第04話「謁見そして女神降臨、エリアス、エリザベートは俺の嫁!?」(前編)
今回は二万文字を目指して書いたのですが、若干届かずあと九十文字で二万文字達成! とはならなくて、キリが良い所で切ったら一万九千飛んで十文字でした。
因みに、今回は本当に長くなりそうなので、前編と後編で分けさせて頂きましたのでご容赦下さいませ。
あと、毎回読み難い文章かも知れませんが、読んで頂ける方が居る限り書き続けられたらと思っていますので、今回も宜しくお願い致します。
さて、俺達は今現在シェリーさんの案内で謁見の間に向かって歩いている訳だが。
謁見の間に、向かって歩いている最中に、ふと一つの疑問が湧いてきた。
俺達が、皇城に到着し先程までいた待合室に到着したのが、十時五十分頃と仮定する。 その後、お茶の用意などをしてもらい、あの電子レンジサイズの魔晶石時計を部屋に、持って来たのが、十一時二十三分頃で、俺が時間を確認したのが十一時二十五分。
それからシェリーが、俺達が居た部屋に皇王陛下との謁見が可能になったと知らせに来たのが、十三時二十八分で部屋を出たのが昼飯抜きの十三時三十分この間約二時間と少しを、ただ待たされ続けたのだが、普通なら俺達の立場的なモノを考えれば到着後直ぐにでも、謁見となるのが通常であろうと考えられる。
別に、謁見の間に向かっている間に推理小説の様な事を考えている訳ではないが、余りにも待たされた感が強いので、単純に公務が片付かなかったから長く待たされたと言えば納得もするが、エリザベートかを聞き騎士団を魔の樹海へ俺達を捜索する為に派遣をし、その後に発見し現在に至るという訳だが、どうも腑に落ちない部分が在るのは確かだし、ここは皇王陛下の為人を確認する必要があると思い、俺はシェリーに声を掛けた。
「シェリーさん、エリザベート様、少し待ってもらっても良いですか? そして宏明、豊、武志とカミューにミュアも、話があるから俺のところへ来てくれ」
「はい。畏まりました」
「何でしょうか? 皆様でお話があるのですか?」
「ええ、エリザベート様には、申し訳ないのですが少々お時間を頂けますか?」
「分かりました。このままお待ちしてますね」
「申し訳ありません」
俺が、そう言うと三人が口々に、何かあるのか? と言った具合の言葉をそれぞれ口にしながら俺の側まで寄ってきたが、カミューとミュアは何も言わずに俺のところへ来た。
「政和、なんだ話でもあるのか?」
「なんでしょうか? 政和」
「話って何だい?」
「悪いが、みんな耳をかせしてくれ」
と、俺が小声で五人に言うと、それぞれ頷き顔を寄せてきたので、話を開始する。
「で、話しと言うのはだな、俺達が皇城に到着してから皇王陛下との謁見が可能になるまで、いやに待たされたと思わないか?」
「そうじゃの、確かに儂らの立場を考えれば、皇城に到着後そのまま謁見となってもおかしくはないのぉ」
「ですね。確かに宏明の言うと通りかも知れませんが、皇王陛下の公務が忙しかったと言う可能性もありますから、私には何とも言えませんが結構長く待たされた感はありますよね」
「うんうん、僕もそう思う」
「だろ? だからここは、皇王陛下の為人を確かめる為にもPTを組んでおいた方が良いと思うんだ」
「えっ!? ここでPTを組めるんですか?」
「その話は、本当か?」
「ええっ!?」
「シッ! お前達声がデカイ! いいか? これはお前達の予想を反してPTが、組めるんだよ! お前達も薄々感じていたと思うけど、魔の樹海での戦闘で使った攻撃魔法ってEIONのスキルとそっくりじゃなかったか?」
「そうじゃの……確かに言われて見れば、何となしに頭に浮かんだスキルがそのまま使えたの」
「私も、宏明と同じですね」
「うん、僕も同じだよ」
「だろ? だから普通にPTも組めるんじゃないかって考えたんだよ……で、だ、これからお前達に、PTの勧誘を送るから、そのまま承諾してくれ」
そう、小声で皆に伝えると、五人とも無言で頷いたのでそのまま宏明から順に豊、武志に、カミューとミュアを【PT勧誘】と念じPTへ勧誘していき、全員がPTに参加した事を確認すると、最後にPTチャットを【ボイスチャット】と念じ頭の中で声を出す用な感じで、五人へ声を掛けると一瞬驚いた様な表情をしたので、ボイスチャットでやり方を説明することにした。
『いいか? いまお前達三人には、俺の声が頭の中で直接聞こえる感じで聞こえてると思うが、ボイスチャットへの切り替え方を教えると、頭の中で【ボイスチャット】と念じてみろ、そうするとそのままボイスチャットに切り替わるから、やってみろ』
そう、俺がボイスチャットで説明すると、先程と同じ様に三人が無言のまま頷き、先ず最初に聞こえたのが武志の声だった。
『――僕の声が聞こえてますか?』
『武志の声は聞こえているから大丈夫だ』
『――あーあ、儂の声は聞こえてるか?』
『宏明も大丈夫だ』
『――私の声も大丈夫ですかね?』
『豊も鮮明に聞こえているから大丈夫だ』
『――旦那様これで大丈夫でしょうか?』
『カミューの方もOKだ』
『――ご主人様、私の声も聞こえますか?』
『ああ、ミュアの声も聞こえている』
『しかし、PTを組んでボイスチャットを使うなんて、予想だにしませんでしたよ』
『だろ? まぁこれは基本PTを組んでいないと使えないっぽいけど、PTを組んでいない時はウィスパーが使えるっぽいし、それ以外にも俊政からスマホを受け取っているだろ? それを使えば、メールや電話っぽい事も出来るらしいから、それは後から試そうと思う』
『そう言えば、ここへ転移させられる前に渡されていたんだな……スマホの存在をすっかり忘れていたぞぉ』
『宏明は、物忘れが激しいからな、今度からはきちんと覚えておけよ?』
『政和! 儂はそこまでボケとらん!』
『ボイスチャット状態で大声を出すな! 頭の中でキンキン響くから普通に喋ってくれ』
『おお! すまん』
『解ればいい。取り敢えず下準備は出来たし、ヴェルドラード俺達の声は聞こえてるな?』
『もちろんじゃ。主達の声はきちんと聞こえておる』
『それなら良い。因みにヴェルドラードは俺の使い魔でもあるから、PTに参加してなてもそのまま、ボイスチャットには参加できるから、そこは皆も覚えておいてくれ』
各自が銘々に了解の言葉を口にしたのを、確認し俺はそのまま話の続きをする事にした。
