第02話「異世界」
今回は前話と比べると、若干短くなっておりますが、他の方が書かれている作品の5~6倍はあるかと思いますので、お暇な時にゆっくりと読んでやって下さい。
エリアスの力に依って異世界へ転移した政和は『いっ、いてて』……と強打したお尻を撫でながら渋面を浮かべていた。
「ったく、何でもっとマシな場所に転移させてくれたかったんだよぉ……急に視界が暗転したかと思ったら、数メートルの高さの所から落とされたんだから、たまったもんじゃないぞ」
と、若干呪詛に似た言葉をエリアスに向かって吐いている政和であるが、決して本意で言っている訳ではなく、高いところから落とされお尻を強打した八つ当たりに近いものだ。
ただ、政和達六人が、転移したエリアスの管理する異世界へ到着したのは、地域的に見てかなり問題のある場所で、本当に運悪く――と言った方が良いのだろうか、本来は目的地である『エリュシオーネ皇国』の近くに転移する筈だったのだが、『エリュシオーネ皇国』の東方、直線距離にして二十キロくらいだろうか?
普通に歩けば四時間、走って一時間半程の距離しか離れていないが、実は政和達が転移で現れた地域に問題があり、普通の一般人は気軽に足を踏み入れる様な地域ではなく、仮に足を踏み入れるとしても冒険者なら、上位ランククラス、皇国の軍隊なら最低でも小隊から中隊規模で足を踏み入れる様な地域であり、簡単に言えば魔物や魔獣がそこかしこで、我が物顔で跋扈し弱肉強食を地で行く様な地域である。
しかも、その地域とは巨大な樹木が鬱蒼と茂る大樹海で、昼間も天空を覆い茂る、巨大な樹木の枝葉に因って周囲も薄暗く、足元は草木の蔦や苔などで歩くにもかなり支障をきたす様な場所に、転移させられ、しかも二メートル程の高さから放り出された政和たちにとっては溜まった物じゃない。
『おぉおい! みんな大丈夫か?』と大声で周囲に居るであろう仲間たちに、政和は声をかけていた。
ガサ、ガサと草木の擦れる音がし、『おお! 儂は大丈夫だぞ』と、宏明が声を挙げながら政和の側まで寄って来ると、政和、宏明共にお互いの違和感を一瞬で感じ取った。
「なぁ……宏明、一つ訊いていいか?」
「おぉ! なんだ改まって、儂に訊きたい事でもあるのか?」
「ああ……俺としては凄くお前に訊きたい事が一つあるんだが、俺から先に訊いていいか?」
「構わんぞ? 儂が答えられることならな」
「それじゃ、遠慮なく訊くが、お前いつア○ラ○スや即効性育毛剤を使った!? 今のお前はどう見ても自毛でしかも外見年齢的に見てかなり若返ってるぞ!」
「それを言うのだったら、政和お前もだ! いままでメタボ気味でたるみ始めていた腹をしていたのに、今は二十歳前後の頃の様な、引き締まった身体つきをしているし、幾分か髪の毛も増えているぞ?」
「はぁ? つまり俺達は異世界に到着早々、肉体的に若返ったって事か? と、言う事はもしかすると年齢も若返っている可能性もあるぞ」
「儂のかなり薄かった、髪の毛が増え尚且つ、外見の年齢も若返っているって事は、お互いにとってもそう言う事なのだろう」
「それよりもだ、豊や武志、カミューとミュアを探すのが先だな」
「ああ、そうじゃな。他のみんなの事も気になるしな。儂はこっちを探すから、政和は反対側を探してくれ」
「分かった。宏明も気をつけろよ? この森、大木が鬱蒼と茂っているから、もしかしたら魔物や魔獣の類が居る可能性が高いから、魔物や魔獣と遭遇しても無理に手を出すなよ?」
「そこは、きっちり弁えている。何か武器になりそうな樹の枝でもあれば、それを使ってでも逃げるから安心しろ」
「それなら良い。じゃ俺はこっちを探すから、何かあったら大声で知らせてくれ」
『了解』そう言って宏明は、政和の反対側を大声を張り上げながら、仲間達を探し始めるのを見て、政和自身も声を出しながら、仲間を探し始めるて暫くするとガサ、ガサ、と草木の擦れる音がして『ご主人様ここに居られましたか』と、安心した声を出したメイドのミュア。
「ミュアか、カミューや他のみんなは見かけなかったか?」
「はい。兄はすぐ近くに居りますが、気を失っていてまだ目を覚ましておりません」
「そうか、カミューは気を失っているだけなら、安心だろう? ミュア自身は怪我とかは無いのか?」
「ご心配あがとうございます。私の方は怪我などは、何一つして居りませんので、ご安心下さい」
「それなら、安心だな? とりあえず今は、なるべくここを動くな。カミューが目を覚ましたら大声で知らせてくれ俺は近くで豊と武志を探してくる」
「畏まりました」
そう、俺はミュアに言い残し、豊と武志の捜索を再開し、暫くすると『主よ! 主の左斜め前の方から魔物の気配がするぞ!』と以前、血と魂の主従の契約をした龍帝バハムート・キングことヴェルドラードの声が頭蓋の中で響き渡った。
「ちっ! まずいな。今は武器すら持っていない状態なのに、ここで魔物と遭遇しても戦う事は出来ないぞ!」
『何、呆けた事を言っておる。ここで戦わずして、危険は回避出来んぞ? 仕方が無い我が呆けた主の為に助け舟を出してやろう! 頭のなかで【アイムボックス】と唱えてみよ。そうすれば解る筈だ』
『【アイテムボックス】だな? 分かった』ヴェルドラードに対しそう答えてから頭の中で【アイテムボックス】と唱えると、左脇腹付近に空間の裂け目の様な物が浮かび上がると同時に、目の前にアイテムボックスの中身を表すイベントリー表示が、展開され武器、防具、ポーション類等が一覧で並んで表示されていた。
「ほぉ! なるほどな……裂け目の中に手を突っ込んで取り出したい物をイメージすれば良いのか。要はEIONのアイテムボックスと同じってことだな? 閉じる時は【クローズ】とでも唱えれば良いのか?」
『流石は、我の主だ! 正にその通りだ』
『よし! 解った!』そう言って頭の中でイメージしたのは、《虹翼の剣》二本と《虹翼の鎧》そして《虹翼の翼》もちろん俺専用だ。
