三人の影
やっと僕のものにした君が窓辺で笑う
そこで待っていればあの男が訪ねてくるかのように
心を尽くして抱きしめる君が腕の中で泣く
あの男の感触を思い出すかのように
どんな歌も君を繋ぎ止められない
君は言葉を待っている
あの男が放つ言霊の数々を
僕に人生を預けた君が温室で笑う
あの男を思わせる花を育てながら
縋りつく君の瞳に翳りが走る
僕が何に気がつくか怖がるかのように
こんな歌も君の心を解かさない
心の底に沈む影
あの男は僕たちを放っておいてくれない
君は僕だけのものになり得ない