4話ー禁断と温泉
ただいま。翼龍種はまだ喜んでいるみたいだ。
「さすがですね。龍峰まではおよそ3,500mあるのに一飛びで行ってしまうとは、末恐ろしいですね」
あー…そうだよね。自分でもやばいなって思った。
これならトンネル作らなくてもいけるかなぁ。でも何かあった時はトンネルあった方がいいよね。
「主様は魔族の世界に行くとのことですが、お間違いないでしょうか」
未だに迷っているんだよなぁ。
一番は魔族の世界に行くのが一番何だろうけど、自分で焼いたりできるなら動物の世界でもいいかなって。
「どうしましょうか」
あれやこれややってみんなに迷惑かけるのも嫌だしなぁ。
「全ての世界へのトンネルを作り、他の龍種に門番を頼むのはいかがでしょうか」
「ぜひ我々蛇龍種にその役目をお任せください」
えーっと…そうだなぁ。名前がないと辛いなぁ。
「まさか!名を授けてくれるのですか!これは!」
尻尾で器用にジャンプしている。
この子達も人化できるのかな。その方が喋りやすいんだけど。
「龍種でも1000年を超えているものであれば人化は可能です。族長たちはできると思います」
ぜひ、喋りやすいようにお願いしますよ。
『かしこまりました!』
―
「蛇龍種族長です」
えっと…普通に綺麗だなって。緑髪と黒髪で西洋寄りの顔立ちなのかな。
ナーガ族でいいかな。族長はセルケトで。なんか神だったか忘れたけど、なんかぽいから。
「ナーガ族、セルケト!ご配名頂きます」
「全員分のナーガ族の名付けはできません。よってセルケト、全員分の名付けを行いなさい」
でもなんでこの子達門番にいいの?
「蛇龍…ナーガ族は元々得意な能力としては石化。細胞から止めるので解くまではずっと若さを保てます。攻撃された、という感覚がないので一番いいのかもしれません。怪しければ石化させ、古代種様たちと呼べばよろしいかと」
それあれだよね。石化した時に衝撃があると壊れるみたいな。
「いいえ、並の蛇龍であればそうなるかもしれませんが、我々はこの龍の里に住みし者。他の蛇龍より能力が高いので硬度が違います。ちょっとやそっとじゃ壊れません。それこそ我々か、古代種様方くらいではないでしょうか。状態異常も無効化されるので」
でも、お持ち帰りはされちゃうよね…。
「状態異常無効などがない限りは感染するため、難しいですね」
ああ、じゃあ触っても大丈夫だ。
「無効にできるのはおそらく魔王、古代悪魔種くらいでしょうか。あとは魔法抵抗が高めなハイエルフくらいでしょうか」
ふーん…。意外と多いなぁ。
「何億もいる種族の中でも10種いるかどうかです。少ない方かと」
あ、そう考えると少ないな。
「それに基本この龍の里に手を出す輩は限られます。そのような相手が来れば古代種様たちが気づかれるかと」
「そうですね。少なくとも神龍…ハクエ様がお気づきになるかと」
それなら大丈夫そうかな。
「そもそもここに来れるものなどは限られております」
そうか…箱庭最強がいるんだもんなぁ。
「そう言うことです」
まぁ、みんな怪我だけはしないようにしてくれないかな。
最近あったっていうかついさっきあった中でも少なくとも仲間になったわけだし。
「仲間など勿体無いお言葉…下僕で十分です」
…。あんまり上とか下作るの好きじゃないんだよね。
致し方ない部分はあるかもしれないけどさ。
上下をつけるから争いが起きるわけで。
…なんか凄い後から希望の眼差しを感じるんだけど、何だろう。
「他の種族長の名前じゃないでしょうか」
あー…忘れていたかった。
「海龍種族長です」
あー…イケメンだ。青髪と白髪の長髪だ、水色でいい気がするんだけどなぁ。
凄いなぁ…。何だっけ。海の神様…ポセ…いやぁ…なんかあの名前っておじいさんっぽいしなぁ。
あ、海割のモーセだ。リヴァイアサン族のモーセ。
「リヴァイアサン族長のモーセ。ご配名頂きました」
セルケトもそうだったけど、結構光るなぁ。名付け凄いなぁ。
「多頭龍種族長です」
人化したら頭は一つなのね。
そりゃ頭何個もあったらちょっと怖いしね。
顔…というか全体的にゴツいなぁ。髪色は頭の本数で変わるのかな。本当色々。
バイキングって言われても納得するなぁ。海龍種の方がバイキングっぽいけど。
でもなぁ。意外と可愛い仕草してくるんだよなぁ。
おっさんの可愛いってあんまり需要ない気がするんだけど。
ヒュドラ族…オロチなんてどうだろう。蛇だけど。
「ヒュドラ族長、オロチ。ご配名頂きました」
いやぁ…おっさん踊らなくていいよ。手も握らなくていいよ。
「最後、翼龍種族長です」
ずっと翼龍って聞いたらワイバーンだと思ってたんだけどさ。見たまんまドラゴンなのよね。
間違いではないんだろうけど。
大体ワイバーンってドラゴンの劣化種のイメージだったんだけどさ。
「恐れながら進言させていただきてもよろしいでしょうか」
何だろう。
「主様が言っているワイバーンというのは一対の翼と足だけの竜を言うのではないでしょうか」
うん、みんなさ。
言葉に出してないところとかよくわかるよね。
みんなすごいなって思いました。
「主様、思っていること、考えていることは念話で全て共有されております。考えていることは全て筒抜けです」
あー…だからさっきヒュドラとか悲しい顔してたのね。ごめん。人の頭を勝手に覗くのもどうかと思いますが。
「申し訳ございません。こちらからの念話を杜絶させることは不可能なのです。主様が遮断すれば問題ありません」
へー…。それじゃあさ、今まで失礼なこととか言ってたやつ全部聞こえてたわけ?
