中年よ大志を抱け。
夕方、旦那は食事を軽く済ませて釣りへと向かう。
本当に釣れているのかは知らないけれど、こちらも忙しいので気にしない。
お互いに気がそぞろで、軽く素麺で済ませると、
旦那はバイクで出掛け、私は、食器をあらい、風呂に入って、自室へこもる。
記念すべき第一話を打ち込まなければ!
中学時代、プラネタリウムの公募に応募した時のドキドキを右手が思い出す。
webで、何回か公募に応募したけれど、個人的な評価以外を気にしてはいなかった。
他者の評価を気にしながら作品を応募するのは、多分、中学以来だと思う。
挫折してから、私は、小説を書くのをやめて、高校は手芸部に入部した。
中学の夏に人生をかけた小説が撃沈した時の気持ちが甦ってきた。
千円稼げなかったらどうしよう(゜゜;)
一瞬、よくわからない不安が込み上げる。
でも、もう、止めるわけには行かない。
おっさんジローと異世界生活に、web小説作家人生をかけて旅をするしかない。
私は、机に座ってため息を、いいえっ、深呼吸をしてパソコンの電源を入れた。
設定はした。
ジローが異世界に行ってから、妖精少女に出会って旅に出るまでで一話。
一万字で完結予定。投稿してみることにした。
パソコンのディスプレーに不安そうな私の顔が写り込み、そして、明るくなると同時に消えて行く。
軽く息をはいて、ソフトを起動させる。
さあ、書いてみよう。
本当にこれがテンプレで良いのかもわからないけれど、
面白いかもわからないけれど。
1万字を5話に分けて一つの話。
1話10アクセス×5=50アクセス。
これ以上とれたら、まずは出だしを成功として、それがいくらになるかを調べよう。
1アクセスが1円なら、50円………。
辛い(-_-;)
辛い戦いが待っている気がした。
横のタンスの上に、母の形見の瓶の貯金箱があり、1円がつまっているけど、50円より入ってるだろう。
重くなる気持ちを降りきるように頭をふるい、私は、音楽をかけた。
『AMBITIOUS japan』
検索すれば、新幹線の画像とともに曲が流れる。
ああっ…北陸新幹線経由で、東海道新幹線……
のぞみ!
これに乗って、駅弁片手に名古屋に…
名古屋にいきたいっ。
私は、歳のせいか、『のぞみ』の勇姿に涙目になる。
大体、金をためても、本当に慰安旅行なんて、気楽に行けるようになるのだろうか?
軽快で前向きな歌詞を聞きながら、自分のおかれた状況の違いに悲しくなる。
ついでに、北陸新幹線から東海道新幹線に乗り継いだら、片道でも二万円じゃ足りないことに気がついて笑いが込み上げる。
そう、悲観ばかりしていても仕方ない。
1話50円なら、10話で500円。
100話書いたら、5000円(ーー;)
長い道のりだけど、
冒険者 BE AMBITIOUS!
とにかく、1歩を踏みしめたら、夢物語が現実に変わる。
中年よ、大志をいだけ。である。
名古屋に遊びに行くだけなんだけど…
途方もない事を成し遂げる前の気持ちになって笑う。
と、その時、スマホにメールが届いているのに気がついた。
雄二郎である。
本文…
心配してくれてありがとう。
仕事が決まったよ。
今度の仕事は時給が良いから、今度こそ名古屋に行こう。
はあっΣ( ̄□ ̄)!
ち、ちょっとぉ。
私は、雄二郎のメールに頭が混乱する。
推定1話50円。
こんなんで、ちまちま稼いでる暇なんて無くなったってこと?
と、言うか、行けるの名古屋?
アンビシャス ジャパンを久しぶりに聴いていて、なんだか、歌詞にしんみりとしました。
勇者、果たしてスミレに書けるのか。問題は山積ですが、
この曲に応援されて頑張ってみようと思いました。
なかにし先生のご冥福をお祈りします。
すいません、プラネタリウムの公募にスミレは応募してたのでした。