そして頭の中で【キャラクター】と唱え武器と防具に翼の装着をイメージすると、普通の服を装備して居た状態から、一瞬で武器、防具、翼が装備され、いままで着ていた服から、純白の真珠色と言うか光の加減では虹色に輝く鎧姿になり、剣も同じ様な色合いで剣の鍔辺りには、一対の虹翼の翼をイメージさせる飾りが付いているのに気がつき、それと同時に《虹翼の翼》を装備したおかげなのか、自分のステータス的に向上したのが感覚的に解る―――
――そして、俺の左斜め前方に居る魔獣の位置が、感覚的に手に取る様に分かる様になった事には、少々驚かされたが、そんな事に一々驚いても仕方が無いと、気持ちを引き締め、目の前に映し出されているキャラクター画面を【クローズ】と念じ閉じてから、一気に魔獣に接近すると、そこには丁度気を失った武志と豊が寝そべっており、今にも魔獣が二人に襲い掛かろうとしていた矢先だった。
「豊! 武志!」
このままじゃ、不味い! 俺は慌てて二人に襲いかかろうとして居た魔物に対して、大声を張り上げ『ごらぁ!獲物はそっちじゃねえぇ! こっちだ!』と言い放ち、魔獣の注意をこっちに向けさせる事に成功し、その巨体がゆっくりとだが俺の方に振り返る。
だが、その魔獣の姿形が俺達の元居た世界では、絶対に見掛ける事の無い正に異様なモノとしか、形容のし難い姿している事に気付き、その異様さに驚いてしまった。
その姿は、正に大熊だが、何故か頭が二つあり、前足と後ろ足が四本ずつあり立ち上がると余裕で三メートルを超えており、思わずEIONのモンスター、バーサク・ベアーを思い浮かべていた……今俺が居る世界はゲームの世界じゃないが、似た姿をした魔獣が居た事には、正直に驚きを隠せなかった。
もし、今この場で俺が何もしなければ、目の前に居る二人は魔獣にそのまま食われ、無残にも命を失う事になるだろう……そうさせないない為にも、俺は今はこいつを倒す事を先決とする! 俺はそう考え剣スキルの一つ【スラッシュ】をこっちへ振り返った魔獣目掛けて一心不乱で撃ち放った!
ドッカーン! ギャァァァァ!! と、激しい音がしたかと思ったら、魔獣から悲鳴の声があがった。よく見ると左前足二本が今の攻撃で吹き飛び、鮮血をまき散らしている状態であり、バーサク・ベアーは余りもの痛みに、我を失って俺に向かって突っ込んでくるが、俺は素早く右方向に躱しそのまま後ろに回り込み、後ろから二本の剣を使い斬り付け、左右の後ろ足を一本ずつ膝上付近から切断すると、切り口からバーサク・ベアーの血が大量に噴き出す。
この時点で、バーサク・ベアーも、ギャッギャッギャァァァァ! と奇っ怪な悲鳴をあげており、完全に頭に血が登って我を失っているバーサク・ベアーが立ち上がり振り向いた瞬間を狙い剣を心臓目掛けて深く突き刺しそして剣を抜くと同時に、噴水の様に血を胸から吹き出しながらドーン! と音を立てながら仰向けに倒れると、そのまま絶命した。
異世界に来て、初の魔獣との戦闘で若干の高揚感を覚えつつも、今まで実際に剣を持って魔物や魔獣おろか、人にすら危害を加えた事の無い俺が、エリアスさんの頼みと言えど異世界に来て、魔獣と戦って息一つ切らさずにこの場に立って居る事に我ながら驚かされたのと同時に、未だに気絶したままの二人を早く起こして、ここからサッサと移動しないと、バーサク・ベアーの血の匂いを嗅いで他の魔物や魔獣が、寄って来る可能性がある事に慌てて気付く――
兎も角、気を失っている二人を今直でも叩き起こして、直ぐ様この場を離れる事を優先しなければならない。
そう考え俺は、豊と武志の側まで行き、耳元で大きく息を吸ってから『ごらぁぁ! いつまで寝てやがる! さっさと起きろぉ!』と大声を出し叩き起こすと、二人はほぼ同時に跳ね起き、周囲を見渡し何事かと驚き、更に俺の格好を見て驚き『『政和! 何があった?』』と訊いてきた。
俺は手に持っていた剣先で後ろを示してやると……『『もしかしてあのぶっ倒れているバーサク・ベアーを殺ったのってお前?』』と呆けた事を訊いてて来たので、黙って首を縦に振っておいた。
「と、ところで、政和、何気に若返ってませんか?」
「ん? 若返ってるけど? それについては後から話すから、サッサとこの場を離れるぞ! じゃないと俺が殺ったバーサク・ベアーの血の臭いを嗅ぎつけて他の、魔物や魔獣がやってくる可能性が高いからな」
「わかった」
「わかりました」
と、了解の意思を示した二人だが、何とも足元がおぼつかない状態だから、仕方がなく二人に肩を貸し、カミューとミュアが居る場所まで戻ってきた。
「あっ! 旦那様。ご無事でしたか」
「ああ! この通り五体満足で戻ってきたぞ」
「わたしは、本当にご主人様の事を心配したんですよ! 旦那様の向かった先の方からは魔物の悲鳴の様なモノが聞こえておりましたので、本当に心配したんですよ!」
半ば涙目になりながら、抱きつきそうになったミュアを右手で、静止させ『お前な! この状態で抱きついたら、魔物の血がお前のエプロンドレスに着くだろうが!』それを聞いたミュアは慌てて止まり『申し訳ありません』と頭を下げるのを見た俺は『いい、気にするな。お前たち二人に心配をかけたのは俺の方なんだから、今回はお互い様だ』と言って頬を掻きながそう言ってやると、ミュアの表情がホッとした表情になったのを見て、俺は話を続けた。
「取り敢えず、ミュアの件は良いとして、カミューの体の方は何とも無いんだな?」
俺が、そうカミューに訊くと『はい。旦那様にはご心配をお掛けしましたが、私も怪我一つして居りませんので、どうかご安心下さい』そう言って、先ほどのミュアと同じ様に頭を下げた。
「ところで、話は変わるが、カミュー達は宏明を見かけなかったか? 俺と反対方向に豊と武志を探しに出たんだが」
「私達はこの場を一切動いておりませんので、宏明様のお姿は見掛けておりませんが」
「そっか、宏明はどこまで探しに行ったのやら、ここで完全に迷ったら、かなり不味いぞ? しかも武器や防具なしの状態だから、魔物や魔獣と遭遇していなければ良いんだけどな」