「ハクエ様と私は臭いと言われたことは全然怒っておりません」
あー…通りで喋らなくてもみんなわかってくれるわけだ。
でも、何で声発してないのに契約してない時に他の子には通じたんだろう。
「申し訳ございません。神代様の顔で大体は…」
そんなに顔に出てたんだ。
確かにポーカーフェイスとか知らないけど。
「あのー…」
あー…ごめん。完璧に忘れてた。
よくよく見ると族長って若いんだなぁ。
いや、違うか。みんな若いのか。
オロチだけ異様におっさんなのか。
だから涙目になるなって…。
「ドラゴン族長、バハムート。ご配名頂きました」
なんか伝説の竜の名前つけちゃったけど、ま、いっか。
最初見た感じは強そうだったし。
今の見た目完全ロリっ子だけど。
そういえばブルーガもロリっ子だったなぁ。
「ご配名お疲れ様でした」
すごく疲れた。みんなにつけた時ほどじゃないけどさ。
何だろう。気怠い感じ。
「一度戻りましょうか?」
そうだなぁ。せっかく降りてきたのになぁ。
そういえば、龍峰の主とかって言うのあった気がするなぁ。
一度眼を閉じて、確認する。
龍の里の主:龍の里内での創造が可能。
うん、なんかランクが上がっているなぁ。
創造って言うと何でも作れるんだろうか。
どこか誰も立ち入らない場所とかないかなぁ。
「兎も近づかない場所が1箇所だけあります」
さすがドラゴン族。上から見えてたのかな。
「ついて来てください」
バハムートの背中から黒い羽が生える。
適応を使い、羽を生やす。
「申し訳ございません。我々はできないのでお先にどうぞ。すぐに追いつきます」
オウギとワダチが頭を下げている。
そこまで気にしなくていいから。
「行ってくる」
あ、初めて喋ったかもしれない。
変な声じゃなかったかな。みんなうっとりしているけど、初めて人間が喋ったところを見てビックリしただけだろうなぁ。
そう言うことにしておこう。
「さ、さ、さぁ、行きましょう」
バハムートは顔を赤て飛ぶ。
意外と早いな。
―
「こちらでございます」
まだ場所の感覚がわからないけど、龍峰の中腹くらいだろうか。
少し出っ張った場所があった。なんか骨が無数に落ちているけど、気にしないでおこう。
温泉…作りたかったんだよなぁ。
この体が特殊なのかあんまり体臭を感じないけど、なんか獣臭いのたくさんいたし。
「私も…臭いますか」
あー…。大丈夫。匂い嗅いでないから。
でも排水とか出水とか考えないといけないけど。
「どのようなものを作ろうとお考えですか?頭の中で描くような感じでお願いできますか」
頭で描く感じかぁ。
できれば檜とかがいいなぁ。そう言うものがこの箱庭にあるのかなぁ。
水を温かくして、でも熱すぎないようにして気持ちよく入りたいなぁ。
裸は嫌だけど、なんかタオルみたいなのもあるといいなぁ。
それで…。
『主様―!』
後ろの方から何か落ちてくる音がする。
振り向きたくないなぁ。
振り向きたくないけど…。ギギギギギ。
全員集合。
古代龍種が全員揃っている。
「温泉!創りましょう!」
「あと一つお話しさせていただきますね。主様は称号で作れるみたいですが、私クリートの能力である禁断産生、禁断複製を使えば色々と作れますよ」
へー。能力と称号が被ることあるんだ。
「いえ、おそらく私の能力はどこでも自在に使えますが、主様の能力は龍の里限定だと思われます」
あ、そっか。差別化も一応あるのか。
「お話の腰を折ってしまい、申し訳ございません」
「大丈夫だ」
さて、どうするか。とりあえず思い描いていた通りにしてみるか。
頭の中にある通りに作ってみようか。
ちょっと倒れているみんな邪魔なんだけど、何で倒れているんだろうか。
「主様のお声…初めてお聞きしました…」
念話で聞こえているんだからいいだろうに。そんな変わらないだろう。
みんな退いたし。
―
「これが温泉…裸での主とのお付き合いができるという夢の…」
裸のお付き合いはすでにしているはずなんだけどね。ちゃんと男湯と女湯作ったから裸のお付き合いはできないからね。せめてお風呂の時くらいはゆっくりさせてくれ…。