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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
投げ銭大将
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スミレ、ふりかえる

一軒家に一人。私は簡単に夕飯をすまし、お風呂に入って二階の自室に入る。

ノートを開いて、やる事も無いので小説を考え始めた。


二万円稼げる小説。


いきなり考えても分からなかった。

ので、雄二郎の物語を考えることにした。


なんで、こんな事に(-_-;)


クーラーの心地よい風を浴びながら、私は布団に寝転がった。

学生時代から、このスタイルが一番、いいアイディアが浮かぶ。


でも、今回は考えることは無い。

ただ、素直に雄二郎の事を書けば良いのだと思う。

私は、古い記憶を呼び起こす呪文のように利伸の曲をかける。


少し時代は古いけれど、年上の雄二郎を思い出すのは90年代の利伸なのだ。


軽快なメロディと、利伸のスキャットが、派手で贅沢な都会の生活と、雄二郎の華麗なバブル人生を思い出させてくれた。


実際は、この時代の雄二郎を私は知らない。


私は田舎の女子高生で…

友人の綾子はルーズソックスとミニスカートを冬でも止めずにお母さんと喧嘩していた。


雄二郎は、もう、その時は建築関係の仕事をして、結構羽振りが良かったらしい。


毎年、新製品のスキー…(スノボはやらないらしい)を買い、スキーウェアーを新調していた。

そうして、自分でワックスをかけたスキーを積んで車でスキー場へと出掛けたんだそうだ。


私は、すっかり茹で玉子の妖怪のような、丸々と太った雄二郎を、戦隊ヒーローチックな体型に頭の中で整えて、その、アニメの変身でも難しそうな変化した雄二郎に爆笑する。


「ねえ、誰と行ったの?彼女?」

私と奈津子と綾子は、ヤル気満々のバブリーなスキーの話に、興味津々で聞いた。

「一人だよ。」


雄二郎は、あっさりとそう言って私たちを驚かせた。


雄二郎がスキーに夢中だった頃、

学生だった私達は、スキー場のナンパとか、偶然の出会いを空想していた。


広瀬さんの冬のヒットソングとクリスマスのラブストーリー。


雄二郎なら、マジであの、シルバーのハートネックレスをプレゼントしたり、ワインで乾杯してそうに思っていたので、

半分がっかりし、半分は納得していた。


スキー場で

「Hey!彼女?」

なんて、ナンパする雄二郎なんて、雄二郎じゃない気がするし、

本当にHEY彼女?なんて、声をかける人物なんて、居ないと思ったからだ。


私は、ナンパもお見合いパーティに行くこともなく結婚したから、特にそう感じるのかもしれない。


こうして、年を取り、一人っきりで家にいると、

一度くらい、渋谷とかでナンパ師に声をかけられてみてもよかったかもしれないとか考えて、

その考えに苦笑する。


馬鹿馬鹿しい。


私がふざけた考えとノートを閉じていると、スマートフォンが、奈津子のメールが来たことを知らせてくれた。


耳に、中学時代に好きだったドラマのテーマソングが入ってきた。


少女時代に経験した、少し、渋味のある甘い予感に包まれて私は奈津子のメールの題を見る。


幸せを売る男(仮)


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