『おし、これで下準備は整った、あまりシェリーさんとエリザベート様を待たせるのは悪いから、話しは終わったと伝えて謁見の間に行く事にしよう』
『そうじゃの』と、宏明が返事をすると他の四人も同じ様に返事をして来たので、エリザベート様に声を掛け此方の話が終わったのを告げた。
「エリザベート様、シェリーさんお待たせしました。このまま謁見の間の向かいましょう」
「分かりました。皆様のお話が終わったのでしたら、父上を余りお待たせするのも申し訳ないので、このまま行きましょうか? シェリー謁見の間まで皆様をご案内差し上げて」
「畏まりました」
シェリーが、返事をすると、俺達もそれに続いて謁見の間へ向かって歩きだす。
因みに、服装はもちろん冒険者風の服装で武器はアイテムボックスにしまっているし、《虹翼の翼》も、消したままである。
『ヴェルドラードは、俺が呼ぶまで暫くの間姿を消しておいてくれ』
『承知した』
ヴェルドラードが返事をすると、虹色の光の粒となって姿を消すと、俺達はボイスチャットで会話をしながら、皇城内の長い廊下を歩いている。
『しかし、謁見が出来るまで、昼飯抜きで二時間以上も待たされるとは、思ってなかったな』
『ですね……公務でなかなか時間が取れなかったと言い訳されてしまえば、それまでなんでしょうけど、何か変な意図を感じますね』
『だろ? 俺は変な横槍が入ったか、皇王陛下自身がわざと謁見を遅らせたかのどちらかだと思うが、普通に俺達をエリアスさんの御子として認識していたのなら、公務を無視してでも、到着後直ぐにでも謁見するはずだと思うけど、他の皆はどう思う?』
『儂は、前者と中者の線が濃厚だと思うが』
『宏明は、そう考えるか』
『武志は、どう考える?』
『うーん……僕は中者じゃないかな?って思うよ』
『ん? その心は?』
『何と無く何だけど、僕達がこの世界へ転移する前にも、何度か《虹翼の翼》を持った者が現れました――謁見しました――よくよく調べてみたら偽者でした――と言うのが何度もあったんじゃないかと思うんだよ……だから今回もそうじゃないかと、適当にあしらったってのが真相なんじゃなかな? って僕は思うんだけど……』
『ああ……確かにその辺は十分に考えられるな……エリザベート様も言っていたけど《虹翼の翼》を持つ者は皇王陛下より厚遇されるとも聞いたし、武志の考えもあながち間違いでは無いと思うけど、皇王陛下は直ぐにでも謁見をしようとしたけど、皇王陛下の近くに居る臣下からの、何かしらの横槍が入った線も捨て切れないのも確かなんだよな』
『まぁ、何にしても、私達は体裁としては良い扱いを受けさせて頂きましたけど、実際は謁見が出来るまで長時間待たされた事には、変わりありませんからね』
『そうだな、実際の話直接皇王陛下と謁見してみないと判らないし、陛下自身と周辺の臣下が俺達をどう見るかに依るな……』
まもなく、謁見の間の前に到着すると言うところで、俺はエリザベート様に声を掛けた。
「エリザベート様、皇王陛下との謁見の際に我々は作法と言うのを全く知りませんので、教えて頂けると助かるのですが」
「皆様は、この国において父上である皇王陛下よりも立場が上になりますので、父上の前で跪いたり、頭を下げる必要は一切ありませんので、そのまま立ったままで結構ですし、服装もそのままで構いませんので、ご安心下さい」
「解りました。では、エリザベート様の仰るとおりにさせて頂きます」
「はい」
などと、エリザベートと会話をしている間に、謁見の間の豪華で重厚な扉の前まで到着すると、スッとシェリーが横にずれると同時に、扉の前に立っていた近衛騎士らしき兵が、声高に『《虹翼の翼》を持つ者、マサカズ・ウチダ様ご一行様おなーりー!』と、俺達の到着を告げると、謁見の間の扉が開かれ最奥の数段高い段に在る玉座に座る皇王陛下と、その両隣には若干小さめの玉座に二人の女性が座っており、俺達から向かって左側の玉座の隣には、二人の皇太子と皇子思われる男子が立っており、更に皇族の居る段下の両脇には大臣と大司教と思われる男性が居並んで居る状況の中、俺達はそのままエリザベート様が先導する形で、皇王陛下の近くまで近づくとエリザベートが小声で『此処でお止まり下さい』と伝えてきたので、その場で止まり俺を中心に横一列に並ぶと、エリザベートは、俺達から向かって右側の玉座に座っている女性の隣に立つと、皇王陛下が俺達に声を掛けてきた。
「此度の来訪誠に大儀である。予がエリュシオーネ皇国皇王チャールズ・フォン・ウォールズ・エリュシオーネである――その方らが《虹翼の翼》を持つものか?」
他の皇族の方々はきちんとしており、特にエリザベートは、皇妃様似だと感じさせられるとの同時に、肝心の皇王陛下を見ると見た目は三十代半ば過ぎに見え、髪型は若干天然パーマが入った短髪で金色がかったブラウン系、眼の色は薄めのブルーと言ったところだろうか? 目鼻立ちは何と無く中世のローマ人的な顔立ちをしているが、服装は如何にも中世のヨーロッパ風で、金糸と銀糸がふんだんに使われた刺繍があしらわれた光沢のある濃いブールーの絹仕立てと思われる服を着、肩からは真紅のマントを羽織っており流石は、大国エリュシオーネ皇国の皇王陛下と言ったところか、指には適正魔法を行使する為だろう。
大粒の魔晶石があしらわれた指輪をいくつも嵌めている皇王陛下は、何とも気怠そうに、右肘を玉座の肘掛けに乗せ頬杖を付くかの様な姿勢しながら、如何にも舐めきった態度で俺達に向かって訪ねる皇王陛下の様子を見て、俺はああ……やっぱり頭から偽者だと思って、舐めきった態度をしているんだなと思い意趣返しとまでいかないが、俺達も適当に返事をする。
「はい。如何にも私を含めてここに居る六名は、全て《虹翼の翼》を持っておりますが、それが何か?」
「ならば、いま直ぐ《虹翼の翼》を見せてみよ!」
「いま直ぐと言われても《虹翼の翼》は、そう簡単にお見せ出来るモノではありませんし、私どもがエリザベート様に聞いたところに依ると、私達の権威は皇王陛下よりも上だと聞きましたし、陛下ご自身がその様な態度で居られる状態で、見せろと言われて簡単に見せる事は出来ませんね」
などと、俺が皇王陛下の怒りを煽るよ様な物言いを俺の左隣で聞いていた宏明が肘で俺の腕をつつきながら、ボイスチャットで訊いてきた
