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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
90/111

追放

暗い仏間で使われないパソコンのディスプレーだけがセーブモードで動いている。


雄二郎の事を思い返して何故か、ため息が出た。


私はなんとも説明できない、やるせなさを胸に台所にサイダーを取りに行った。

現在、流行りの『追放もの』と言うものとは内容が違う気がした。


ネットのファンタジーでは、追放される主人公は格好よく無いと読まれないらしいし、雄二郎はお世辞にも格好よくない。

しかも、自分で来ないと宣言したんだから。


私は、その時の事を思い出して少しイラッとした。

正直、雄二郎が居なくてもフリマの戦況には異常はない。

でも、夏が来る度に一緒にフリマをした記憶が、目覚ましかけないくて遅刻なんて、馬鹿げた理由で離れて行く友人を残念がっていた。


無能だろうと、なんだろうと、一緒に遊んで季節を重ねた人間をグルーヴ…じゃなくて、パーティの総意で仲間はずれにするなんて。私には理解できなかった。


ネットのファンタジーの場合、基本、ゲームの世界観が影響しているようだ。

インターネットで不特定多数の匿名の人物の中から仲間を作り、魔王などを討伐したりするパーティと呼ばれる仲間をイメージして作られる。

だからなのだろうか?

なんともあっさりと仲間はずれにされる主人公に混乱しながらも、そんなものなのか?と、納得しようとする私がせめぎあう。


なんだか無性に昔のアニソンが聴きたくなってきた。


パソコンの音楽のファイルを開いて題名を見ているときに閃いた。


『フランダースの犬』

つまり、そう言う事なのだ。私はモヤモヤとした霧が晴れる気持ちになる。


『フランダースの犬』は、19世紀ウィーダさんと言うイギリスの女性が作った物語である。


アントワープと言う街の辺りのお話で、貧乏で両親の失っておじいさんと暮らす少年ネロとパトラッシュと呼ばれた犬との物語で、物語の中盤からネロは色々な誤解を受けて、町中の人に嫌われ、お爺さんを失い冬の夜に借家を追われ、教会でルーベンスの名画を見ながら亡くなる…悲劇的な物語だ。


ネット小説の異世界転生ものは、多分、この教会でルーベンスの名画を見ながら事切れた後の物語を描いているのかもしれない。


なるほど、と、思った。

私だって、『フランダースの犬』をまた見るのは少し勇気がいる。

長く、健気な少年が不幸になり嫌われる描写を見続けるのは辛い。しかも、亡くなるのだからたまらない。

早送りしたくなる。どうせ内容は知ってるし、最後だけチョッと見よう。

そして、天国の幸せなネロを見たい…と、考えるのが異世界転生なのかもしれない。


で、ネロの苛められたシーンを早送りして、借家を出て行くところから書き始めるのが追放もの…


ああ…そう考えれば、まだ、ついて行けそうな気がした。


テンプレと呼ばれる物語の描かれない設定は、暗くなるから早送り、見たいに考えると、最近の流行りについて行けそうな気がした。


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