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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
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もう遅い…

クーラーの冷気に包まれて私は一瞬、睡魔に襲われた。


作り始めた物語の世界が眠っている間に動き始める。


この短い時間で、私の異世界をテラフォーミングする。

火星のテラフォーミングなんて、なんだか良くわからなかったけど、

信州風味のヨーロピアンのその場所は、爽やかな風が吹き、

オリンポス山は雪を冠して赤富士の美しさだ。


火星には無いけど、富士山風味のオリンポス山の前に飛騨山脈風味の山を作る。

私の主人公はそこへ旅に行く予定だ。


重力は地球と同じにするけれど、

(えいせい)は二つ。

フォボスとデイモス。


この二つの火星の衛星は小さくて、海があっても、月のような潮汐はおきない気がする。

この辺りは、月に合わせるか、別にするか、そこはまだ考え中だ。


まあ、そんな事より、赤い流れ星のお陰で、この小さな村は飢饉に陥ることになる。


収穫された麦を計算しながら、長老たちは初秋のうちにやるべき事を相談し始める。


老騎士ローランドを追放した…勇者、と言うか、騎士団長の名前をロロにする。

彼は領主の次男坊。

確か、西洋の貴族は、長男以外は優遇されていなかった気がする。

騎士とか言って、領地を追い出され、前線で戦ったりとかしていたような話をロードス島の物語で読んだ記憶があるから、そんな身分にする。


ローランドとロロが、どうして仲違いをしたのかはわからないけど、

慎重派のローランドの言うことをロロが聞かなかったのだと思う。


ローランドは、亡くなった前のお妃の忘れ形見のロロを息子のように思っていて、少し細かく指導をしすぎるところもあったけど、彼が一人前の騎士団長になるように見守っている。


でも、その思いは届かずに、ローランドは辺境の地へと旅立つ事になる。


そして、月日が流れ、

長い冬を前に、少ない食料を若い世代に回すために、ローランドと老人たちはオリンポスの山に竜退治と言う名目の口べらしの旅を決意する。


そして、出発が近づく時、

領主と坊主が祝福を与えに来るのだけれど、

領主の関係者としてロロが村へと来るのだった。


様々な経験を積み、男として成長したロロは、村のために死の旅を決意するローランドに今までの事を謝るのだった……。



その様子と一緒に、お父さんが亡くなる前の事を思い出していた。


弟とお父さんは、あれから喧嘩もしなかったけれど、仲良くもしていなかった。

何処と無く距離を置いた関係を続けて、大学を卒業するとそのまま都会に住み着いてしまった。


病院のベッドで、嬉しそうに弟に話しかけるお父さんの笑顔に、弟は実家に戻ってから複雑な顔をしていた。


親孝行、したいときには親は無し。


なんて言うけど、弟は何を考えていたのだろう?


人は、どうにもならなくなってから、大切なものを思うのかもしれない。


一瞬、web小説で流行りのフレーズ『もうおそい。』と言う言葉を思い出した。


お父さんの少し、はにかんだ笑顔が思い浮かんで涙が出てきて起き上がる。


胸に込み上げる父への思いに混乱しながら、


これは、いわゆる『なろう系』の『もう遅い』ではないんだろうなぁ。


と、鼻をかみながら苦笑した。


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