『のぉ政和、皇王陛下の怒りを煽って大丈夫か?』
『大丈夫だって! 無茶な煽り方はしないから安心しろ』
『聖和がそう言うのなら良いが、本当に無茶な煽り方をするなよ?』
『分かってるって、本当に大丈夫だから安心しろって』
『分かった。このまま皇王陛下の対応は、政和に任せるぞ』
『了解』
そんなやりとりを、宏明と交わし一旦ボイスチャットでの会話を終わらせるが、当の皇王陛下は、そろそろマジギレするかも? と俺は思っている。
「予が見せろと言っているのだ! 素直に予の言う事を聞いて見せれば良いのだ! さては、また予を謀るつもりか!? 見るからにただの冒険者風情にしか見えん輩が《虹翼の翼》を持っている訳が無かろ!」
「皇王陛下は、人の善し悪しを見た目で判断されるのですね?」
俺の挑発する様な言葉を聞いた皇王陛下は、如何にも怒り心頭と言わんばかりに顔を真赤にし、近くに居た近衛騎士に向かって大声で『予を謀る不届き者をいま直ぐ引っ捕らえ断頭台へ送ってやれ!』と命令を発した声を聞いた瞬間俺はボイスチャットで皆に警告を発した。
『思っていたより、マジギレするのが早かったか! 皆! 此処の騎士を殺さない様にしろよ!』
『政和だから言ったろ? 皇王陛下を煽りすぎるなと』
『すまん。宏明! 俺が思っていたより堪忍袋の緒が短かったみたいだ』
『まぁ、こうなっては仕方が無いですね……取り敢えず騎士を殺さない様にやってみます』
『豊もすまないな……くれぐれも殺さない様に頼むぞ』
『僕は、なるべく火力を落として対応するから、最悪数日起きない程度に止めておくよ』
『武志もすまない……最悪と言わずに、一日程度で止めておいてくれ』
『宏明は、多分大量に雪崩れ込んで来るであろう騎士の槍は片っ端から切り落として剣も同じで良いから折ってくれ』
『了解した!』
『俺は、臨機応変で動くから、その積りで居てくれ……あとカミューとミュアも対応できるのなら対応を頼む』
『『畏まりました』』
俺がボイスチャットで手短に皆に指示を出し終えた頃に、慌ててエリザベートが『父上!』と止に入ったが、既に遅く謁見の間の扉が開くと同時に、近衛騎士が雪崩れ込んで来るのが見えたのと同時に、多分軍務省の大臣だと思われる人物が、『このっ! 下賎な輩め!』と声を上げながら剣を抜き俺に向かって振りかぶって来たが、その動きは俺が思っていた程速くはなく『遅い!』と言って余裕を持って《虹翼の盾》と《虹翼の剣》出現させ、そのまま振りかぶられた剣がキン! と金属音をたてながら盾にぶつかるが、その勢いのまま剣を受け流しすかさず相手の背に回り込み隙を突いて、思いっきり盾を相手に叩きつけると思いの外盾を叩き付けた力が強かったのか、勢い良く壁へ向かって突き飛んで行き身体が壁に叩き付けられると同時に『ぐはっ』と一言声を漏らすとそのまま気絶し、その間にも魔法省の大臣だと思われる人物が、雷系の魔法を武志へ向けて撃ち放ったが余裕で抵抗され、逆に同系の魔法を撃ち放たれ『うがぁ』と声を発しその場で即気絶させられていた。
その後も幾人もの近衛騎士達が、俺達を取り囲もうとしたが、宏明の《虹翼のツヴァイハンダー》に因って持っていた槍の柄を瞬く間の間にを切り落とされ、他にも槍ではなく剣を手にしていた者達も即根本から折られており、豊の方では《虹翼の弓》に因って肩を射ち抜かれ手にしていた武器をまともに扱えない状態になり、俺達の手に依ってあっさりと鎮圧されると、他に武器を手にした近衛騎士も自分達の最高指揮官が、気絶させられ戦意喪失状態になっている状況でこのまま攻撃しても良いのか迷っている様子だったので、俺が一言大声で『腕に自信がある奴は、掛かって来い! 但し五体満足で居られると思うなよ!?』と叫ぶと、今の状況では無理だと判断したのか、俺達に向かって攻撃をしてくる事は無く、むしろ逆に皇王陛下の方が『近衛騎士なのに、たった六人の賊も引っ捕らえられないのか!』と激昂していたのは言うまでもない。
ようやく俺達に向って来る近衛騎士が居なくなったかと思っていると、突然俺の頭の中で『You Got Mail! You Got Mail!』とメールの着信を知らせるコールが鳴り響き、慌てて【メール】と念じ、送信者と内容を確認すると……な、何と! エリアスからで内容は『政和さんへ、これからそちらへ行くので待ってて下さいね』と書かれており、この場で女神様の降臨かよ!? なんて思っていると虹色に輝く魔法陣が、謁見の間に出現すると同じく虹色に輝く光の粒子が集まりだし、だんだんと人型になりやがて見慣れた人物の姿になるが、今回は一箇所だけ違う事に気が付き、慌てて数え直したが数え間違いではない。
その違っているモノとは、つまりエリアスの《虹翼の翼》の羽の枚数である。
俺の王クラスの《虹翼の翼》で八対十六枚なのだが、エリアスの翼の枚数は九対十八枚なのである。
詰まる事、神の証の枚数であり、いまここに女神エリアス様が降臨したという証なのだ。
俺は、少々気の抜けた感じで、エリアスに声を掛けた。
「エリアスさん……この世界には降臨しないと言う話じゃなかったんですか?」
「最初は、その積りだったんですが……余りにもエリュシオーネ皇王の態度が酷かったので、つい降臨しちゃいました……テヘペロ」
「つい降臨しちゃいました……テヘペロって何処の女子高生ですかぁ!? まぁ俺達も正直言って、皇王陛下の態度には頭に来るものがありましたが、それとエリアスさんが降臨する事に関係があるんですか?」
「もちろんありますよ! 最初から政和さん達が《虹翼の翼》を持っている事を疑って謁見の時間を引き伸ばしましたし、それに態度が余りにも酷かったんで、少々お灸を据える為に降臨したのと、政和さんに伝え忘れた事もありましたので、それも伝えに来たとも言えますね」
「そうなんですかぁ……まぁ……それは良いとして、エリアスさんが降臨したおかげで固まっている方々が大勢居ますよ?」
「あらっ? そうですね……先ずは、気絶や怪我をしている人を治癒してしないとダメですね【エリアヒール】っと、こんな感じで良いですか?」
そう言って、一気に俺達の手に依って怪我を負った者達を治癒し、気絶した者達は覚醒させられている。
「エリアスさん、何かすみません。気絶させたり怪我をさせたのは俺達なのに、治癒を使ってもらってありがとうございます」
