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プロローグ〜この青年、自殺します〜

皆様初めまして、作者のLanと申します。

本作品は、私の処女作となります。

至らない点も見受けられると思いますが、暖かい目でご覧ください。

感想は常時お待ちしております。

俺は苑田黎斗(そのだくろと)。現在17歳、高校2年生だ。

身長は高くも低くもなく、容姿も端麗でも無ければ不細工でもない。

日本人特有の黒髪黒目、まさに平々凡々だ。

何か特徴を挙げるとすれば、目付きが悪い点くらいだろうか。

まぁ、そんなこと今はどうでもいい。

取り敢えず俺の話を聞いて欲しい。


俺は一応高校生だが、趣味なんてものは全くなく、そこら辺のニートと比較してもいい勝負が出来るほど虚無の毎日を過ごしている自覚はある。


学校から帰宅して、家でぬくぬくと過ごして、また学校に行く毎日。

昔は、そんな自分が情けなくて悔しくして変わりたいと思っていた。

でも、今はもう何も思っていない。何をやっても楽しくないし、一緒に雑談して笑い合う友達も誰1人としていない。


両親は俺がまだ幼い頃に他界した。交通事故だ。

休日に家族3人で遊びに行っていた。父さんの車で俺が好きな遊園地へと。

俺は楽しみで仕方なかった。久々に家族と行く遊園地にまだ幼かった俺にはそのワクワクを抑えることは出来なかった。

しかし、それが悲劇の始まりだった。

遊園地へ向かう途中、俺たち家族は赤信号の前で止まっていた。そこに突然、猛スピードでトラックが突っ込んで来た。

父さんは必死に避けようとハンドルを回したが、それも無意味だった。

現実は非情だ。勿論父さんは即死。母さんも即死は免れたが、その後病院に搬送されたが、出血多量で死亡してしまった。

俺は運良く、いや、運悪く生き残ってしまった。

俺が、俺だけが一命を取り留めてしまったんだ。

あの状況で生き残るのは有り得ない奇跡だという。

今思うとあの時死んでいればどんなに楽だったんだろうか。


居場所が無くなった俺は親戚をタライ回しされた。

周りからは「悪魔の子」と呼ばれていた。

そりゃそうだろう。あの場面で生き残れる方がおかしいのだ。

だからって悪魔って…幼い子供に付ける言葉では無いだろう。

その後幸いにも俺の引き取り先が見つかった。叔父だった。

俺は今も尚叔父に引き取られて生活している。

最初は嬉しかった。こんな俺を受け入れてくれて。

但し、先程も言った通り現実は非情だ。

残念ながら叔父はゴミのような人間で毎日のように泥酔して愚痴を怒号のように飛ばしながら俺の事を殴ったり、蹴り飛ばしてくる。

それでも、行き場のない俺を引き取ってくれたことには感謝している。だが、それはそれでこれはこれだ。

叔父が俺を拾った理由。そんなの簡単だ。

俺をストレス発散の道具にしたかったんだろう。

本心は隠しているが俺は今すぐ殺したいくらい叔父を憎んでいる。

毎日のように浴びせられる罵詈雑言、それだけならまだしも肉体的暴行には耐え難い。

高校卒業までは何とか凌いでそっからは一人で生きよう。

自立するんだ。


しかし、現実はそんなに甘いものじゃなかった。

叔父の愚行は日に日に悪化していった。初めの頃は軽く蹴ったり殴ったり、多少の悪口を受け止めるだけでよかった。

だが、最近は俺が吐いてしまうほど、永遠ともいえる時間殴り続けてきたり、「お前はクズだ!一生俺の言いなりになってればいいんだよ!」と。

同じ言葉の壊れた機械のように繰り返しながら叫んでいる。

俺は、俺でお前の奴隷なんかじゃない。

俺は、ずっと我慢してきた。来る日も来る日も、ずっと。ただもう我慢の限界だ。

殺したい…。

そんな気持ちが俺の心を押し潰していく。

父さん、母さんごめん、俺我慢できそうにないや。