「ところで、話の腰を折って申し訳ないのですが、政和がいま装備している武器と防具って、見た事の無いシリーズの様ですが、何か変異でもあったのですか? 色は《虹翼の翼》と全く同じ色合いですし、しかもこの場に存在する事が、すごく変ですよね?」
そう言いながら、豊の悪い癖が出始めたのか、掛けているメガネをクイッと右手人差し指で上げながら顔を寄せ付け、問い詰めモードに入ったのを確信した俺は、やれやれ仕方が無いとばかりに肩を窄め『種明かしをする』と言って、頭の中で【アイテムボックス】と唱えると、俺の目の前に表示されたイベントリーの中から、豊専用の装備に武志専用の装備と二人分の《虹翼の翼》を取り出し、【アイテムボックス】の展開方法と、武器と防具の装備の仕方を説明してやると、二人揃って『『おお!』』とか驚いていており、ついでに、カミューとミュア専用の《虹翼の翼》がイベントリーに存在する事に気が付き、カミューには、サーベルを渡し、ミュアには何本かの投げナイフを渡して、二人にも《虹翼の翼》渡し装備させてやると、何故か感極まったのか、二人して涙を流し『これで旦那様のお役に立てます』『やっとわたしもご主人様のお役に建てる時が来ました』とかなんとか言っている二人を見て気合が入っているのならいいかと、考えを切り替えることにし、宏明の無事も確認しなしなければと、考えていると俺達の居る場所から距離的にそんなに遠くない場所から、ドドーン! と音と伴に地響きが伝わってきたのを感じ取った俺達は、慌てて音のした方向に駆け出して行った。
◇◆◇◆
俺達が、音がした方向に駆けつけると、宏明が丁度一人のメイドらしき少女を背中に庇いながら、狼の魔獣? 魔物? 呼び方なんてどっちでも良い! そんなのから攻撃を避けながら何処から拾ってきたのか分からないが、俺達の腕の太さ程の木の棒を振り回しながら、何とか距離を保っていたが、次第に狼に周りを囲まれ始め、かなり危険な状況になっている事が判り、俺は豊に弓で牽制する様に伝え、豊が一匹の狼の脳天を矢で貫くと同時に【アクセル】使い宏明いる場所まで一気に近づき、そのまま二人を抱えてその場を一時離脱したあと、再度狼の群れに突込み『ごらぁぁ! お前らの的は俺だ!』と大声で煽りながら一箇所に纏めて集めバックステップを二度踏むと同時に雨の矢と氷の矢が、今まで俺が居た場所を含めた範囲に一斉に降り注ぐと、キャウン! キャウン! キャイーン! と悲鳴を上げ始め十数匹程の狼の群れが、ほぼ一斉にバタバタと地に伏す。
「流石に一斉に矢の雨と氷の矢を降らされれば、ほぼ瞬殺だな」
「いえ……どうやらそうでもないみたいですよ?」
と、豊が言い終えると同時に、手に持っていた《龍帝の弓》から矢を打ち放ち、大木の陰に隠れていたウォーウルフの大型版みたいな奴の、右眼を矢で撃ちぬいたが、若干浅かったのか、致命傷とまで行かず、豊に向かって一気に跳躍して来るのをみた俺は、その場で手に持っている二本の剣のうち左手の剣の一本を盾に素早く切り替え【リカバー】を使い豊を庇い、すかさず大声を張り上げて『コソコソ隠れて攻撃しか出来ない小賢しい狼は、俺がサクっとミンチにしてスタッフが美味しく頂きました! 状態にやるぞ!』と、半ば冗談交じりで挑発すると、俺の言っている意味が分からないにしても、その言葉が気に食わなかったのか、狼は巨躯な姿を完全に現す。
その姿は見ためで、体長が約車一台分はあるかと言う巨躯を持った狼の魔獣で、俺がその正面に立ちはだかり、狼を挑発しながら注意を引き続けると、豊も慣れたもので俺の側から駆け足で離れて安全圏内に移動する。
『宏明! 少しは落ち着いたか? 落ち着いたならこいつを装備して、この魔獣退治に参加しろ!』俺はそう言ってアイテムボックスから出した、宏明専用の武器と防具に《虹翼の翼》を放り投げ『装備の仕方はカミューに訊け! 装備が出来たら参戦して来い! そしてミュアは傷ついたメイドの女の子の面倒を見てやってくれ!』と、矢継ぎ早に指示を飛ばすと、今度こそ完全に俺達は戦闘モードに入った。
エリアスさんの管理する世界に、到着して早々魔獣との戦闘になるとは思っていなかった上に、戦闘力が皆無なメイドの少女を庇いながらとなると、若干苦戦する事を考え、なるべく早めにウォーウルフの亜種と言う存在を片付けてしまいたい。
そんな事を考えていると、先にウォーウルフの亜種の方が、いきなり攻撃を仕掛けて来たのを見て取ると、俺達は一気にバックステップで後方に下がり距離をとり、相手の出方を見ながら宏明の準備が整うまで、時間稼ぎに徹する事にした。
俺が、ウォーウルフ亜種を挑発しながら、盾で小突いたり、豊が矢を奴の足元に打ち込んだり、武志は弱めの魔法を適当に打ち込んで、足止めを行い宏明の準備が整うのを待った。
本来は、エリアスさんみたいな、回復役が居ないのはちょっと痛いけど、このまま何もしない訳にはいかないし、サッサと倒して俺達も移動を開始しないと不味いな。
「宏明! 準備は出来たか? 出来ているのならサッサと戦闘に参加してくれ!」
「おぉ……すまん。今からそっちに行く」
「おっし! 今回もいつも通りにいくぞ! ただ今回からは範囲攻撃を使う時は注意してくれ! でないと見方を巻き込みかねないからな」
俺の掛け声とともに、みんな一斉に攻撃を開始しだし、俺は先ずお約束の【シールドバッシュ】を叩き込んでスタン化させると、三連コンボコンボを打ち込む。豊は矢に風を纏わせ威力を上げて狼の横っ腹に大穴を開けてるし、武志は若干威力を下げた、氷の矢を打放ってるし、遅れてやってきた宏明は、いきなり雷魔法で動きを封じてたけど、俺がバックステップで回避をするのが遅かったら、確実巻き込まれてたぞ? 後から『エリュシオーネ皇国』に着いたら飯を奢らさせる! だぁ! なんか余計にむかっ腹がたってきた! チマチマやるのが面倒くさくなってきた!