「いいえ、少しでも政和さんのお役に立ったのであれば、私も嬉しいですから気にしないで下さい」
「はぁ……そうですか、エリアスさんがそれで良いと言うのであれば、俺には否はないですよ」
「ありがとうございます」
気楽な感じで、俺とエリアスが話をしていると、どうにか自力再起動したエリザベートが、エリアスの巫女として挨拶をしに、俺達の所まで歩いて来る。
「女神エリアス様、此方の現実世界では初めまして。
エリュシオーネ皇国第一皇女エリザベート・フォン・ノエル・エリュシオーネで御座います」
そう言って、両膝を床に着き両手を胸の前で組みエリアスへ頭を垂れた。
「そうでしたね。いつもは貴女の夢の中でしか会っていませんでしたから、此方の世界では初めましてですね」
そう言って優しく微笑みながら、エリザベート様へ手を差し伸べるエリアスさんの姿を見ていると、やっぱりエリアスさんは女神様なんだなと、改めて認識させられた。
「此度のマサカズ様達への、父上の数々の非礼なんとお詫びしていいのか判りません。エリアス様からの罰は父上を諌められる事の出来なかった私にも非があり、父上と私を含めて如何様にも受ける所存で御座いますので、他の者達への罰は何卒ご容赦下さいます様心よりお願い致します」
「確かにエリザベート、貴女は皇王を止める事が出来なかった事には、非があるかと思いますが、その事については、私は貴女を罰する事はしませんが、貴女の父は政和さんへの数々の非礼は罰する事に値しますが、今回は私が貴女の父を罰する事を決めるのは、政和さんに任せる事とします」
「って!? エリアスさんまで俺に丸投げですか?」
「ええ、判断に困った時は政和さんへ政和さんへ丸投げするというのが、レギオンの暗黙の了解ではありませんでしたっけ?」
「あぁ! いまそれを持ち出しますか?」
「政和のぉ、エリアスさんの頼みだ利いてやれ」
「私も、宏明の意見に一票を入れますよ」
「うん、僕も同じく一票」
「だぁぁ! エリアスさんからの頼みですし、分かりました……陛下への罰は追って沙汰を出しますが、いまこの場でって事は無しにして下さい」
「ええ、構いませんよ。エリザベートの父への罰は准神としての政和さんにお任せします」
「へ!? 何かいま聞き慣れない呼称で呼ばれた様な気がしますが、俺が准神って何ですか?」
「政和さんへ伝え忘れたと言うのは、その事です」
「准神の話って、凄く大事な事じゃないですか! エリアスさんにしたらポカり過ぎですよ! と言うかもしかして……こうなる事が最初から分かっていて話さなかったって事は無いですよね?」
「あらっ? やっぱり政和さんには隠しきれませんでしたね……だって隠しておかないと政和さんに逢いに行けないじゃないですか?」
「気のせいか、何か会うの字が違っているような気がしますが、取り敢えずは、俺が准神だって話でしたよね? その事を話してもらえませんか?」
「はい。先ず政和さん、ご自分の《虹翼の翼》を広げて羽の枚数を数えてみて下さい」
「分かりました。自分の《虹翼の翼》を広げて羽の枚数を数えれば良いんですね……ん?八対十六枚の王クラスですね……って!?……えぇぇっ!?」
俺は自分の《虹翼の翼》羽の枚数を数えて、この羽の枚数が准神の証なのかと恥も外聞もなく驚愕し、驚きの声を謁見の間で上げ……今更ながらシェリーやエリザベートが俺の羽を見て王と言っていた意味がようやく理解できたが、自分でも改めて確認する事無く王の羽だと無意識の中で自覚はしていたらしい。
「うふふ……ようやっと、気が付きましたね――その羽の枚数が准神の証なのですよ」
「ちょっ! 今までの俺の羽の枚数は七対十四枚の公爵クラスでしたよね? それが何故此方に転移した後に増えているんですか?」
「《虹翼の翼》の羽の枚数が増えたのは、政和さんだけではありませんよ? 豊かさん、武志さん、そしてカミューにミュア、あなた達も羽を広げてみてください」
「あ、はい」
各自が返事をしながら、《虹翼の翼》を広げていき羽の枚数を数えていくと一様に驚く様子が見て取れるが、その中でも宏明だけは、今までと変わらず七対十四枚の公爵クラスのままであったが、それに関しては文句は無い様で、極普通にしていた。
「豊さんと武志さんは、侯爵から公爵へ、カミューとミュアは伯爵に陞爵していますが、カミューとミュアは、政和さんの従者である事は、変わりはないのでそのまま政和さんに付き添って下さい」
「「はい。畏まりました」」
「豊さんと武志さんの陞爵は、色々と込み入った内容もあるので、別の場所に移ってからお話します」
「「分かりました」」
「宏明さんは、これからも色々と政和さんの手助けをして頂きたいので、今回はそのままと言う形になりましたが、いずれは……と考えておりますのでその時までは、何かと手助けをお願い致します」
「はい。分かりました……と言うより、儂の場合は今以上の陞爵は望んでませんし、逆に政和を中心に、豊と武志が儂と同列になった事が嬉しいですよ」
「そう言って頂けると、私も助かります」
「ところで、エリアスさん、大分俺が准神と言う神格を得てるという、話から脱線しきっているんですが、その話はいつ詳しく話してくれるんですか?」
「ああ、そうでしたね……その話は一旦場所を変えてから話をしたいと思って居るのですが、先にこの場の収拾を付けてからの方が良さそうですね」
「確かに、今の状態では、どうにも話をする状況ではないですしね……エリアスさんの言う通り先に収拾を付けてしまいましょう」
「エリュシオーネ皇王チャールズ! 先ずはこの場にいる近衛騎士全員を下がらせなさい……そして、政和さん達への数々の非礼をこの場で詫びなさい――その後の話はそれからです!」
俺とエリアスや、エリザベートが会話をしている最中にどうにか再起動したらしい皇王チャールズは、俺達全員の《虹翼の翼》が本物であり最高位と高位の者だと理解し慌てて近衛騎士へ向かって、この場から即下がる様、命を下している。
そして、いままで座っていた最奥の数段高い玉座から立ち上がると、俺達の近くまで寄ると、まるで五体投地をするかの様に、俺に向かって、詫びの言葉を口にしだすと、周りに居た皇族や臣下達も一斉に、皇王の後ろに居並ぶ。
