爛漫の花びら…舞う季節
しばらく、ネットの謎の知能にオススメされるままに、卒業の曲を聴き、
私は、意を決してノートに向かう。
白状すると、私は、学生時代に告白なんてした事はない。
高校は女子高だったし、中学時代は、奈津子とアイドルにひそかに憧れて、怪しげな妄想を膨らませていた。
90年代は、アイドル全盛期だったし…役者もアイドルも素敵な人がいっぱいで、キラキラのドラマの世界だけでお腹一杯だった。
同級生の男子なんて……
中学生のリアルな男子なんて、乱暴でうるさいだけだった…。
そんな私が、甘酸っぱい思春期の少女の恋のポエムを書くなんて…(T^T)
人生、なにがおこるか分からない。
まあ、良いや。別に。
酔いも手伝って、甘ったるい80年代アイドルの恋の歌のイントロにのってみる。
ヒロインは年下で、かわいいお下げ髪。
マフラーでも編ませちゃおう( 〃▽〃)
私は、バレンタイン前に、クラスの女子で編み物が流行った事を思い出した。
誰かが…バレンタインの告白の話をして、
なんだか、編み物大会になったんだっけ……。
あの頃、100円ショップとかで、面白い編み糸が沢山出回るようになって、
お母さんとかも、興味津々で一緒に編んだのだわ。
私は、昔を思い出して嬉しくなった。
中世ヨーロッパ風味の異世界には、大型の服飾店はないだろうし、
ネクタイは、昔は若い娘が、戦に向かう青年の無事を祈って渡した、とか、なんとか、聞いたことがあるから、
私の異世界では、マフラーに愛を込めよう。うん。
マフラーは、敵からの首への攻撃から、愛しい人を守ってくれるはずだから。
イメージがわいてきた。
春先の満開の桜…(私の町は、あの頃はギリ、ゴールデンウイークあたりが開花時期だけど。)
三つ編みの少女の影が地面で不安そうに揺れている。
爛漫の花びら…舞う
あなたとの思い出が降り積もる
狂い咲くように胸に溢れる、あなたへの想い……
綺麗な光景だった…
桜の並木道、マフラーを胸に抱えた三つ編みの少女の影。
驚いたように止まると、少女の視線の先には、凛々(りり)しい眉の優しい勇者!?
(;゜∇゜)あっ…
ここで、自分がファンタジーを作ろうとしていた事を思い出した。
500円を稼ぐには、ヨーロピアンな異世界を目指さなければいけない。
ヨーロピアンな世界観に桜はミスマッチだ。
ついでに、西洋の新学期は9月…辺りだった気がする(-"-;)
マズイ…考え直さないと。
私は、作り出した世界の調整を始める。
ヨーロッパの旅立ちアルアルは良くわからないけど、
卒業は初夏と言うところだろうか?
日本は米が主食で、収穫は秋だが、
ヨーロッパは麦が主食で、収穫は夏になる。
主人公の少年も、農村スローライフなら、収穫時期に働いてから出掛けるに違いない。
麦秋の夜空に夏の大三角形がきらめき、
少年は、農繁期の手伝いに忙しくしていて、
少女は、そんな少年や男達のために夜食を作る。
少女は、夜食を作りながら憂う。
少年との別れが近づいているから。
でも、秋か冬に出掛けるのよね(-"-;)
私は、作り始めたイメージが変わってゆく。
秋にドラゴン退治なんて、なんか、イメージがわかないのだ。
秋がくれば、すぐに冬になるし、北国の秋は短くて、昼夜の温度差も激しい。
子供が野宿とかは無理だろうし、
寒い冬に旅立つ意味が、思い浮かばずに、嫌な予感が渦巻き始めた。
秋から冬にかけて旅をするとなると、あまり楽しいイメージがわかない。
こんな時期に旅をしなければいけない理由があるとしたら…
くちべらし……(-_-;)
一瞬、うば捨て山の物語を思い出した。
冷夏や不作の年に、年寄りが家族の食料を考えて、山に遺棄される、そんな物語だ。
この話では、姥、つまり、バーさんばかりが捨てられるので、女ばかりズルいと先生にもんくを言ったことがある。
小学時代の国語の先生は、男だったので、少し困った顔をしながら、こんな話をしてくれた。
「子供はお母さんの方が好きだからね。
昔話では、母親が捨てられる話になってしまうけど、お爺さんだって、平気で家にいた訳じゃないんだ。
男の場合は、自ら山に向かうことになる。
山形方面に残る即神仏の伝説などは、そんな食料不足の時に、自ら食を絶った男性の話ではないかと私は考えているんだ。」
こんな話を思いだし、
禍々しい星が流れた私の異世界では、その年は不作となり、
村の老人と老騎士ローランドは、ドラゴン退治と言う名の、くちべらしに旅立つ事になる……(ー_ー;)
なんだか、一気に暗い雰囲気に引き込まれ、
なろうテンプレの明るい展開から外れて行く。
テンプレでファンタジー…簡単に見えて、難しいのだ。
超絶スキルで解決さ。
しらないうちに解決さ。
ふふふん〜るるる〜
俺、最強!!
「テンプレなんて、簡単じゃん。」
どや顔のジローの顔が思い浮かんでムカついた。
でも、悔しいが、web小説の主人公なら、奴の方が適任なのだ。




