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鉢合わせ

「明星先輩?」

「あら音無くん、ここでバイトしてたのね」


 どこから嗅ぎつけたのか、バイト先に飛猿が飛び込んできて、ダル絡みしてくるのをいなしてた矢先。


 明星先輩が続けて入ってきた。横にいる3人は……おそらく以前から在籍していたバンドのメンバー達だろう。初めて先輩とセッションしたあの日、見た覚えがある。


「あら、偶然っすね、先輩」


 そう、いつもの飄々とした態度で飛猿は言うけどいや本当にその通りで。


 ここは俺の叔父が経営してるカフェ、いわば個人経営だ。故に結構こぢんまりとしているから、そこまで目立つものではないはず。よく見つけたな。


 今時の女の子であれば、こういうとこよりメニュー名が長いことで有名なあの店とか行きそうなものだけど。


「……ええ、本当にそうね。まさかこんな事が起こるなんて、どんな偶然かしら。で、音無くんはどうしてここで……?」

「え、あぁ。ここ、俺の叔父が経営してて。バイト探してるって言ったらぜひ人手が欲しいって事だったので……。というか先輩こそどうしてここに?」

「友達に誘われて、ね。ここにいるバンド仲間がいい雰囲気のお店がある、って」


 そうだったのね。いい雰囲気、と言っていただけたのは叔父が褒められてる気分で正直嬉しい。

 そして彼女は、横にいる仲間たちを見て、軽く言葉を交わしている。ちなみに聞こえてきた物は、


「ねぇ静ちゃん。これが一緒にバンド組んでるっていう……」

「ええ、音無御門君よ。一個下の後輩なの」

「ふぅん……こいつが、ねぇ――――――」


 と、いった感じ。


 ……何か、なんとも言い難いような目で見られてるような気がする。


 特に、前にいるちょっと元気そうな女の子の視線が冷たい。左にいる眼鏡の似合う女の人と、金髪が綺麗な人はまだいいんだけど。

 まぁ彼女たちからしたら友達が最近関係を持ち始めた何処の馬の骨とも知れぬ男、的な認識だろうからそうなるのもまぁ頷けるけれど。


 だけど、なんだろうこの気持ち。なんかすごく罪悪感を感じるのはなんでだろう。

 俺、何も悪いことしてないはずなんだけどな。


「ま、まぁとりあえずお好きな席にお座りください。ここ、玄関ですし、邪魔になってしまうので……」


 ひとまず、彼女たちを玄関に立たせたままにするわけにはいかない。その言い表せぬ罪悪感は一旦隅に置いておいて、俺は、こちらです。と彼女たちをテーブルへと案内した。


「で、さっきから何笑い堪えてんのさ飛猿。『相手してやれ』とは叔父さんに言われてるけど、俺一応バイト中だからあんまふざけては欲しくないんだけど」

「いやなんか面白くなってきたなと。それに別にいいだろ。今俺らの他に人がいるわけじゃないし」

「どこがだよ……。もう、本当に今、他の従業員さんがいないのが救いだよ」

 

 いや面白いてなんすか。むしろなんか事が悪い方向に運んでる気がするんだけど。ちょっと、やな予感がする。


 いや明星先輩に会えたこと自体は、嬉しいんだけどさ。


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