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ラジオ大賞  作者: ふりまじん
白百合姫
104/111

奈穂子

中学時代に書いた、痛々しい私の願望小説を…40代になった現在、姪によって解説されるのを聞く……。

地獄である。


そして、令和の現在、私の話は知らないカテゴリーに分類されていた。


TS百合


どうも、男性が記憶を持ったまま、少女に転生する物語の事らしい。


色んなバリエーションがあるらしいが、主力は20代を過ぎた大人の男性が、記憶をそのままに、少女として女の子に恋愛するものらしく…まあ、姪の引き具合から、片寄った知識の可能性は捨てきれないけれど。

男くさい文章で、少女に近づく描写が、高校生の姪を嫌がらせているようだった。

私からしたら、百合…は、女性が描くものだと信じていたので、男性も書くのか…と、時代のトレンドにビックリした。


で、私の作った話についてだけれど、

遠い昔、タイタンに文明があったとき、姫様つきの従者だった主人公が、お嫁に行く姫に恋心を持ちながら悶絶し、悩みながら、結婚の日を迎えるときに、隕石が落下してパニックに。

混乱するなか、主人公は姫を守りながら死ぬんだけど、その時、願うのよ。


二度と離れたくないから、来世では、同性として姫のそばで暮らしたいと。


で、1990年代の日本に転生し、高校生として二人はめぐりあい、

やがで、主人公は、前世を思い出して、友人の少女(お姫様ね)に恋心を抱いて悶絶する…


みたいな話である。


若い人は笑っても、同世代なら、きっと、理解してくれるはずだ。

あの頃は、そんなんが流行ってたのよ。


超古代文明と、生まれ変わる運命の男女の悲恋。

そして、めぐる世紀末。

まさか、TS転生とか、なんとかに分類されるなんて、ノストラダムスも分からなかったに違いない。


姪は、熱く語る…

ふれあうことすらままならない、じれじれの恋について。

そして、もう少し、ふれあわせた方が読者受けが言いとか、ポイントアドバイスを貰ったが、

奈津子を…モデルが実在する話に、抱きついたり、キスしたりなんて、書けるはずもない。

実際、近くで話すのすら、息が出来ない気持ちになった昔があるんだからっ(///∇///)


「ダメよ。その話は。」

私は、聞き終わってからそう言った。

文花は、不満そうに私を見る。が、私だって、恥ずかしさに悶絶していただけではない。

「これ、はっきりいって、昔、人気のあった漫画のトレースみたいなもの…パクリ?になるから、今の世の中、公に発表なんて無理よ。」


ふふっ…我ながら、いい言い訳だわ。


「えーっ。パクリ?なーんだ。」

と、残念がる文花の顔に、なんだか胸がいたくなるけど、学校とかで使われたらたまらないわ。

「パクリ…まではいかないけれど、グレーゾーンだから、怖いおじ様達に指摘されるわよ?JK好きの。」

JK…なんて、はじめて使ったわ。と、少し、浮かれる。

「マジ…。じゃあ、仕方ないかな。」

文花は、つまらなそうにコピーを折り畳んでしまう。

「待って、それ、私に貰えないかしら?」

私は、慌てて聞いた。

黒歴史は回収して置きたい。

「ダメよ。これ、先輩から預かったんだもの。」

文花の台詞に亜美ちゃんのママ…綾子の顔がよぎった。

「亜美ちゃんに借りたの?」

なんだか怪しい猫なで声が出る。

「違うよ。木曽さんが持ってきたの。」

「木曽?」

私は、どこの木曽さんか、頭のマップを検索する。

「うん、木曽 (あおい)さんが持ってきたんだ。」

文花のクラスメートでは、特定できない。

「お母さんの名前は知らない?」

と、聞くと、文花は首をふって、コピー用紙を開いて表紙絵を指差した。

「知らないけど、この挿し絵を書いた人みたいだよ。」



奈穂子(なおこ)ちゃんだ!!


私は、美術部幽霊部員の眼鏡っ子、木曽 奈穂子の事を中学ぶりに思い出した。


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