「此度の、私の准神マサカズ様含め他の方々への数々の非礼、ましてや女神エリアス様への非礼は、この身を持ってお詫び致します。この場で准神マサカズ様が断頭台へ行けと命じるのであれば、このまま向かいますので私の家族、臣下に対してはどうか神罰を下さぬ様、臥してお願い致します」
皇王の詫びの言葉を聞きながら、さてどうしたものかとエリアスへ目線を送るとエリアスは、目線だけで『政和さんへお任せします』とそんな感じの目線を送ってきたので今度はボイスチャットで、他の皆にも聞いてみたら、『政和に任せる』の一言で終わってしまい、結局は今回も俺に全て丸投げと言う事になってしまったので、皇王へ罰の沙汰はこの衆人環視の中で下すのも何だと思い、先ずは特定の人物を指定し別の部屋で沙汰を下すと申し付ける事にするか。
「皇王チャールズよ、此度の我々に対する非礼の数々の神罰の沙汰に関しては、この場では行わず、我々が指定する人物を含めた場で、沙汰を下すとするが、それで良いか?」
「はっ! 准神マサカズ様の仰せのままに!」
「うむ。では先ず人物を指名する――皇王チャールズを含む皇王家全員と、大司教、そして我々の六名に女神エリアス様で全員とするが、状況に応じて大臣を呼び付ける事もあるのでその積りで居て欲しい――では、今指名した者達全員をこの皇城の部屋で、会談を設けられる様な部屋へ案内してくれ」
「はっ! 畏まりました――早速ご案内致します」
俺は、普段使い慣れ無い言葉遣いで、皇王に案内を命じると、ボイスチャットで溜め息を吐いていた。
『ふぅ……何でこの俺が、皇王陛下より偉そうな口ぶりで、話をしなければならないんだよ! この状態を長く続けていたらSAN値が思いっきり削り取られるぞ!』
『まぁまぁ、政和もそんなにぼやかないで下さい」
『普段の政和からしたら、完全に似合ってない言葉遣いだったけど、この中では一番格が高いんだから、多少SAN値が削られるのは、仕方が無いと思うよ?」
『儂も、武志の意見に同意じゃの』
『お前らなぁ、そんなに俺のSAN値を消耗させたいのか!」
『政和さんのSAN値が急降下する前にある程度は、准神として慣れてくれないといけませんね……』
『!!』
『その声は、エリアスさん! いつの間にPTに参加したんですか!?』
『うふふ……先程、カミューが気を利かせてPTに誘ってくれたんですよ』
『犯人は、お前か! カミュー!」
『旦那様には、差し出がましい事かと思いましたが、エリアス様が参加されてないのもおかしいかと思い、私の方で誘っておきました』
『確かに、このメンツでエリアスさんがPTに参加してないのもおかしいし、勧誘したことに関しては、何も言わないけど、今度からはそう言う事は、先に言ってくれ』
『はい。申し訳ありません』
『取り敢えずは、皇王の罰の方だけどどうしようか? 俺自身は何も考えてないぞ? と言うより、本気で断頭台に送る気は無いから、なるべく罰としての体裁と、丸く収まる様に話を持っていかないと、駄目だろうな……』
『そうですね……我々に対して散々な暴言と、武力行使がありますからね……それを考えると、生易しいモノでは済まない事は確かですが、上手く丸く収まる方法ですか……』
『いっそうの事、エリザベート様を政和が娶ると言うのは、どうだ?』
『おいおい! 宏明! 話が飛躍しすぎてるっての! 俺がエリザベート様を娶る娶らないは別の話だろ?』
『あら? 意外と面白い話かもしれませんよ? エリザベートは私の巫女でもありますし、政和さんが娶っても何の問題もないと思いますよ? 但し、第二正妃と言う形になりますけどね』
『ん? 第二正妃って第一正妃は誰がなるんですか? まさかエリアスさんがって事じゃないですよね?』
『ええ、第一正妃は、勿論私ですよ?』
『な、な、な、何て巨大な爆弾を落としちゃってるんですか!?』
『政和さんは、いま現在は准神と言う神格を持ってますが、いずれは私と同じ正神になり、最終的には大神になる筈ですから正神の私が、政和さんの元へ嫁いでも何ら問題はありませんよ』
『はぁ!? 何ですか? その正神と大神って……俺ってこのままで行くと完全に人間を辞めてしまう事になりませんか?』
『まぁ、言葉の上ではそうなりますが、別に神の世界にずっと居なくてはいけないって事はないんですよ』
『正神の中では、自分が管理する世界に、普通の人間を装って居付いている正神も居ますからね』
『そんなので、良いんですか? 神の世界って?』
『ええ。昔実在した、大神様などはご自分が創造された世界に、分体を置き定期的に分体と入れ替わって生活されていた大神が居られた事は確かですよ?』
『のぉ、政和よ、もう諦めたらどうだ? 既に准神となった時点で、先の事は大凡解ってるのだろ?』
『まぁな……この世界の事も、全てとまでいかないが大凡の事は、判って来てるし先ずはエリアスさんの管理する世界の問題から、片付けにゃ何も始まらんだろうな』
『だったら、腹を括って、まっとうな神になる為に動いてみればどうだ?』
『そうだな……以前エリアスさんから聞いた邪神って存在が復活するかも知れないって話もあるし、その問題やこのエリュシオーネ皇国内に蔓延っている問題も片付けにゃならんし、やる事は山積みだぞ? それでもお前らは俺と一緒にやる覚悟はあるのか?』
『儂は、この世界に来た時点で一連宅書だと思っておるし、難しい事は政和に丸投げすれば、大概片付くし、一緒に居て飽きが来ないから、儂は一向に構わんぞ』
『私も、宏明とほぼ同じ意見ですし、四十六歳の中年のおっさんのエンジニアがどこまでこの世界の改革が出来るか、見てみたいってのもありますからね』
『僕も、宏明と同意見だし、豊の考えも分かるから、僕もみんなと一緒にこの世界を冒険してみるってのも楽しいかなって思ってる』
『私と妹のミュアは、旦那様の従者ですしこの先もずっとお傍に仕える所存です』
『私は、出来れば政和さんの傍に居たいのですが、まだ正神としての職も残っていますので、時々であれば此方の世界に、降臨できそうですし、早く政和さんの第一正妃として嫁げる日を楽しみにしてますよ』
『政和には、一足先に春が来ている様ですが、我々にはいつ春が来るんでしょうね?』
『全くじゃ』
『うんうん』
