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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
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33/111

Show By?2

「……なんでも良いけど、さすがに、目標2万円とか書くのはどうかと思うわ。」

奈津子の笑いが収まる頃、私は、絶対に反論できないところを攻めた。


いくら何でも、あからさまに目標金額2万円とか書いては、感想欄だって荒れるに違いない。

運が悪ければ、通報されて、運営の人に怒られるかもしれない。


いい年をして、若者に2万円をたかって叱られるなんて……嫌すぎる。


私は、その様子を想像して赤面した。

しかし、奈津子は、あっさりとこう切り返してきた。

「でも、スミレの…私達の登録したサイトは、お金儲けは出来ないんでしょ?」

「ええ。」


屁理屈を…(-"-;)


私は、とりあえず頷いては見たものの、不満が胸に溜まるのを感じた。


だって、2万円必要なのは本当の話で、ここで宣伝と練習してから、他のサイトで金儲けしたいのは事実なのだから、

その辺りのあざとさを見破られたら、読者なんて離れてしまうに違いない。


「でしょ?これはあくまで『フィクション』なんだから、お金儲けを企てている『私』も架空の人物で、

彼女が呼び掛けている読者も架空なんだもの。


こんなんで違反切符を切られたら、『唇のねじれた男』みたいな名作は、そのサイトでは生まれないでしょ?」

奈津子は、どうだと言わんばかりにそう言った。


『唇のねじれた男』は、コナン・ドイルの……

シャーロック・ホームズのお話で、このネタは妙に人気がある。


ネタバレすると、突然消えた夫を探す婦人の話で、

実は、夫は名士でも何でもなく、ものごいで大金を稼いでいた。

と、言う話だ。

まあ、この男、話のうまい人物で、ビックリするくらい金を稼いでしまい、もの乞いから足抜け出来なくなるわけで、


このパクリネタの物語を、子供の頃に何度か見かけた記憶がある。


昔は、センセーショナルで、背徳感があったのだろうが、ネットの時代、

我々のようなWeb作家やYouTuberなんかが流行る時代に生きていると、

ドイルの作品の主人公、セントクレアの成功と奈落を思って感慨深く感じる。


そう、一度書籍化して纏まったお金を手にしても、誰も彼もが『めでたし めでたし』で終わらない事を、その後のネタぎれの恐怖を……みんな何処かで予感するからだ。


「そんな事はないわよ。

このサイトだからこそ、

日々、ドラマが生まれては消えて行くんだわ。

『唇がねじれた男』以上のスリルとサスペンスの物語がね。」

私は、『雄』の部分を切り取られ、次郎と名を変えてこのとんでもない世界に召喚されそうになっている雄二郎を思った。




〜この男は、いい歳をして交通費すら払えずに、私に思い出を売る権利を差し出したのだ。〜



奈津子にこんな風に書かれては、雄二郎だってやりきれないに違いない。


「へぇ〜ちょっと感心したわ。

どんな題名の話なの?」

奈津子は、Webの作品と勘違いしたらしい。


「ヴァカボン…これから、私達が作り出す物語の事よっ。」

私は、少し不機嫌に言った。

Web小説の場合、オンラインで作者の人生ドラマも反映される。


ネットの世界には、ホームズばりの推理力と

モリーアーティよりトリッキーな人物が、面白ネタを狙っているのだ。


世間知らずの赤頭巾ちゃんのような奈津子に私は、先の心配をする。


が、私の気持ちは奈津子には上手く伝わらなかったらしい。

奈津子は、私の話を聞いて、高揚したように楽しそうにこう言ったのだ。


「すごいっ!スミレちゃん、本気だねっ。」


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