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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
85/111

バブルの時代から来た男

ざまぁ…それは、なろう系ファンタジーにおける復讐劇のテンプレを表す言葉として使われる。


よくあるのは、勇者のパーティと呼ばれる冒険集団の地味な裏方をしている主人公が、無能と言われ集団から仲間はずれにされ、でも、スゴい能力が覚醒して幸せに暮らす。と、言うストーリーに使われる。


復讐しないのか?


この辺りは、バリエーションがあるようだが、大概の場合、主人公を追い出したパーティが勝手に自滅し、勇者が主人公に助けを求めるけど、知らん顔する。

それで『ざまぁ』になるらしい。



雄二郎がフリマに遅刻した日、私たちにも嵐が近づいていた。

テンプレだと、追放される人間は無実の罪とか誤解を受けるけど、

雄二郎は、8時に来る約束を寝過ごして12時にフラりと来る。しかも、いつも起きているから、と言う意味不明な根拠で目覚ましをかけないのが原因で。


その上、謝るどころか、奈津子に『遊びなんだから良いじゃない。』と、憎まれ口まで叩いたのだ。


奈津子は怒っていた。

どうも、雄二郎がランチに誘ったらしいが、用事があると断るくらいに。


さすがに、私と綾子も腹が立ち、この日のお疲れ会はしないで帰った。

翌日、少し不満のあった私達は、昼に集まって昨日の反省会をしていた。

反省と言っても、ほとんどが雄二郎の悪口だけれど。

「それにしても、最近、雄二郎のヤツ、ダレすぎだよね?」

と、奈津子が言い出したところで、誰か男の人の右手が奈津子の肩に乗る。

少し不機嫌そうに驚く奈津子が見上げた先には、長身の中年男性が立っていた。

「久しぶりっ。こんな所で君に偶然出会えるなんてラッキーだな。」

と、男はウインクを奈津子に投げた。


(;゜∇゜)


私と綾子は固まった。

クールグリーンの工務店の人が着るような作業服をパリッと着込んだ男の登場に、歪んだ時空に迷い混んだような、妙な酔いが襲ってくる。


な、なんなの、このバブルの時代から来たような男は!


男はイケメンだった…。

187センチはあるだろうか?細身の小顔で、何より足の比率が胴より長い、昭和の少女漫画な脚線美。


が、全体から漂う雰囲気が、残念な事にトレンディ…なのだ。


今どき、オールバックでこうも全面的に『カッコいい』オーラ前回でたたずまれていても、いろんな意味で赤面してしまう。


私は、綾子の顔を盗み見た。

ここは笑うところ?誉めるところ?どっちなの!?


私のアイコンタクトは、綾子には届かなかった…が、男の方は傍受したらしく、芸能人がファンの女の子にするような、なんか上から目線の暖かみのある視線を向けられる。


(///ロ///)えっ…


なんか、目があってしまい、赤面しながら開いた口がふさがらない私に男は慈愛のこもったアイドルスマイルで自己紹介を始めた。


「ごめん、君たちを脅かしてしまったかな?

俺、縦村(たてむら) 雅也(まさや)。宜しく。」

と、縦村と名乗る男は右手、人差し指と中指を、右のこめかみに軽く押し付けてからぱっとはなして微笑んだ。


(゜-゜)

(゜0゜)

私と綾子は、何も言えずに顔で挨拶をしてしまう。


ビックリしたのだ。

トレンディドラマのような、派手な挨拶を…今どき、しかも、こんな片田舎の喫茶店で見ているシュールさに。


縦村は、そんな私達を困ったように苦笑で返しながら、奈津子に向かってビジネスライクにこう聞いた。

「なっちゃん、もしかして、これから、山本さん所へ行く?だったら、俺も乗せてくれないかな?」


縦村の甘えるような口ぶりを、奈津子は少し面倒くさそうに聞きながら、

「良いけど、車で来なかったの?」

と、文句を言った。

縦村は、アメリカのファミリー劇のように大袈裟に肩をすくめて、

「ココ、駅前だぜ。移動は勿論、電車だよ。」

と、我々に笑いかけて同意を求める。

私と綾子は、この不思議な男性について聞きたくて奈津子を見た。


奈津子は私達を見ながら、面倒くさそうに眉をしかめて縦村を見ながら、

「分かった。送るから、少し向こうに行っててくれる?」

と、命令し、私たちにはこう説明した。

「取引先の工務店の社員さんだよ。設計とか、測量とかを担当…してるはずなんだけど、なぜか、営業もたまにしてる人だよ。」


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