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アルベンスの動向は引き続き内偵することにして、新しい任務の振り分けを相談することになった。


任務計画書を見ながらヴィヴィが読み上げる。


「・・・・・・最後に、イルスラナ公国で直系王族が成人を迎えますので式典に参加することになりました」


「護衛ってこと?それなら第一特務部隊の仕事じゃないの?」


「そちらの依頼もありますが、今回はセルライン。貴女をご指名です」


「えっ?」


貰った飴を食べようかと迷っている間に任務の指名をされてセルラインは驚いた。


他国から単独指名ということは、まずないと言って良い。


「成人の儀を迎える本人からの指名です」


「待って、イルスラナ公国と言えば、馬車で半年はかかる遠国でしょ。隊長と一年以上会えないとか拷問じゃない!」


「なら国家問題にして戦争でもしますか?」


「それができないくらい分かってるわよ!隊長、飴をもうひとつだけください」


さっきの包み紙が赤色だったから今度は黄色の包み紙の飴をセルラインに差し出す。


飴ひとつで納得するあたりセルラインは扱い易かった。


「お守りにして頑張ります」


「それよりも飴なんだから食べてあげなよ」


「セルライン、帰って来たら一緒に劇でも見に行こうね」


「隊長とお出かけ!即行で任務を達成します」


移動するとなれば第一特務部隊と行動を共にすることになるが、セルラインを狙っている男は多い。


簡単に靡くセルラインでもなければ、盛大に拗らせている。


万が一という間違いも起きそうになかった。


「そう言えば・・・ワルナー様の母国ってイルスラナ公国じゃなかったっけ?」


「移動の馬車で偶然とかあったり?」


「あるかもしれないね」


「そのまま結婚してしまえばよろしいのですけどね」


あの二人が拗らせているのは知っているし、何とか発展させようとしたこともあった。


さらに拗らせることになったから傍観することにしたが、そろそろ進展することを願っていた。



※※※



セルラインが出発してから一週間が経過し、計画通りに第一特務部隊と合流したという電報が届いた。


さすがにセルライン一人というのは大変だから隊員の中でセルラインを崇拝している者を見繕って同行させている。


彼らはセルラインのために動くことを信条としているから第一特務部隊にいるセルラインをものにしようとしている男から命をかけても守る。


セルラインが乗る馬車の周りを馬に乗って移動しながら護衛をする。


「セルライン様を指名ということは美貌に目が眩んだ不届きな男である可能性がある」


「うむ、気を引き締めて護衛に当たれ」


「「「はっ」」」


「そして第一特務部隊の連中にも気を許すな」


「さきほどの休憩中に近づいてくる影を三名確認しました」


「髪の毛一筋たりとも連中に許すな」


「「「はっ」」」


移動している間にも隙を見て第一特務部隊の軍人は近づいていた。


軍人同士の乱闘はご法度なため牽制するだけに止めていた。


「ワルナー様が娶ってくれたら安心できるんだけどな」


「それは無理だろう」


「拗らせに拗らせたからな」


セルラインがワルナーに恋心を持っているのは知っているから早く結婚して欲しいと願っていた。


そのために動いたこともあるが、成果は芳しくなかった。


今回、彼らには隊長から別の任務が追加で言い渡されていた。


「さて、三日後には中継地で宿泊だ」


「手順は計画通りに」


「「「はっ」」」


遅れることなく中継地に着くと野営の準備を始めた。


馬車で移動していたセルラインは疲れというものはなかったが、上が休まなければ下が休めないということは理解している。


早々にテントに入った。


「なっ!どうして!ワルナー様!?」


「私も成人の儀に参列しなければいけないのでね。警備の面から同行させてもらうことになってね」


「一言もおっしゃらなかったじゃないですか!?」


セルラインに内緒でワルナーを同行させて戻ることのできないところまで隠すことという指令だった。


それは成功し、ここでワルナーを一人掘り出すこともセルライン一人で別ルートを進むこともできない。


「まさかセルラインがイルスラナ公国に行くとは思っていなかったからね。また別のところに潜入捜査に行くのだと思っていたからね」


「それもそうですね」


「今日はもう休もう」


「懐かしいですね」


「うん?」


「こうやってワルナー様に腕枕をしていただくの」


押し問答をしても仕方ないとセルラインは諦めてワルナーと同じ寝袋に入る。


何度も一緒に寝たから恥ずかしさというものは互いに持っていない。


「お望みなら何度でもするよ」


「それは嬉しいですね」


いつもなら軽く受け流すセルラインの純粋な言葉にワルナーは眠れない夜を過ごすことになった。


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