「おおぉい! みんな一回離れろ! 俺が空から一回で終わらす!」
俺がそう言うと、念の為【シールドバッシュ】を入れてウォーウルフ亜種をスタン化させると武器を《虹翼のハルバード》に持ち替え《虹翼の翼》を展開させ、空に飛翔を開始してある程度の高さまで上がったら、一気に急降下をし《虹翼のハルバード》の刃を魔物の首を目掛けて一気に振り下ろし、ウォーウルフ亜種の首を跳ね飛ばすと、ブシャー! と頭の無くなった首からは、壊れた蛇口から大量の水が吹き出すのと同じ様に血が吹き出す!
それと同時に、宏明がウォーウルフ亜種の心臓に目掛けて《虹翼のツヴァイハンダー》を突き刺し、俺に首を跳ね飛ばされ、宏明に心臓を一突きされた巨大なウォーウルフ亜種は、その巨躯から大量な血飛沫を上げながら横倒しになりそのまま事切れた。
巨大なウォーウルフ亜種討伐? を終えた俺達は、宏明が庇っていた少女メイドの近くまで行き、ミュアから彼女の状態を訊くと多少のかすり傷はあるものの、大した怪我は無いと言う事で、俺が『キュア一発で大丈夫だな』と言って彼女の傷の上に手をかざし、【キュア】と頭の中で唱えると、いままであったかすり傷などが全て綺麗に消えてなくなり、おまけであかぎれや、ひび割れまでも綺麗に治ってしまったのはここだけの話である。
俺が治癒魔法が使えるを初めて知ったかの様な、他のメンバーから『政和、もしかして他の武器も完全に使えたりしませんか?』と、豊が何気に自分の使っている《虹翼の弓》を、俺に向かって突き出し『ちょっと試打してみて下さいよ』と、またジト目をしながらで言ってくるので、仕方がなく豊の弓を受け取り何気にその場で思い浮かんだ、魔法【リモート・アロー】を試してみたくなって、いい的は無いかと、周囲を見渡すと何故か一羽の兎が草の陰に隠れているのが見えて、そのまま豊の弓で【リモート・アロー】を撃ち放って、逃げる兎を矢が追い回してそのまま捕獲する事に成功した。
その状況を見た、豊達は三人揃っておれの前まで詰め寄り『政和! あなたもしかして全職カンストしてませんか?』――ドキッ! 『い、いやぁ……そんな事あるわけ無いじゃん……気のせいだって』と、何と無く言い訳がましく取り繕っていると……
「へぇ~……政和あなたは今、弓職しかまともに使えない私の弓で魔法まで使って兎を狩りましたよね? この状況をどうやったら説明出来るんですか?」
「い、いやだなぁ……偶然出来たんだよ! そう偶然にね!」
「偶然で、矢が逃げ回る兎を追いかけまわして狩るって事が出来るんですか? だったら当然私に出来てもおかしくないですよね? ……政和、私達三人に何か隠し事をしてませんか? ……特に全職カンストしているって話とか?」
「だぁ!! 悪かったよ! 白状するから、いい加減纏わり付くな! むさっ苦しくて仕方が無い! そうだよ! 豊の言う通り俺は全職カンストしてる。ただそれだけだ! それ以上でもそれ以下でもない! 何か文句あっか?」
「と言うか、俺の全職カンストの話はもういいだろ? それよりなぜこのメイドちゃんが、こんな魔物や魔獣がうようよ居る様な、森に一人で来ていたのかってのほうが問題じゃないか?」
「確かにそうですね。宏明、このお嬢さんを助けた経緯を教えてくれませんか?」
「そうだの、儂が、豊と武志、それに政和の執事やメイドを探している時に、この娘がさっきの狼どもに追いかけられているのを見掛けて、咄嗟に助けに入ったのは良いんだが、武器や、防具がないのをすっかり忘れていての、慌てて近くに落ちていた一番太そうな樹の枝を、振り回して威嚇しているところを、運良く政和達が見つけてくれて、今に至ると言う訳だ」
「なるほど、そう言う訳だったんですか、で、そこのお嬢さんには我々の言葉は普通に通じましたか?」
「ああ、それは大丈夫みたいだ。儂の背中に隠れるように言ったら、素直に儂の背中に隠れてくれたしの」
「そうですか、政和、ミュアさんに言って、彼女が何故こんな所に居たのか、訊いてもらってくれませんか? 男の私達が訊くより女性のミュアさんの方が、話も訊きやすそうですし、お願いできませんか?」
「分かった。話を訊く前に、ここを移動しないか? さっき俺達が殺った魔物の血の臭いで、他の魔物や魔獣を呼び寄せる恐れがある。それを考えるとここで話を訊くのは得策じゃない」
「そうですね。一旦ここを離れた方が良さそうですね……とその前に確か魔物から魔晶石が取れるんでしたよね? さっきからそこの狼の身体の傷の間から石の様な物が見えるので、それだけでも取り出しておきませんか?」
「今うちなら、多分大丈夫だろう。ミュア悪いけど小型ナイフを貸してくれ」
「畏まりました。はい。こちらのナイフでよろしいですか?」
「ああ、十分だ。ちょっと待ってろ! サクっとバラしてしまうから……ってこの魔晶石結構大きくないか? 俺はてっきり大きくても拳大だろうと思っていたけど、この大きさだと人の頭くらいの大きさはあるな? よし! これでいいだろう? 魔晶石は俺のアイテムボックスにしまっておくから、何かに必要になったり、換金する時は俺に言ってくれ、換金額は頭割りでいいよな?」
「「「異議なし」」」
「じゃ、移動しよう……と言うか、俺としては何処かで血を洗い流したいんだが? ずっとこのままって訳にはいかないしな……ん? ちょっと待てよ」
「政和、どうかしたのか?」
「いや、ちょっとした事なんだが、この場で綺麗になる魔法って無いかな? って考えていたんだが、使えるかわからんが試してみるだけ試してみる。
【クリーン】おっ! 綺麗になった! みんな頭の中で【クリーン】と唱えてみろ! イメージはシャワーだ!」