三人三様、勝手にボイスチャットで囃し立ている間に、皇王が『此方の部屋になります』と言って、一つの部屋の扉を手で指し示し警護で一緒に付いてきた、近衛騎士に部屋の扉を開けさると、その部屋は巨大な会議室と言って差支えのない部屋で、長大な豪華な長テーブルと同じく数にして五十脚はあるんじゃないかと思える豪華な椅子が並べ置かれている部屋で、俺としてはここまで大きな会議室じゃなくてもと思ったのだが、この部屋は完全防音と盗聴防止の結界が張られており、皇族と女神、そして准神の俺、その他高位の《虹翼の翼》を持つ者としての宏明や豊に武志とカミューにミュアが会して、会談と称した皇王チャールズに因る俺達への非礼に対する沙汰を下す部屋としては、持って来いの部屋という事で俺達とエリアスは納得し、エリュシオーネ皇国の旗が飾られている方が上座と思われるが、そちらの方に俺とエリアスが座り、両サイドに宏明、武志、豊、カミュー、ミュアと座ると、そこから離れた場所に皇王家の面々が座り、下座に大司教が座ると、メイドの達の手に依って、お茶が配られその後は静かに扉が閉じられると、会談の開始である。
「では、この部屋の扉も閉じられた事だし、先ずは皇王チャールズに沙汰を下す前に、大司教殿のお名前を伺いたい」
俺が、下座に座る大司教に向かって名を訊くと、彼はかなり緊張した様子で椅子から立ち上がり自己紹介をし始めた。
「女神エリアス様並びに准神マサカズ様に於かれましては、ご機嫌麗しゅうかと存じますが――」
何気にご機嫌取りとも言える様な口上を述べて来たので、俺は大司教の言葉を遮って言葉を重ねた。
「余計なご機嫌取りはいい! 今は大司教の名を訊いているんだ! 余計なご機嫌取りは必要ない! で、名は何と言うんだ?」
「はっ! た、大変申し訳ありませんでした――わ、私の名はクリスチェン・フォン・オルビーと申します」
「大司教殿も爵位持ちと言う事か……して、爵位は何になる?」
「は、はい。私の爵位は子爵になります」
「まぁ、大司教が爵位を持っていないと言うのも、おかしな話だから、それは良いとして、オルビー大司教に一つ伺いたい。この世界の歴史において、我々の様な高位の《虹翼の翼》を持った者は今迄居た事があるか?」
「いいえ。皆様方の様な高位の《虹翼の翼》を持った者が居たと言う記録は、私が知る限りでは一件もありませんし、今現在までに《虹翼の翼》を持った者は、下位ばかりで皆様と比べる程ではありません」
「そうか……では、訊き方を変えよう。今現在までに下位の翼を持った者で一番多かった者の、最低と最高を教えてくれ」
「はい。私の知る限りですと、最低が騎士爵で最高でも男爵が最高だったと記憶しております」
「では、その者達の功績を教えてくれ」
「最下位の騎士爵の方で、騎士団を率いて他国との戦争に勝利し、准男爵の方と男爵の方は、今現在も大量発生している魔獣や魔物達の半分と行かなくとも、それなりの数を減らしたと聞き及んでおります」
「では、一旦最後の質問となるが、今現在この世界に居る《虹翼の翼》を持つ者は我々以外に居るか?」
「いえ、皆様以外《虹翼の翼》を持つ方は今現在は、お一人も居りません」
「なるほど、分かった。また訊きたい事が出たら訊くが良いか?」
「はい。何なりと」
彼は、そう言って椅子に座ると、着ていたローブの中からハンカチを取り出し、額の汗を拭いお茶を一口飲み一息付くと、座ったまま姿勢を正していた。
「さて、先程の騒動のお蔭で皇王家の方々の、お名前を聞きそびれていたのだが、一応は先ず断りを入れておくが、第一皇女エリザベートは、そのままエリザベートと呼び捨てしても良いかな?」
「はい。構いません」
「では、この場で名が分かっているのは、エリザベートとその父君、皇王チャールズのみで他の方々の名が分からないので、各自自己紹介をしてもらえると助かる」
「先ずは、私から自己紹介をさせて頂きます。第一正妃ダイアナ・フォン・ノエリー・エリュシオーネと申します」
「続いて、私が第二正妃カミラ・フォン・ノエリス・エリュシオーネで御座います」
「第一皇子で皇太子のウィリアム・フォン・ブリッツ・エリュシオーネと申します」
「一番最後の自己紹介となりますが、第二皇子のヘンリー・フォン・ウェール・エリュシオーネです」
取り敢えず、皇王家全員の名前を確認した後、ふと、俺達も正式に名乗っていない事を思い出し、俺達も自己紹介をする事にした。
「この場に居る全員の、名前を訊いたのだが、我々も自己紹介をしておこうと思う」
と、俺が言うと、一番最初に名乗りを上げたのが、エリアスだった。
「そう言う事でしたら、一番最初は私ですね。既に皆さんは私の名前はご存知かと思いますが、改めて自己紹介をしますとこの世界アク・エリアスを管理している女神エリアス・フレイルと申します」
うぇっ! この世界の名前を初めて聞いたけど、一歩間違えれば、某有名飲料メーカーのスポーツドリンクと酷似してるよぉ……と、そんな風に考えているとエリアスの自己紹介が終わったので、俺の自己紹介をする事にしよう。
「いま、この場では偉そうな口を利いているが、それは容赦して貰う事として、私の自己紹介をすると、准神マサカズ・ウチダと言う」
宏明が『次は儂かのぉ?』と言って来たので、俺が頷くと宏明が自己紹介をし始めた。
「儂の名は、ヒロアキ・ジュウモンジと言う、以降宜しく頼む」
「次は僕ですね。僕の名前は、タケシ・コイズミと言います」
「今度は、私ですね。私の名は、ユタカ・カドヤと言いますので宜しくお願いします」
「私は政和様の従者で、カミュー・ロシアンと申します」
「一番最後になりますが、私も同じくマサカズ様の従者をさせておりますミュア・ロシアンと申しまして、兄カミュー共々宜しくお願い致します」
「本当の意味で一番最後の自己紹介となるが、取り敢えず本人から直接自己紹介をさせる。ヴェルドラード! 姿を現せ!」
俺がそう言うと、虹色の光の粒が俺の肩に集まり龍の形を成し、鷹サイズの龍の姿が現れると、俺達とエリザベート以外からは『おぉぉ!』と言う驚きの声が上がると、若干ドヤ顔をしたヴェルドラードが自己紹介をし始めた。
「我の名は虹翼の龍帝ヴェルドラードと言う。主は政和様であり、今の身体の大きさも主の命に依るもので、実際の大きさは三十モートルを超えるとだけ伝えておこう」
そんな感じで、ヴェルドラードが自己紹介をすると、再び『おぉぉ』と驚きの声が上がりそれを聞いた、ヴェルドラードがまたドヤ顔をしているのが、何と無く笑えた。
