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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
白百合姫
98/111

アップルパイ

私は、昔から自分の好きな曲を集めてサウンドトラックを作るのが好きだった。

今回は、その中から、刑事ドラマ編を選んだ。

軽快な音楽を聞いていると、体を動かしたくなってくる。


躍動するイントロに、麺棒を左手に、右手で強力粉をシートにふりかけ、冷たく冷やしたパイ生地をそこに叩き落とす。


伸ばす。すかさず、冷蔵庫からシート状のバターを取りだし折り込む


折り込む、

折り込む、

伸ばす。

折り込む。


層が多い方がさくさくのパイに仕上がる。


作業は素早く、冷蔵庫に仕舞いこみ、手を洗う。


林檎の皮を剥く。

長野の叔父さんが送ってくれた自家製のリンゴである。

薄くカットして、鍋に入れる。

砂糖を入れ、少量の水と、レモン汁。

コンロに火をかける。


そして、辺りを片付け、オーブンを余熱する。



剥いた林檎の皮を綺麗に洗ってそれを入れてお湯を沸かした。


ダージリンの茶葉を鍋にダイレクト オン!


少し、浮かれ始めた気持ちに気がついて、苦笑しながら気持ちを落ち着ける。

茶漉しを使って丁寧にカップに注げば、アップルティーが出来上がる。


美しい紅茶を見つめて、ため息をついた。


秋だわぁ…(T-T)


そう、なんか、色々やってるうちに、既に、時は9月!!

小説での収益は98円。これでは換金できないから、絵にかいた餅である。


私は、昨日届いた雄二郎のメールを見つめる。


題 行ってくる。


本文

明日、出掛ける。

春に帰る。

来年には名古屋いけるといいね。


もうっ、なんか、他人事なんだから。


私は、久しぶりの本格的なアップルティーに慰められる。


こうなったら、絶対、行くわよ。

出来ないmissionではないわ。


私は、雄二郎達と行く名古屋の慰安旅行の野心を膨らませて不敵に笑う…

そして、自分の気持ちが、怪盗のテーマを聞いていたからだと気がついて、少し、恥ずかしくなりながら、次の作業に取りかかる。

パイの生地を取り出して伸ばして、整形を始めた。

いつもは丸いホール型を作るけれど、今年は、一人分づつの小さな四角い生地にフィリングを入れて三角に折り畳む事にした。


夏が過ぎたのは寂しいが、感染が減ってきて、半年ぶりに姪とお茶が出来るのは楽しみである。


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