「おぉお! これは綺麗になるのお」
「うん。確かに汚れも綺麗に落ちている」
「ですね。なかなかいい魔法ですね……こう言うのを生活魔法って言うんですかね?」
「さぁ? こっちの世界に生活魔法なんてものが存在するかは知らんが、まぁ便利な魔法な事は確かだな」
「ミュア、ナイフの方ありがとうな。これ返しておく。流石に血の残ったナイフを返すのは気が乗らなかったから、さっき思いついた魔法でナイフの血も綺麗になったみたいだし、これで安心して返せる。ありがとうな」
「いえいえ、こちらこそご主人様にお気を使わせたみたいで、もう訳ありません。でもちょっとした気遣いの出来るご主人様って素敵ですよ!」
「ったく! お世辞を、言っても何も出ないからな!」
「そうだ、ミュアさっきの俺達の話は聞いていたと思うが、出来れば後で彼女がこの森に一人で来た理由を聞いてくれないか? それに因って何か良くない事が起きてる可能性も無くもないから、その辺も含めて、訊ける様なら訊いておいてくれ。」
「畏まりました」
「そうだ、すっかり忘れてたが、武器の仕舞い方と、装備の仕方を説明しておくから、移動しながら聞いてくれ! 先ず、豊だが、お前は弓だから【ボウオフ】と唱えれば自動的にアイテムボックスに入るし、逆に装備する時は【ボウオン】と唱えればいい。防具は《レザーアーマー》だから後はわかるな? 一応付け加えておくが、魔法を使って脱ぎ着した場合は裸になることはないから安心してくれ、武志は【ワンドオフ】装備は、豊に説明した通りだから、試してみろ! 宏明も【ツヴァイハンダーオフ】で装備も同じだ」
俺も三人に武器と防具の装備の着脱の説明をしながら、武器と、防具を仕舞う事にした。
そして、俺は頭の中で二つの魔法を続けざま唱える【シールド&ソードオフ】【アーマーオフ】すると、盾と剣は光の粒子となりその場から消え去り、鎧は光が身体を包むと同時に、最初着ていた冒険者風の服装に戻り、腰に提げていた金の入った袋をアイテムボックスを開いて、その中に仕舞う。
他のみんなも、同じ様に武器や防具を解除して、政和と同じように腰に提げた金の入った袋を、アイテムボックスに仕舞っていくと、身軽になった分歩くスピードが若干上がり、さっき大型の狼を倒した場所からかなり遠ざかっており、一度周囲を見渡して、周囲に魔物や魔獣が居ないかをチェックして、大丈夫そうなのでここで一旦休憩を取ることをみんなに伝えると、歩きながら集めた枯れ枝を苔むした地面で、火の点きが若干悪そうだが、武志が火の魔法の練習になりそうだと言う事で、指先に火を出し枯れ枝に火を点けていくと、ミュアが自分のアイテムボックスから、高足の五徳を置き、その上に水の入ったポットを置き、お湯を沸かし始めると同時に全員分のお茶の用意をし始め、それを見ていた助けたメイド少女も『私も手伝います』と言ってミュアと揃ってお茶の準備をし始めその間、猫獣人族でもあるカミューが、周囲の警戒に目を光らせていた。
『皆様お待たせ致しました! お茶のご用意が整いました』とミュアの声を聞き、一人ずつ紅茶の入ったカップとソーサーを受け取っていき『お砂糖が必要な方はいらっしゃいますか?』と言う声に、政和以外は全員手を挙げ、これまた一人ずつ受け取っていく、そして和政が、カミューやミュア、そして先ほど助けた少女メイドも一緒にお茶を飲もうと言う提案に、最初はカミューもミュアも、助けた少女メイドも、『一緒にお茶を飲むなんて、出来ません!』と断っていたが、最終的にはカミューとミュアは、政和に依る主命令として、助けた少女メイドは、お客扱いと言う事で一応の納得を得て全員でお茶を飲んでいるのだが、絵面的に何とも緊張感に欠ける感じで、魔物や魔獣が跋扈する森の中で、ちょっとピクニックに来ました。
的な感覚でお茶をしているのだから、なんとも言えない。
和政はお茶を一口、口に含み飲み終えてから、助けた少女メイドに対して何故こんな森に、一人で魔物に追われていたのかを尋ねる事にした。
「先に、俺達の名前を教えた方が、お嬢さんも話がし易いと思うので、先ずは俺の名前ですが、内田 政和と言い姓が内田で名前が政和、こっちだとマサカズ・ウチダと名乗った方が分り易いかな? で俺の左隣に居るのが、角屋 豊、姓が角屋で名前が豊、言い直すと、ユタカ・カドヤで更に左奥に居るのが、十文字 宏明で姓が十文字で名が宏明で同じく言い直すとヒロアキ・ジュウモンジ、一番奥というかお嬢さんの隣に座っているのが、小泉 武志同じく姓が小泉で名が武志、言い直すと、タケシ・コイズミ、そしてお嬢さんの左隣りに座っている猫獣人のメイドは、俺のメイドで名前をミュア・ロシアンと言って更に隣に居るのが、同じく俺の執事で、ミュアの兄で名前をカミュー・ロシアンといいます。これでお嬢さん以外は自己紹介は、済んだよ」
「私の名前はシェリー・フォン・キャメロンと申します。現在はエリュシオーネ皇国第一皇女でもあり、女神エリアス様の巫女でもあらせられるエリザベート・フォン・ノエル・エリュシオーネ様のメイドをさせて頂いております。」
「えっと……名と姓の間にフォンが入るって事は、お嬢さんは貴族の令嬢と言う事ですか?」
「はい。キャメロン子爵家の三女で、行儀見習いで、皇女様のお側でメイドとしてお仕えさせて頂いてます。」
「ところで、シェリーさんは、何故こんな森のなかで魔物に追われていたのですか?」
