亜美
「高妻って…綾子、じゃなくて、高妻酒造のところの亜美ちゃん?」
私は驚いて文花を見つめた。そういえば、文花の学校は亜美ちゃんの高校でもあった。
「はい。そうです。」
文花は嬉しそうに同意した。
亜美ちゃんかぁ…
私は、ラジオ大賞に投稿するためにプラネタリウムに言った事を思い出した。
確か、亜美ちゃんは高校2年生。
綾子に似て、愛らしく凛々しい顔立ちの少女だったわ………え?
私は、ここで間違いに気がついた。
そう、ラジオ大賞に投稿したのは2年前、コロナで去年、会えなかったけど、今年、卒業しているはず。
「亜美ちゃんって、高校卒業したのよね?」
私は、焦るように質問し、文花の不機嫌を誘った。
「3年生です。来年、卒業ですっ。」
と、文花は一人で興奮して、私を責める。
「え?そうだったかしら?」
「そうです。スミレおばさん、酷いですっ。それじゃ、高妻先輩との約束もわすれちゃってますよね?」
文花は、泣きそうな顔で私を見つめるけれど、理由がよくわからない。
「ごめんなさい。私、何か約束してたかしら?」
私は、恐る恐る文花に聞いた。
文花は、人殺しでも見るような冷たい目で、伯母の私を見つめていた。
これは、マジでヤバイやつだ(^-^;
嫌われたくなくて、私は、心からお詫びをする。
「ご免なさい。コロナや何やらで、色々あって、覚えていないの。教えてくれたら、今からでも手伝うわ。」
私の言葉を聞いて、文花は少し拗ねたように上目使いで私に問う。
「本当に?」
ああ、身内 贔屓を差っ引いても、かわいいわ。
「ええ。私に出来ることなら…お金がかからない事なら、できる範囲でなんでも。」
私の言葉に、文花は水を得たタチアオイの花のように晴れやかに微笑んだ。
「じゃあ、大丈夫だわ。だって、小説を書いてもらいたいだけだから。」
え(;゜∇゜)!
「小説…って、なにかしら?」
と、聞きながらミゾオチが重くなる。
なぜ、なんで文花が知ってるのよっ!!と、言うか、私が小説…って、そんな約束、どこの異世界のやくそくよっ。
混乱する私に、文花は見覚えのある、可愛いピンクのCDをバックから取り出した。
ああ…(T-T)
思い出したわ。
そう、私は、綾子に頼まれて、ナイチンゲール宇宙くんの為に、出来もしない火星の話を作って、落選したんだった(>_<)
「なぜ、文花、あなたがそれを持っているの?」
心臓がバクバクいってるのを聞きながら、私は2時間ドラマの犯罪者のような心境でCDを見つめた。
が、私の気持ちに気がつかない文花は、カテゴリー『青春ドラマ』と言った感じの屈託のないピュアな笑みを私に向ける。
「これは…高妻せんぱいにお借りしたんです。
そうして、私にだけ、離ればなれの片恋を打ち明けて下さりながらっ。」
文花は、少し芝居がかった言い方で、自分の妄想に片足を突っ込みながらも説明してくれた。
それは、私に、あの、コロナが流行する前の、懐かしくも切ないカラオケ送別会を思い起こさせた。
ああ…口は災いの元とはよく言ったわよ。
確かに、私、約束していたわ。
ドリンクバーで、宇宙くんに言われたわ。
「僕の作品、作ってください。」って。
で、亜美ちゃんが
「私もおばさんを手伝う」とかなんとか、言ってたわ…( ̄〜 ̄;)
確かに、約束した。したわよ?
でも、あんなの、社交辞令でしょ!?
僕の作品作れ…なんて、社交辞令じゃなきゃ、大人は恥ずかしくて口には出来ないはずなんだからっ。