現在、叔父は今リビングでテレビを見ながら酒を嗜んでいる。

今しかない。このチャンスを逃したら俺は一生あいつの奴隷かもしれない。それだけは…。

遂に耐えられなくなった俺は、叔父が昔愛用していた木製バットを手に持ち、走り出す。

叔父が振り向く前に決めなくてば…。手の震えを抑え、背後から頭を狙った全力のスイングを放った。

一撃。

激しい手の痺れとズシンとなり響く鈍い音。


「あがっ…」


それが…叔父の最後の言葉だった。そして、たった一振で動かなくなってしまった叔父の頭上から、赤い鉄の匂いがする体液がドロドロと流れ落ちてきた。

血。人の血だ。やってしまった。

俺は、俺は遂に人を……人を殺してしまった…。

あんなにも憎かったのに、殺してしまった瞬間ありえない後悔が全身を支配してきた。

しかし、それと同時に激しい虚無を感じた。


「はは、殺しちまったよ…。案外呆気ないな。」


誰もいないリビングで俺はそうぽつりと呟く。

俺はこの後捕まるんだろうか。

そしたら少年院行き確定…いや、人を殺したらどうなんだろうか…。

先程までの手の震えは一体何処へ行ったのやら。

この際もうどうでもいい。

どうせ捕まるだ、何処に行こうが人生の終わりだな。

17年間生きてきたが楽しかったのなんて最初だけだな。俺は何故生きていたんだろうか。

…。どうせこのまま捕まるんだったら死んだ方がいいだろう。


〈スキル:瞬足Lv1を獲得しました。〉

〈パッシブスキル:打撃系攻撃力上昇Lv1を獲得しました。〉

《称号:同族殺しを獲得しました。》


は…?なんだこれ…

突然脳内に意味不明の文字列が流れ始めた。

疲れてるんだろう。

精神的疲労が自分でも感じ取れるほどには来ている。

恐らくこれも幻覚…目の錯覚か?いや脳の錯覚…?

いや最早そんなことどうでもいいだろう。


 「死のう」


そう、決意した。


そこからは、長かった。家を出るまでに3、4刻は掛かっただろう。

恐怖…?未だにそんなものを感じているのか?

いやそんなことは無い。俺は決心したんだ。

だが、それでも…

出会う人全てが俺の事を疑っている。

今にも俺の事を通報しようとしているんだ!

そんなはずは無いのに、何故かそう感じてしまう。

無理もない。人1人を殺めたんだ。人間おかしくもなるだろう。


人の目を掻い潜りながらやっとの思いで着いたのは灯台。

岬の先端に設置されたこの街唯一の灯台だ。

ここの頂上から飛び降りれば、確実に死ぬ。

俺は鉛のように重い足を1歩1歩動かしながら、塔の頂上を目指した。

そして、遂に登りきった。上からの景色は…成程。


「ここから飛び降りれば、確実に死ねるな。」


根拠は無い。ただ本能が言っているのだ。これは間違いない確実な死である、と。

……………。行くしかない。そう決心して俺は飛び降りた。

目を閉じた。凄まじい速度で落下していくのを身をもって痛感する。

今まで感じたことの無い程の強い風の抵抗が身に纏っていく。

バジャーン!大きな水音を立てて俺の身体は水中の遥か深くに潜っていく。

張り裂けるような痛さは感じたもののどうやら死ねなかったらしい。

このまま、苦しみながら死ぬのなら一瞬で死にたかったものだ。

そして、俺は深い海の底で意識を失った。


〈パッシブスキル:落下耐性Lv1を獲得しました。〉

〈パッシブスキル:水魔法耐性Lv1を獲得しました。〉

〈パッシブスキル:風魔法耐性Lv1を獲得しました。〉

〈スキル:水魔法Lv1を獲得しました。〉

〈パッシブスキル:衝撃耐性Lv1を獲得しました。〉

《称号:己をさえ殺す者を獲得しました。》

『ユニークスキル:崩壊(ゲシュタルト)

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