゃないか」


「「「!?!?」」」


決闘とは法で裁くほどじゃない貴族同士のトラブル解決に用いられる制度。

両者で交換条件を決め戦い勝者の言うことを聞く至ってシンプルなルール。

これと全く同じ制度がノビリタス学園にも存在している。


「まさか逃げるわけないよなぁ?平民」

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