「一応此方の、自己紹介も終わった事だが、次は皇王チャールズに関しての沙汰を決める事となるが良いか?」
周りを見渡しながら、全員に問いかけると、全員異論は無いらしくただ頷いて了承の意思を示していた。
「我々は、まだこの世界アク・エリアスに来たばかりな上に、エリュシオーネ皇国皇王チャールズの普段の、為人を全く知らない。で……だ。ここは一つ身内贔屓と言うのモノを一切合切取り除いて、皇王チャールズの為人を我々に聞かせて欲しい、それに因って今回起きた我々に対する非を許す事が出来るかも知れないので、本当に助けたい思うのなら嘘偽り無く話して欲しい」
「最初は、私からよろしいでしょうか?」
そう言って一番最初に手を挙げたのが、大司教オルビーで、俺が頷くとまた椅子から立ち上がり、皇王チャールズの弁護を始めた。
「皇王陛下は、我々臣下や臣民に大変慕われており、私どもが運営する孤児院などには、多大な寄付を毎年して頂いており我が国エリュシオーネ皇国では、飢えに苦しむ子供達が大変少ないと言う事はこれは皇王陛下のお力添えが在ってこそだと、我々教会の者は信じております。ですから、マサカズ様に於かれましては、是非とも皇王陛下へのお慈悲を賜れます様、臥してお願い申し上げます」
そう言って大司教オルビーは、五体投地をするかの様に俺への願いとばかりに、頭を床に擦り付けていた。
「大司教オルビーの言い分は、よく分かった。頭を上げて椅子に座ってくれ」
俺が、そう言うとようやく、頭を上げ椅子に座るオルビー。
今度は、オルビーが椅子に座るのを見計らったエリザベートが手を挙げ、私もよろしいでしょうか? と、訊いてきたので『どうぞ』と言い、発言を促す。
「私は、普段エリアス様の巫女をしている関係上、あまり公の場に出る事が少ないのですが、先程大司教クリスチェン様が仰られた通り、父上は教会に多大な寄付を行っている事も存じておりますし、そのお蔭で飢えに苦しむ子供達が少ない事も確かです。父上は先ず第一に臣民達の事を考えそして国や臣下達の事を考え、皇国臣民達が苦しまぬ国づくりをと毎日申しておりますし、母上を含め女性は政に関しては意見は出来ませんが、私からの目から見ても、良き皇王で良き父である事は間違いはありません。ですが、今回マサカズ様に取った非礼は私自身初めて見るもので、何故そう言う事をしたのか私自身も全く判りませんし、逆に私も理由が知りたいくらいです」
『それに関しては、私が説明してもよろしいでしょうか?』と言って、皇太子のウィリアムが手を挙げたので、頷いて説明するのを促した。
「現在各国で魔獣や魔物が大量発生しているのは、既にご存知かと思いますが、実は父上はその為に《虹翼の翼》を持つ者を探しており、見つけ出した者には多額の報奨金を出すとまで、触れまで出しており、それに付け込んだ詐欺師達が、何人も《虹翼の翼》を持つ者だと連れて来ては、報奨金を騙し取ろうと押しかけ、ほぼ毎日謁見の繰り返しで気も参っていたのかも知れません。今回もマサカズ様ご一行様も詐欺師だろうと思ったのでしょう。最初から堕落し舐めきった態度で、高圧的な物言いでマサカズ様ご一行様に対して非礼を働いたと言う事だと思われます」
「なるほどな……そう言う事は我々も、最初から予想していた事だ。だから、敢えて冒険者風の服装のまま謁見の間に入ったし、結果的に言って事態は我々の予想通りに動いた訳だが、今朝、皇城の騎士を動かして我々を捜索したのは、エリザベートの言に依るものか? それともエリザベートが単独で動かしたものかどちらだ?」
「それに関しては、第一皇女として私にも若干数ですが騎士を動かせる裁量がありますので、エリアス様からのご神託を賜った後に慌てて魔の樹海へ騎士をマサカズ様ご一行様の捜索に当たらせ、皇城に戻った後にシェリーを通じて父上にお話をしたのですが、父上は私の話を信じていなかった様で、皆様に大変な非礼を行ってしまったと言う訳です」
「皇王チャールズよ、そなたの娘は私の隣に居られるエリアス様の巫女であると言う事は知っていたのだろ? その娘付きのメイドからの知らせに全く耳を貸さなかった上に、我々に対する非礼の責任は、どうやって償う積もりだ?」
「は、はい。予……いえ! 私の命を持って償いたいと思います」
「父上! それに対しては私にも責があります! マサカズ様! 父上をと言うのであれば、どうか私も父上と一緒にさせて下さい!」
それを聞いた俺は、今迄准神として威厳を持って話をしていたのだが、命を軽々しく捨てると言う物言いには、異様に腹が立ちその場で、大声を出してしまった。
「馬鹿者! 自分の命を軽々しく差し出す様な真似をするんじゃない! 特にチャールズ! お前は何で娘の話を信じなかった? もしも娘の話を信じて相応の対応を行っていれば、我々に対する非礼など起きなかったのだぞ!? しかも自分の娘までもが、自分にも責があると我々の神罰として、命を差し出そうとしているのだぞ? 大切な娘の命まで粗末にするのか!? お前は皇王としては合格かもしれんが、親としては失格だ!! 子がどれだけ親を心配しているのか良く考えて見よ!! それからエリザベート! お前も同じだ! いくら親の為だと言って、軽々しく自分の命を差し出すと言うな!! 人の命は軽いものではない! 二人共今日一日よく考えろ! また明日チャールズとエリザベートから話を聞く! 話は以上だ!」
俺は、そう言い放つと、扉を開け部屋の外に出ると、廊下を歩き外に出られそうなテラスを見つけ、そこで《虹翼の翼》を広げ空へ飛び上がり皇城の適当な屋根の上に降りると、煙草を取り出し何時間ぶりかの煙草を吸い出すと、ボイスチャットで宏明が心配した様子で声を掛けてきた。
『おおい、政和……お前久しぶりに怒りを爆発させたんじゃないか?』
『ああ、そうかも知れないな……』
『ところで、お前、いま何処のおるんだ?』
『皇城の適当な屋根の上で、一服してる』
『もし邪魔じゃなかったら、儂も行っても良いか?』
『ああ、いいぞ……但し俺自身余りにも頭に来て飛び出したテラスの場所を覚えていないから、適当に出られそうなテラスを探して飛び上がってくれば、お前なら余裕で俺の居場所くらい直ぐ見つけるだろ?』
『そうじゃの、分かった。適当に、飛び上がれそうなテラスを探して外に出るから待っててくれ』