「昨日の夜に皇女様の夢の中に、女神エリアス様が現れ、一つの神託を下されたそうで、何でも、見た目二十歳前後の黒髪、黒目の男性四人と猫獣人の従者を連れ、尚且つ《虹翼の翼》持つ方々がこの黒の樹海に現れるから、迎えに言って欲しいとそう言ったお告げだったそうです」
「それって、モロ俺達に当て嵌るんだけど?」
「はい。そして今現在私の目の前に、居られるウチダ様が《虹翼の翼》持たれている事は判っておりますし、尚且つ羽の枚数が八対十六枚、国王と同じ枚数でありエリュシオーネ皇国では、《虹翼の翼》を持つ者は、神の御子または、羽根の枚数に依っては神同等とみなされ、厚く遇される事になっておりますので、もし他の方々も同じであれば、同じ様な扱いになりますので、もしよろしければ皆様の《虹翼の翼》を、どうかお見せ願えませんでしょうか」
『俺が《虹翼の翼》隠し忘れていたのだから仕方が無いか、みんな立ち上がって、ある程度幅を開けて《虹翼の翼》展開してくれ!』と、俺が言うとみんな手に持っていたカップとソーサーを地面に置き一斉に羽を展開していくと、何故か豊と武志の羽の枚数が増えており七対十四枚の公爵級に、そしてカミューとミュアは、伯爵級でもある五対十枚の羽を持っていたし、何故か俺も八対十六枚の王級の枚数になっているらしく、何で枚数が増えているのか不思議でならなかった。
それを見たシェリーさんは、何か神々しい物でも見るかの様に、胸の前で掌を組み感激の余りにも、涙を流そそうな雰囲気すら感じ取られた。
「シェリーさん、どうかされましたか?」
「は、はいっ! いえ、皆様有り難うございます。
確かに拝見させていただきました。マサカズ・ウチダ様は国王級であり、エリアス教の中では最高位になられますし、他のお三方も公爵様ですし、マサカズ・ウチダ様の従者の方々は伯爵様であられます。
ここまで高位の方々を、直接目にする事が叶うなんて、私はなんと申し上げてよろしいのか、言葉が見つかりません」
今現在俺達が展開している《虹翼の翼》見て感動の渦に浸りきっている、彼女の容姿は、身長は見ため百五十センチ前後でミュアと大して変わらないくらいだと思える。髪色は薄いブラウン系の髪を後ろで三つ編みにし髪の長さは多分腰くらいまであるだろうか? 顔立ち的に見て十五歳位か? 瞳の色は碧眼で若干そばかすが目立つような感じで、顔のパーツは小ぶりな感じで、服装はクラシックのロングのブラウン系のエプロンドレスで、身体つきを見ても、きちんと出るところは出るで引っ込むところは引っ込んでいるので、これまたミュアの体型に近い感じかもしれない。
そして頭の上にはお約束のカチューシャを、付けており、中世のイギリスの様にキャップを被ってといった感じじゃない事に、俺としては多少なりと安堵しましたよ……でもキャップスタイルも悪くないなと思っている俺が、ここに居たりするわけなんですけどね。
「ところで肝心な事を訊き忘れてたけど、ここまでと言うか、よく俺達の居る場所がわかったというか、多分魔物に追われている時に、偶然宏明に発見された感じなんだろうけど、ここまで一人で来たとかじゃないよね?」
俺はそう訊くと同時に《虹翼の翼》の展開を解き翼その物を消すと、他のみんなも同じ様に展開を解き翼その物を消していった。
「はい。最初は皇女様とご一緒に魔の樹海まで来たのですが、皇女様を魔の樹海へお連れするのは、余りににも危険が伴いますので、護衛を残して私と一個中隊二十五名の騎士の方々と一緒に探していたのですが、途中で私だけが、はぐれてしまって中隊の騎士のみなさんを探している間に、狼の魔獣に追いかけられているところを、ジューモンジ様に助けて頂いて、その後にウチダ様達に助けられたという訳です」
「と言う事は、他の騎士のみなさんは今もこの魔の樹海だっけ? の中を俺達を探しまわってると言う事じゃない? ……と言うかかなり危険なんじゃないの?」
「はい。ですから早く騎士の皆さんと合流しなければならないのですが、みなさんが何処に居られるのか分からなくて……どなたかが空を飛んで探していてくれたら良いのですが、この黒の樹海は空からでも人を探すのが大変で、煙で狼煙をあげてもなかなか煙も抜けないみたいで、狼煙だけですと気が付き難い様なのです。」
「なるほどね……武志、一発空に向かって【ファイヤーボール】を打ち上げてくれないか? それで気が付いてくれたら、ラッキーって事で、もし気が付かない様だったら、他の手立てを考えよう」
「僕がやっても良いけど、政和だって出来るんじゃないの?」
「確かに出来るけど、俺がやると多分この辺で火事が発生する可能性が高いから、武志に任せる」
「それってただ単に、魔力の調整が下手だからって意味じゃないよね?」
「んにゃ、魔力の調整はこれでも得意な方だから大丈夫なんだけど、俺の場合何故か火力が強いみたいで、俺が【ファイヤーボール】を使うと余計な物まで巻き込む可能性が高いんだよ」
「何かそれ、僕の沽券に関わるような気がしてきたから、僕が打ち上げる!」
「いや、武志の沽券うんぬんは、一旦置いておくとしても、【ファイヤーボール】を打ち上げる際は、上の木々に火が燃え移らないようにしてくれよ?」
「了解! じゃ火力的にはそんな大きくなくて、上空で大きな音が鳴る感じで良いかな?」
「ああ、それで頼むよ」
『じゃ、撃ち上げるよ!』と言って《虹翼の杖を》を持った右手を頭上に挙げると、約十センチ程の炎の玉を上空に向けて撃ち放つと、しばらくしてドーン! と言うよな音がしてその後にパラパラと言う音が聞こえたのは、多分打ち上げ花火をイメージして【ファイヤーボール】を撃ち放った所為かと思うが、細かな事まで気にしたら何と無く負けな様な気がして、ツッコむ気が無くなったのはいうまでもない。
