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54/59

今までで1番ハードな曲

 そんな事を思ってる間に、飛猿が「1、2、3、4」とスティックを鳴らす。そして先輩の気持ちの乗った、だけど洗練されたギターの音が響く。

 激しく、だけどどこまでも澄み渡るような先輩らしい音。そんな音が、1番の存在感をもって奏でられる。


 凄い。今の先輩のギター、今まで聞いてきた中で一番のパワーを感じる。The oceanの特徴的なリフの魅力を思い切り轟かせてやる――――――、そんな気持ちが込められているかのような、力強い音だ。

 

 高垣さんのベース、飛猿のドラムも、その音に負けることなく大きく響く。

 高垣さんもそうだけど、飛猿もすごいな。あいつの場合、ジョン・ボーナムみたいなヘヴィなプレイスタイルではない。どっちかって言うとフィル・コリンズみたいな手数が多く、軽快に引っ叩くスタイルだ。


 つまり得意としているスタイルとは全く違うもの。だけど違和感なんて全く感じさせない。ほんとドラムに関しちゃなんでも出来るのなアイツ。

 負けてらんないなぁ。こりゃ。

 そう闘志を燃やして、思い切り声を出して歌う。


 ……うんやっぱり高ぇ。The ocean……ってかロバート・プラントの声そのものが高ぇ。

 切るような、楽器のような声。音の取り方も独特。ロバート・プラントのボーカルを初めて聴いた時、そんな印象を抱いた記憶がある。


 何度歌ったって、聴いたって新鮮に感じる、そんなボーカル。The oceanは特にそう感じる。正直言って歌うのはめちゃくちゃにムズい。

 だけど、やってやる。だってこの曲めっちゃ好きだし。この曲のボーカルの魅力を全力で表現してやるんだ。そう思って自分を歌いながら奮い立たせた。


 この曲は中間部分に少し音が控えめになる瞬間がある。数十秒ほどギターも、ドラムも鳴らないところがある。そこを俺と先輩は呟くようにハモる。


 ひとしきり歌い終わって、そして。

 楽器の音が、再度思い切り弾けた。


 やっぱり、いい。この緩急がこの曲の魅力だ。

 静かな瞬間があるからこそ、その後の音がより激しく、鮮烈に感じる。やっぱり()()()()()()()って、本当にそう思わされる曲だ。


 そして観客にもそれは、十二分に伝わったみたいで。

 歓声と鳴り響く手拍子は大きく熱く、力が籠っていた。


 そして曲はエンディングに入る。ちょっとお祭り騒ぎのような雰囲気で楽しげに、楽器隊とボーカルが騒ぎ立てる。夏の海で思い切り楽しむような雰囲気だ。


 そんな音を聞いて、俺達も観客も、みんな笑って歌い、弾き、聞く。あぁもうめっちゃ楽しいな……!

 そして引き終わって、大きな拍手に包まれた。


 よし、前半終わり、ここから後半。

 ここまで本当に順調だ。上手く行きすぎて怖いくらいだ。

 このまま上手くいってくれよ。そう、心の中で願った。


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