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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
ラジオ大賞
9/111

最終話 結果発表

そして、私は、カラオケボックスにいた。


現在クリスマス真っ盛りだ。


私の作品は無事投稿され、そこそこのアクセス数をいただいた。


綾子はそのアクセス数を毎日楽しそうにスマホで見ては私をからかった。


案の定、落選はしたが、ほっとしたのもつかの間、綾子の奴、私へのサプライズなどとぬかして、ちゃっかり宇宙くんに作品を朗読させ、CDにして私にも1枚くれた。


私は、結局、良い台詞は思い付かなかった。

作中のヒロインにも、綾子にも、「さよなら」や、「別れよう」という台詞を悲しくて聞かせられなかった。私は、主人公と火星探査のロボットに数年分の彼女に送るメッセージを入れ込んで


「君の結婚式には、忙しくて戻れそうにない。僕は火星の土になるよ。君たちの子供が火星に来る頃には、きっと、この星にも綺麗な桜が咲いていると思う。」


と、三角関係の男を作って物語を修正し、そのせいか、面白味のない作品になってしまったと思う。


が、綾子は物悲しさの中に、暖かさがあると気に入ってくれて、加点の代わりに地元で有名な三角クレープを三つプレゼントしてくれた。



寒い冬の夜、それでも、学生時代に戻ったようで、気持ちに酔いながらフリードリンクもらいに部屋をでると、宇宙くんがついてきて、私に話しかけてきた。

「僕をモデルに作品をつくってくれてありがとうございます。凄く嬉しかったです。実家に戻っても、なんか、まだ、色々やれそうな気がしてきました。また、僕の作品、作ってくださいね。楽しみにしていますから。」


彼の爽やかな言葉に、聞き入っていると、

「はいっ。喜んで。私も、おばさんを手伝って作品投稿しますね。」

と、可愛い女の子の声を聞いた。


亜美ちゃんだ。


私は、おかしな声を発し、全ての緊張が解けた現在、正しい人間関係を認識したのだ。


宇宙くんに想いを寄せていたのは、


綾子ではなく、


亜美ちゃんだったのだ!


だから、犯罪で、


だから、綾子の旦那がてを出すと、宇宙くんを殺しにくるわけだ。


ああっ。


そうだよね。うん、娘なら分かる。


うん。犯罪だわ確かに。

「がぁぁっ。」

私は、へんな雄叫びをあげてそこにへたりこんだ。


ボックスから漏れてくる、誰かが歌うクリスマスソングが耳に染みる。


私は立ち上がり、気持ちを切り替えて宇宙くんに微笑みかけた。


「ごめん。ちょっと疲れちゃって。そうだね、機会があればまた、挑戦してみるよ。プラネタリウムには(スター)がいる。からね。なんて、つまらなかったか。ははっ。じゃあ、私は行くわ。」


私のおかしな台詞は、直ぐにあの二人は忘れてしまうに違いない。


だって、今日はクリスマスで、恋の魔法は直ぐに消えてしまうものだから。

明日には宇宙くんは実家に帰る。

今、この瞬間、オバサンに構っている暇はないはずだ。


なんて、浮かれて部屋にかえる私は、後に亜美ちゃんの空約束に悩まされるなんて知るよしもないのだった。


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