その後、武志が撃ち放った【ファイヤーボール】の音に気が付いて誰か降りて来るだろうと、みんなの意見が一致したため、再度お茶会を再開し、のんびり待つ間に俺と宏明は、みんなから少し離れたところで、一服をしている時に、上の方から『シェリー殿! お怪我などはありませんか!?』と言う声が聞こえ、上空から一人の騎士が翼をはためかせながら降りてきたが、シェリーさんの顔見知りだったのか『はい。怪我などは一切なく、あちらに居られるマサカズ・ウチダ様の治癒の魔法に依って、かすり傷などは綺麗に治して頂きましたので、ご安心下さい』そう言って煙草を咥えていた俺の方を笑顔で掌で指し示した。
「失礼します! シェリー殿の傷を魔法で治療したと言うのは、本当でしょうか? もし本当であるのなら大変失礼なお願いだと重々承知しておりますが、出来ましたら女神エリアス様の御子であらせられる証拠をお見せ頂けませんでしょうか?」
内心またこのパターンかよと、思いつつも疑われたままで居るのも癪に障るので、吸っていた煙草を焚き火に放り投げると、みんなを呼び俺を中心に等間隔に並ぶと、一斉に《虹翼の翼》広げると、それを見た、シェリーさんの顔見知りの騎士が、慌てて跪き『大変失礼いたしました。此度のご無礼平にご容赦下さい!』謝罪してきたので、俺は『役目上仕方がない事ですから気にしないで下さい』と言って頭を上げさせると、自己紹介をしはじめた。
「私は、エリュシオーネ皇国軍第一騎士団所属第二中隊長のユアン・フォン・ローナンと申します」
「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。俺の名は、マサカズ。マサカズ・ウチダと申します。そして俺の左横に居るのが、ユタカ。ユタカ・カドヤで、その隣がヒロアキ。ヒロアキ・ジュウモンジ、更にその隣が、タケシ。タケシ・コイズミで、今度は俺の右隣は俺の従者で、カミュー・ロシアンとその妹のミュア・ロシアンです」
そう、先ほどシェリーさんと同じ様に銘々に名前を呼び上げて、頭を下げさせと、彼もまたそれに合わせて、深々とお辞儀をし、俺達に対して敬意を払っている事が判った。
「ところで、あなたも、シェリーさんと同じ様に名と性の間に『フォン』が入ってますが、やはり貴族の出ですか?」
「はい。私もシェリー殿と同じく子爵家の次男で、将来は分家として家を立てる予定になっております」
「なるほど、そういう事ですか、シェリーさんとは顔見知りの様ですが、俺の予想では、お二人は将来を既に誓い合っている仲とか?」
「い、いえ! 滅相もない! 確かにシェリー殿は、綺麗で可愛らしい女性ですが、私などとは不釣り合いですので!」
あちゃー……彼の言葉を聞いて、シェリーさんは顔を覆い隠しながら、耳までも真赤になっているから、お互いにまんざらなんじゃないかな? と思うけどこればかりは神のみぞ知るってやつだから、俺には、どうしようもないな。
「と、そう言えばエリュシオーネ皇国の皇女様が、この樹海の入口付近で待たれてるんですよね? あまり長居をして良い場所でもないので、早めにここを離れた方がいいかもしれませんよ? ……近くに魔物の気配があるので、この場で倒してしまっても良いんですが、あまり皇女様を待たせるわけにもいかないでしょうし、ここはさっさと離脱してしまいましょう。ミュア! 悪いけどシェリーさんを抱えて先に上空に上がっててくれ。俺達も後から直ぐ行くから上空に上がったら、俺達の居る場所から余り離れない位置で上空待機しててくれ」
「畏まりました」
「カミューもミュアと一緒に上空待機な」
「畏まりました旦那様」
「それから、ローナンさんも、俺の従者と一緒に上空に上がって下さい」
「ウチダ様、もし何でしたら私も一緒にお手伝いさせて頂けませんでしょうか? それから呼び方はユアンと呼び捨てて頂いて結構です」
「なら、俺もマサカズでいい。で、魔法はなにか使えるのかい?」
「はい、マサカズ様。魔法は土系が少々使えますが、威力は然程強くありません」
「土系なら、穴を掘ったり、壁を作ったり、土塊を飛ばしたりは出来るかい?」
「その程度なら出来ます」
「なら、大丈夫だ! 俺が指示を出したら、それに従って動いてくれれば良いから」
「分かりました」
「それじゃ、首を長くして待っている皇女様のためにも、サクっと終わらせて上空に上がるぞ!」
そして俺達は各自装備を瞬時に、装着すると、魔物が近づいてくるのを待つと、出てきたのは二つ首のオーガ系の魔物で体長は二.五メートル程のやつが約三匹で、俺達の姿を見ると、俺達の胴回りの倍はあるんじゃないかと言う、棍棒を振り回しながら、ドッシン! ドッシン! と大きな足音を立てながら駆け寄ってきた。
即座にユアンに指示を出し、オーガの足元に大穴を掘らせ足止めをさせる作戦に出たが、彼の魔力が弱かったのか、片足一本分くらいの穴しか開かず、二匹は一時的に足止めが出来たものの、一匹はそのま俺達の方に突進して来たのを確認し、サイドスステップで横に逃げ、《虹翼のハルバード》を使って、先ずはすれ違いざまに片足を切り落として、バランスが崩れたところを、宏明が続けざまに、反対の足を《虹翼のツヴァイハンダー》で切り落とし、切り落とされた足から、大量の血を吹き出しながら腕だけで、巨大な棍棒を振り回しながら、まるで匍匐前進をするかの様に俺達の近くまで這い寄って来たので、豊に指示を出し、両腕を矢で縫い付けてもらい、その後は武志の氷塊の矢で二つの頭を吹き飛ばして、止めで宏明がスッこけているオーガの背中から心臓を一突きして、一匹は終了!
