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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
46/111

テンプレとおもしろさ

セミの鳴き声に送られながら、私はもと来た道をもどってゆく。


頭の中では、なろう系ファンタジーについて必死で考える。


噂では、

おっさんで、無職でニートで、無能だけど性格は良くて、ひょんなことで他界するけど、なんか、神様から無敵のスキルをもらってスローライフすれば、まあまあ読まれるらしい(-"-;)


分からない。何か面白いのか…


が、まあ、他界する事と、神様に無敵のスキルを、もらう以外は、雄二郎はなろう系の理想的な主人公である(たぶん…)。


設定が理想的な上に、太っていて、顔もユニークだから、異世界のイケメンバージョンとの落差も面白い。


私は、雄二郎の「しゅっ」とした、細身のハンサム姿を想像して思わず笑ってしまう。


きっと、本人が一番、混乱しそうだわ。


雄二郎のあたふたした様子が目に浮かぶようだが、

果たして、見ず知らずの読者が、怠け者でロクデナシの雄二郎のイケメン話なんて面白いのだろうか?

不安になる。


夏の美しい青空に、白い積乱雲が浮かんでいる。


私は、首に巻いたタオルをとり、汗を拭いてしまうと、スーパーへと足を向ける。


道中、決まったところまでを通しで考えてみる。


ジローは建築関係の仕事をしている中年の独身おやじ。


ある日、車で二時間の現場を終えて、地元スーパーでキャベツメンチを買って帰る途中、物凄い睡魔に襲われ眠ってしまう。


そして、起きると異世界だった。



(ーー;)何がしたいんだろう、私。


つらつらとあらすじを思い浮かべて、あまりのつまらない内容に躊躇(ちゅうちょ)する。


大体、なんで、あんな奴に無敵の力なんて授けなきゃ行けないんだろう?


交通事故をおこさない事にしたので、普通でもパットしない上に、さらに、どうでもいいキャラクターになっている。


異世界テンプレには色んなバージョンがあって、

ブラック企業で過労死、なんていう設定もあるみたいだけど、


なまじリアルなモデルがいるので、物事が客観的に見えてきて、主人公の時ジローに感情移入ができない。


昔、知り合いの農家の一日バイトを雄二郎としたけれど、すぐにへたばるし、不器用だしで大変だった事を思い出す。


奴が手を抜こうとする度に、奈津子のゲキが飛んでいたけれど、


あいつの分まで球根を掘り出し、みんなの弁当を用意してきた奈津子にあたるなんて筋違いだ。


私は、暑さの中でファンタジーと現実を混乱させて怒っていた。


とは言え、異世界に転移したジローをこのままには出来ないので、やはり、何か、スキルを与えなければ行けない。


車の外は、ドラゴンが生息する異世界。

ガソリンは無駄使いないように車のエンジンは止め、運転できないように軽く地面をぬかるませて、草ぼうぼうの林におく。

これで、いざと言うときまでガソリンを使うことはないだろう。


2年前に30万で買ったシルバーメタリックの軽自動車の運転席で、ジローは大きな体を二つにおって、運転席で派手なイビキをかきながら眠る。


屈託のない寝顔を想像しながら、ジローのこの先が思いやられた。


これ、本当に面白くなるのかしら?


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