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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
97/111

間違い

もう、どうしようもない。


私は決めた。ファンタジーなんてかけるもんじゃないもの。

自転車でスーパーに行く途中、決断した。


こうなったら、自分と雄二郎の話で投稿しよう。奈津子の話より、身バレしない程度の、物語を作る私の話を。


こうして、私は自分のしょぼい話を猛然と書き始めた。なろうファンタジーなんて簡単だと作り始めるところから、ここまでの物語を。

ちょうど、文芸作品を募集しているサイトがあったので、もうそれに投稿した。

いつもは、こう言ったログインまでの手続きは億劫なのだが、人間、やれば出来るのだ。


とりあえず、雄二郎は仕事を見つけたし、私は、力試しをすればいい。

結果は一ヶ月後に発表される。

とにかく、書く。

間違いなんて気にしていたら、先には進めない。


私は、奈津子の小説を読み返しながら、自分と雄二郎との出会いを思い出していた。


思えば、あれこれと要求ばかりの男だった。

急な雨でも、荷物を率先して持ったり、手伝ったりはしない奴。


そのくせ、私たちの知らない、仕事仲間に不用品を押し付けられて、フリマに持ってきたりしていた。


ふふっ( ´艸`)


つい、思い出し笑いが込み上げる。

その人は、段ボール二箱分のプロレス雑誌と、何か、ファギュアを雄二郎に持たせていた。


なんでも、家が手狭になって、奥さんに捨てるように言われたんだそうだ。


「あれ?この本、結構、保存状態が良いし、レアな雑誌じゃないかな?」

と、縦村は、雑誌を並べながら言った。

が、私達、女性陣にプロレスファンはなく、自分達の品物を黙々と並べていた。

否、雄二郎もまた、プロレスには興味がないようで、折角の縦村の話題を上手くキャッチ出来ずにいた。

「高田さん。ね、これ、古本屋に持っていったらどうですか?」

縦村は、いつになく粘った。が、雄二郎は面倒くさがりなので、それを嫌がる。

「でも…フリマで売れって言ってたし、売れなかったら捨てるから良いって言ってたから。」

雄二郎は、子供のようにそう言って、あとは綾子からジュースを貰って飲んでいた。


日用品や少女雑誌の付録の山の中、プロレス雑誌は、独特の存在感で客を集めていた。

その日、雄二郎は、2000円を稼ぎ、奴は、後にその2000円をまるまる依頼者に渡して、私達を不満にした。

その後のファミレスでの反省会のメインは、雄二郎になった。


「どうして、みんなあげちゃうのよっ。場所代だってあるし、取りに行ったり、ガソリン代もかかったでしょ?」

と、綾子に言われ、

「だって、悪いでしょ?たった2000円だし。」

と、口を尖らせて不満を言い、500円しか売り上げの無かった奈津子を不機嫌にした。

「悪くはないでしょ?手数料くらい取ればいいじゃん。

アンタ、格好つけられないほどお金無いんだから。」

と、奈津子はいつになく辛辣に雄二郎に言った。

「まあ…いいじゃないですか。あっ、ピザ、来ましたよ、食べてください。」

と、縦村が奈津子の機嫌を良くしようとしたが、いつも、お金の無い雄二郎に気を使って、ピザを頼むその姿が、逆に奈津子をヒートアップさせる。


「ほら、雄二郎、いつも、縦村さんにピザをご馳走になってるんだから、向こうから手数料くらい貰って、たまには、ピザ、おごり返したらよかったのよ。

それにしても、頼んだ男も失礼よね、ガソリン代くらいくれたって」

奈津子は、500円のピザを睨みながら怒る。

「まあ…高田さんも悪気はないし、俺も車に乗せてもらうから。」

と、縦村がフォローするなか、雄二郎は物欲しそうにピザを見つめていいわけをしていた。

「1000円くれるって言われたけど、俺が貰わなかったんだ。」

と、たまらず雄二郎は叫び、

「なんでよ?」

と、女性陣に一斉攻撃され、縦村は面倒くさそうにそのやり取りを見つめていた。


「いいじゃない。それで彼はとても喜んでいたんだから。」


雄二郎は仏様のように笑い、私達は般若のような顔で文句を言っていた。

「たまには、私達を喜ばそうとか、考えないのっ、あなたはっ!!」




フリマのエピソードなら、沢山飛びだしてくる。

名古屋にいきたい気持ちについても。


私は、それらを軽く書いて投稿した。


五万字は書いた。


が、500円なんて、夢のまた夢だと思い知った。


雄二郎が出稼ぎに行き、秋が来て、結果が発表された。

勿論、落選したし、100円にもならなかった。


しかし、ここで、私の文章の価値を実感した。


1万字で10円。


それは、ショックより、妙な安心感をくれた。

私の文章は、お金になる。それが1万字で10円だとしても、書けば金になる文章だと分かったからだ。


そして、私は、夕日のなか、深いカタルシスに身をおきながら思った。


働こう。


例え、貢いだと言われようと、1万字で10円。これで2万円を稼ぐより、体を動かすか、スーパーのポイントをためた方が早い(T-T)


そうして、私は、中断していた帽子を冬じゅう編んでいた。


春には雄二郎は帰ってきたけど、コロナは治まる気配はない。

そして、気がつけばオリンピックが開会し、疎遠だった雄二郎からメールがきた。


題 こんにちは


本文

去年のところから呼ばれたから、出稼ぎに行ってくる。

今度こそ、名古屋に行きたいね。



えっ…(°∇°;)


私は、しばらくメールを見つめていた。

雄二郎のメールの前には、去年、投稿したサイトから、公募のお知らせが届いていた。


アブラゼミの鳴き声に、既視感を感じる。


夏が来る。


また、新しい夏が。

そして、春には……名古屋の予感が…





読んでくれてありがとう。

1年経ってしまったので、2章を終わらせて、3章を書きます。

ファンタジー、難しいです。

しかし、新キャラの登場で、書いてる私はすこし楽しいです。

今度こそ、ファンタジーを書いて、名古屋へ行けるのか?なあ。

1万字10円に直しました(//∇//)

10倍ポイントupで10円相当だったので、普通なら1円?とか、考えていたのでつい、作品に出てしまいました。が、流石に1円は悲しいので、10円にしておきます。

 この物語はフィクションです。ので、気にしないでください。

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