表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

旅の準備

誤字、脱字、あればご報告下さい。

 ギィと音を立て扉が開く。中は、大量の武具が置いてある。おそらくここは武器屋、という物なのだろう。


「まず、お前に合った武器をここで見繕ってもらう。とはいえお前は回復がメインだ。自衛用の物を選ぶようにしろ」


そう言うと、ユーリは店主と喋りに行ってしまう。しかし、いきなり武器を選べと言われても、今まで使ったことがある武器なんて、モデルガンぐらいしか浮かばない。それなのにこの店にあるのは剣、槍、斧など異世界のテンプレートとも呼べる武器ばかり。僕に扱える物は一つも無さそうだ。


「そうか、お前は武器など扱ったことはないのだったな」


悪いと呟き、ユーリは店主に


「こいつに合う短剣もくれ」


と声をかけると私を置いて先に別の店に向かって行ってしまった。


「悪いな嬢ちゃん。旦那も悪い奴じゃないんだが、なんつーか、少々無愛想なんだよな」


店主はそうぼやくと、短剣が立て掛けてある壁まで行き、手頃なものをとってきた。


「ほれ、こんなもんでどうだ。そいつは、軽くて切れ味が良い。まあ、その分値は張るが、うちにある短剣の中じゃ間違いなく一級品だ」


そういって、短剣を僕に放り投げる。確かに軽い。無駄な装飾もなく、ただ機能美を追求したような武器だ。武器に関してはよくわからないが、店主の言っていることは正しいのだろう。


「武器は決まったか」


いきなりの声に振り返ると、入り口のすぐ横の壁にユーリがもたれかかっていた。


「店主、これを買う。いくらだ」


「あ、ああ。そうだな、いつも贔屓にして貰ってるからな。ま、金貨十枚ってところか」


それを聞くとユーリは皮の袋から金貨を十枚取り出しカウンターに置くと、


「例のあれも返してくれ」


そう店主に声をかける。それを聞いた店主は、店の奥に引っ込んでなにやら物を探り初めた。


「例のあれって何のことですか?」


「俺がこの店に預けていた剣だ、今までは別の得物を使っていたが、それを使うと仲間を巻き込む危険があってな」


なるほど、つまり僕が来たことで仲間を巻き込まない武器が必要になったということか。しかし、仲間を巻き込むような武器とは何なのだろうか。気になる。


「おい、行くぞ」


その声にはっとしてユーリを見ると、既に店主から布で包まれた武器らしき物を受け取っていた。急いでユーリの後を追いかける。


「次は、お前のステータスを測りに行く」


「ステータスとは、測るものなのですか?ステータス!とか叫べばわかったりは」


「しないな。前に召喚されたヤツもそんなことを言っていたが、お前らの世界ではそれが当たり前なのか?」


「当たり前、と言えば当たり前ですが、当たり前でないと言えばそうな気もします」


「よく分からないが、この世界ではステータスとはそいつ自身の能力の基準のようなものだ。例えば、足の速さが時速何キロかや、どのぐらいの高さまでジャンプ出来るかなど」


それは、何か向こうの世界でやったことが有ような、所謂体力測定と言うやつではないか。まさか、異世界に来てまで体力測定をする派目になるとは。


「着いたぞ」


ユーリが指差す方を見ると、大きなレンガ造りの建物があった。


「俺は外で待っている、終わったら声をかけに来い」


仕方なく1人で建物の中に入ると、中からシスターらしき人が出てきた。


「お待ちしておりました、ヨヤ様でございますね。お話は、ユーリ様からお聞きしておりました。どうぞ、こちらへ」


「どうも」


と、軽く返事をして促されるまま部屋に入る。


まず、握力。次に50メートルと、体力測定を進めていく。ほぼ全ての種目を終えたところで僕は、この施設に来て初めて見たことない物を見た。


「最後は、こちらになります」


それは、明らかに体力測定とは関係の無い、そして元の世界には、存在しなかったもの。水晶のような、光る鉱石が、机の上に乗っていたのだ。


「魔力の測定、ですか」


「はい。その魔石に手をかざすと、その方の魔力属性と、魔力量が表示されるようになっております」


魔力属性はよく分からないが、とりあえずこの水晶のようなものに手をかざせばいいのだろう。手を近付けると光は、いっそう濃くなってゆく。さらに近付け、手をかざすと、眩い光が部屋を包んだ。そして、光がおさまるとそこに数字のようなものが浮かんでいた。シスターらしき人は熱心にそれを記録し、それが終わったのか僕を出口へと案内してくれた。施設を出る際、彼女が紙を渡してきた。おそらくこれが僕のステータスなのだろう。早くユーリに渡しに行かなければ。僕は小走りにユーリの下へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