『うぃうぃ、了解』
宏明とのボイスチャットを終え、煙草を吸いながら周りの景色を、ぼーっと眺めていると、いま俺がいる世界は、俺達が元居た世界と違う世界……本当に遠くに来たものだと改めて考えさせられる。
もう二度とお袋の顔や妹達の顔に、甥っ子達の顔を見る事の出来ない世界……だからこそ命を粗末に扱う事が無性に許せなかった……この世界でこれからも過ごしていかなければならないのに、何やってるんだ俺って気持ちが湧き上がってくる。
この世界では、やらなければいけない事が山積み状態だというのに、初日で大きく躓くとは思っても見なかった。
さて……この先どうしたものかと考えていると、宏明が俺を見つけ飛んでくるのが見えたので、今迄考えていた事を切り替える。
「おぉ! こんなところにおったのか……随分探したぞ」
「あぁ……お前なら余裕で俺の居場所を見つけられると思っていたから……すまない事をしたな……悪かった」
「いや、それは別にいい、ただお前が怒って部屋を飛び出した事にみんな心配してたぞ……特にエリアスさんなんかは、お前が大声で怒鳴り、怒って話を強制的に終わらせて部屋を出て行った事を凄く心配してたしな」
「そっか……エリアスさんには心配を掛けてしまったな……後からでも謝っておく」
「あぁ、そうしておけ」
「しかし、本当に久しぶりに怒ったような気がするな……」
「そうだのぉ、お前が怒るなんて、ちょっとやそっとじゃないからな」
「いやさ、あの親子が、軽々しく命を差し出すなんて言い出すからさ……それで怒りが湧いてきて、その後はあのざまだよ」
「お前の事を、よく知っていればそんな事は言わないだろうけど、今日出会ったばかりじゃ、お前の事を理解しろって言うのも無理があるな」
「そりゃそうだ! 一日で全ての事がわかる訳じゃない、俺達だってそうだろ? 中学の時に知り合って、高校はバラバラだったけど、大学は一緒で沖田さんに無理やりマイコン研究会に誘われてそれからほぼ毎日お前達と一緒に過ごして、そして就職したかと思ったら、数年後には沖田さんからのヘッドハンティングだし……その後は結構大変で、嫌になる程デスマーチを経験させられ、気がつけば次第に会社は大きくなっていって、俺は部長で豊が副部長と言う間柄になってたし、この世界に来る前に受けてたお前達の会社の案件、アレが終わったら俺達も、子会社だけど社長と副社長として出向くことになってたんだよ……それが、どこをどう間違ったのか、今はお前達と一緒に異世界生活だ――そして俺は俺で皇王と皇女に対して、怒鳴り散らし部屋を飛び出してここで一服してるときたもんだ……世の中何が起こるか、分らないよな」
「そうだのぉ……儂らもエリアスさんのおかげと言っては変かも知れんが、一気に二十歳以上若返って、この世界で第二の人生を再開させたって感じたしの」
「第二の人生って、普通定年後じゃないか? 俺達みたいに四十六歳で第二の人生が異世界でしたってのは無いわなぁ」
「確かに……ある意味、儂らは恵まれているのかも知れな?」
「エリアスさんと言う女神様も居られますしな」
「そう言えば、そうじゃった……と言うか儂は、未だにエリアスさんが女神様だったなんて信じられんのよ……儂の感覚で言えば、EIONでの大切な回復役で、俺達のレギオンのメンバーなんじゃがなぁ」
「まぁ、確かにそれは俺も同じだけどさ……俺はエリアスさんの世界を守ってあげたいって思うんだよ……レギオンのメンバーだとか女神様だとかじゃなく、一人の女性が必死になって管理している世界を、無くさせたくないって俺は思うんだよ……だから俺はこの世界で出来うる限り、頑張ろうって思ってる……宏明はどうだ? それに付き合う気はあるか?」
「そうじゃのぉ……嫌だと言ってもお前が何時もの様に、面白可笑しく引きずり回すんじゃろ?」
「それは、お約束ってやつだろ? 人生面白可笑しくなかったらつまらないモノにしか感じられなくなるからな! だから宏明や豊、武志、カミューにミュア達を面白可笑しい世界へ無理矢理にでも引きずり込んでやるから、覚悟しとけよ?」
俺はそう言って右手で拳をつくり、宏明に向かって突き出すと宏明も同じ様に右手で拳をつくり俺の右手の拳に突き当ててきた。
これが俺達の間の、了承の印でもあり、お互いへのエールの証でもある。
「さて、大分ここで話し込んだしそろそろ戻るかの?」
「そうだな……宏明ありがとうな……お前にも心配を掛けてしまって」
「気にするな……その代わり今度この城下町の中の店で酒を奢ってくれればいい」
「結局お前も酒かよ! 豊にも酒を奢れと言われてるんだよな……仕方が無い、今回だけは酒を奢ってやるから、その代わり飲み過ぎるなよ?」
「はぁ? なんかいったか? 儂の辞書に飲み過ぎるなと言う言葉はない!」
「言っとけ! ボケ!」
お互いに悪態をつくと、ボイスチャットで『これから戻る』と知らせて、宏明が飛び出したテラスへ向けて、屋根から飛び立つと空は茜色に染まり始めており、一瞬綺麗だと感動してしまったのは、ここだけの話である。
さて、今回の第04話 「謁見そして女神降臨、エリアス、エリザベートは俺の嫁!?」(前編)は、如何だったでしょうか? 前書きにも書きましたが、読み難いところが多々あるかと思いますが、これからも『虹翼の翼 ~四人の元おじさんの異世界冒険記~』を宜しくお願い致します。
毎度の事ですが、皆様からのご意見ご感想を心よりお待ちしております。
次回予告
第05話 「謁見そして女神降臨、エリアス、エリザベートは俺の嫁!?」(後編)は、早ければ4月6日12時頃に更新予定ですので、良かったら宜しくお願い致します。
※私のリアル都合に因り、更新が遅くなる可能性もありますので、その際はご容赦下さいませ。
2014/04/03
誤字、脱字修正と、皇王陛下の人物模写の追記に、その他の細かな記述部分の修正と追記を行いしました。
第一正妃と第二正妃の人物模写と第一皇子と第二皇子の人物模写に関しては次回以降で書いていく予定で居ますので、宜しくお願い致します。
2014/04/08
皇王陛下との会話の一部に追記を行い、会話部分以外の登場人物の敬称を削除し大司教の姓名表記の一部で姓表記する所を、名表記になっていましたので姓表記に改めました。
2014/04/20
第07話に合わせて細かな修正を行いました。