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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
96/111

晴れ男

いけない…(x_x;)


私は、ノートに書き始めた物語に思わず手を止めた。

これでは、なろうテンプレ、ざまぁもの?にはならない。

人気作にするには、〜したって、もう帰る気はありません。と、持ってこなくてはいけないのだ。


なろうのテンプレ主人公は、仲直りなんてしない。ようなのだ。

その辺りは、読み込んでいないから、イマイチ理解出来ていないのだが、とにかく、ぐ…じゃなくて、パーティに帰ってきたらダメらしい。

まして、シュトルーデンに釣られてホイホイと戻ったりしたら…炎上…なんて、私クラスでは起きないけど、読んでも貰えない。


面倒くさいなぁ…


私は、今流行りのなろうテンプレの難しさが嫌になってきた。


仲良くなって、ハッピーエンドで良いじゃない。


私は、ため息をつきながら回想する。



あれから…私たちは、スンナリと元に戻った。

その日のフリマは晴天だった。

台風が予想を大幅に外れたのだ。

まあ…、あの年は、台風が多くて、予想を外す意外な動きをしていたから、まぐれ当たりだとは思うけど、我々は、邪神と化した雄二郎を崇め奉った。


晴れやかな夏の終わり、夏休み最後のイベントに、雄二郎は、シュトルーデンを手に恵比寿顔でいつもの席を陣取った。


が、いつも通りでもない。ニューフェイスの縦村が参加していたから。


縦村は、白い麻のジャケットの袖をまくり、黒いTシャツ、ジーンズ姿で現れた。

時代遅れなスタイルだけれど、すらりとした8等身の男が着ると、田舎の地味なイベントの中では、彼は今日呼ばれたエンターテイナーより、エンターテイナーに見えた。

私たちは、イベント一時間前から準備を始めるけど、当時、その辺りから良いものを探すフリマファンが既にやって来ている。


綾子が持ってきた傘つきの白い椅子に長い足を組んで座り、コンビニのアイスコーヒーを持つ姿は、近所の衣料店のチラシのような、怪しげなかっこ良さが漂い、フリマの女性ファンの視線を集めている。


「なんか、凄いわよね…。あの人、渋谷で読者モデルとか誘われたらしいわよ。」

私は、綾子にそっと耳打ちする。

「ふーん。」

綾子はアイスコーヒーを手に、値踏みするように縦村を見て、からかうように私に笑いかけた。


「スミレって、こんな男が好みだったよね?」

綾子の嫌らしい流し目に、私はムッとなる。

「好みじゃないわよ。私は、もう少し線の細い…華奢な感じが好きだったわ。」私の視線が無意識に奈津子を追う。

年は重ねたけれど、今でも颯爽とした立ち姿をしている。

「あら、旦那さん、マッチョメンじゃん。」

綾子が両腕をあげて私をからかう。

「やめてよ〜あれは、お父さんと舟釣りにはまってからよ…。結婚するまでは、あそこまでじゃ…無かったわ。」

私は、若い頃の旦那を思い出して、なんだか照れてしまう。が、このままでは、綾子のペースでからかわれてしまう。なんとかしないと。


「そんな事より、あの女性、お客さんじゃない?なんか、縦村さんに近づいてきたわよ。」

私は、近づく年配女性に気がついて言った。


縦村は、女性が近づくと立ち上がり、なんだか楽しそうに話始める。

「何か、飲み物貰える?」

雄二郎に声をかけられて、クーラーボックスから麦茶を取り出した。

雄二郎は、一杯目をぐっと飲み干し、二杯目はちびちびと飲みながら、独り言のようにぼやく。

「なんか、縦村さんが女性と話してるとイライラする…。」


えっ…(°∇°;)


私は、ボヤく雄二郎のオヤジ顔が一瞬、オンナの嫉妬顔に見えて言葉が出てこない。


「暑くなってきたからね。氷入れとく?」

綾子はクーラーから氷を取り出して雄二郎に渡した。 雄二郎は、嬉しそうにお茶を飲んで、最後に氷を口に入れながら、「あっ。」と、冷たそうに目を閉じて氷を楽しんでいた。


私は、雄二郎の小さなボヤきが気になってモヤモヤする。

が、雄二郎は、氷を貰ってスッキリしたのか、すっかり、自分のぼやきについて忘れていた。



ダメだわ…(-_-;)


私は、ノートを見ながら、絶望的な気持ちになる。

もう、私、なろうファンタジーテンプレなんて書けないわ。

大体、雄二郎に主人公なんて無理なのよ。


私は、雄二郎に責任転嫁をして膨れっ面になる。


ネットでは、なろうテンプレは、簡単だって言うけれど、「ざまあ」とか、〜しません。とかの制約は、結構、面倒くさい。


そして、時計を見ると、もう4時。遊んでられない。

私は、夕飯の買い物に出掛ける準備をする。

準備をしながら、そろそろ書き始めないと、投稿できずに不参加で0円になりかねない。


エコバックを手に、そろそろ決断をする時だと思った。


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