最初の一匹が息絶えた頃に、残りの二匹がユアンが掘った穴から這い出てきて、最初の一匹目と同じ様に巨大な棍棒を振り回して駆け寄ってくるのが見えたので大声で『ごらぁ! ボケオーガ! 的はこっちだ!」と挑発しそれに、上手く乗ってきた二匹目を、俺の後方で待機していた、豊と武志が共同で、オーガの二つの頭にある一つ目を潰すと、ギャァァァ! 悲鳴を上げながらそのまま突進して来る二匹目のオーガをサイドステップで躱し、二刀に瞬時に持ち替えた俺と、宏明が背中からオーガの心臓目掛けて剣を突き刺し剣を一気に引き抜いてから、続けざまに豊が風を纏わせた矢を血が吹き出す傷口に向けて矢を放ち、オーガの胸に何本もの矢を突き立て、武志は宏明のやったオーガの傷口目掛けて氷塊の矢を打放ち同じ様に胸に大きな風穴を開けると、《虹翼のハルバード》に持ち替えた俺と、宏明が最後の止めで、オーガの二つの首を切り落とした後に最後の三匹目が、棍棒を振り回しながら、俺に突進して来たが、そのまま《虹翼の翼》を展開し上空に飛び上がり、《虹翼のハルバード》で、横一閃でオーガの二つの首を跳ね飛ばすと同時に、宏明がこれもまた袈裟懸けで一閃しそれで終了し、三匹のオーガを狩り終わるまでの時間はおよそ十分掛かってないかと思われる。
「おーい、ユアン! オーガの魔晶石って何処にあるんだ?」
「オーガは、確か胸の心臓近くに魔晶石が在ったはずです」
「了解! ユアンは最初に倒した奴の魔晶石を取り出してくれ! 俺と宏明で、残りの二匹の奴を取り出す」
「わかりました!」
俺と宏明は、自分の剣を使って心臓付近にある魔晶石を取り出しにかかるが、結構胸のあたりもグチャグチャになっていて、グロい光景が目の前で展開されていたけど、それを気にしたら負けだと思い、ムカムカする胃をなだめながら、《龍帝の剣》を使って大穴の空いた心臓が在っただろうと思われる付近から、自分の拳より少し大きいくらいの魔晶石を取り出し、一旦アイテムボックスに放り込み【クリーン】頭の中で唱えて鎧や剣についた血糊を落としてから、【ソードオフ】【アーマーオフ】と同じく頭の中で唱え冒険者風の服に戻すと、ユアンは取り出したばかりの魔晶石を持ってこっちへ走ってきた。
「おい、ユアン! まだオーガの血糊すら落としてなかったのか……」
「はい、申し訳ありません。この近くに川や水場になる様な場所がなく、洗い落とす事が出来ないのです。
ところでこの取り出した魔晶石はどう致しましょうか?」
「その魔晶石は、ユアンにやるから売るなり、自分で加工に出すなりして好きに使っていいから、その前にもうちょっと近くまで来てくれ」
「しかし……」
「しかしとか、御託は良いから血糊がべったりついた装備は傷みやすいんだぞ! 騎士をやってるのならそれくらい知ってるだろ?」
「はい。知っていますが、近くに水場がないもので……」
「あぁぁ! もぉぉ! お前は手の掛かるお子ちゃまか!? 【クリーン】ほい終わり! 自分の剣や装備をよく見てみろ?」
「あっ! あれ? 今までオーガの血糊がべっとりとついていたのに、今は何処にも血はついていませんが、マサカズ様の魔法で私についた血糊を取り除いて頂いたのでしょうか?」
「そうだよ! ほらっ! ぼーっとしてないでサッサと魔晶石を腰の袋に仕舞え! 上で待っている奴も大勢居るんだろ? サクッと終わらせたんだから、さっさと飛翔して上にあがれ!」
「まぁ、まぁ、政和も落ち着いて下さい。ユアンも勝手が分からず戸惑っていただけなのですから、政和がカリカリしたって仕方がない事ですよ?」
「そうだな……ユアン、すまん」
「い、いえ、とんでもありません。こちらこそお手間を取らせてしまい申し訳ありません」
「政和のぉ、この中では一番上のお前がどっしりと構えてなくてどうする? 上のちょっとした事が下に響くのは、お前だって重々承知してた筈だろ? それを自分勝手にカリカリしてたんじゃ、下の者に示しがつかんだろに」
「すまん……普段の俺らしくなかったな、反省してる」
「と、言う事だ、まだこっちに来たばっかりで、勝手が判ってない儂らにも責任がある、申し訳ない」
「い、いえ、皆様頭をお上げください。このまま皆様に頭を避け続けられると、私もどうしたら良いのか判らなくなりますので、どうかこの場は頭をお上げになって下さい」
「なぁ、政和、これ以上ユアンに迷惑をかける訳にはいかんじゃろ?」
「……ユアン、今回の詫びの印に機会があったら、一杯奢らせてくれ、それで今回の件はお互いに水に流すってことで良いだろ?」
「はい! 私の方はそれで構いません」
「じゃ、決まりな!」
「政和、儂には奢ってくれんのか? 折角儂が仲を取り持ってやったのだから、儂にも奢られる権利はあるよな?」
「宏明な、お前に酒を奢るのとドワーフに酒を奢るのと、変わらないって事を知れよ! まぁ今回はお前らにも迷惑を掛けたし、本当に一杯だけなら奢ってやる、但し二杯目からは自腹だからな!」
「よっしゃ! やっぱりお前は昔から話が解るやつだよ!」
「うっせ! お前は酒だけが目的だろうが!」
「ガハハハハ! よく解ってるじゃないか!」
「ほら、ここでいつまでもウダウダやってると、また別の魔物が来るし、上で長いこと待たせてるんだから、さっさと上にあがるぞ!」
「「「「了解!」」」」
そして、俺達は一斉に《虹翼の翼》を展開し飛翔で飛び上がると、カミューとミュアが待つ上空へ一気のあがっていくと、上空で待機していたユアンの部下の騎士たちが、俺達の姿を見ると一斉に『おおぉぉ!』と声を挙げたのに気が付き、俺達は軽く手を挙げると、更に声は大きくなり留まる事をまるで知らないかの様な、声が挙がっており、このまま放置していたら収拾がつかなくなりそうなので、俺は両手を上下させ、この場は一旦静まらせて、カミューとミュアの側まで行き『待たせた』といって二人を労うと『いえいえ狭間の世界でお待ちしている時より、遥かに短い時間しか待っていませんので気にしておりませんよ』と二人同時に返事が返ってき『そっか、なら待たせた詫びで俺の取っておきの隠し球を見せてやろう』そう俺は二人に告げた。
「血と魂に依る主従の契約に従い、いまここに顕現せよ! 虹翼の龍帝ヴェルドラードよ!」
と、声高にヴェルドラードに命を下すと、純白の真珠の様な輝きを持ち光の加減では虹色に輝く光の粒子が一箇所に集まりだんだんと龍の形になる。
みんなの顔が一様にが驚きに変わり、特に、豊、宏明、武志は、よく知る龍なだけに、頬辺りがヒクヒクと引きつって居るのが、目に入り俺としては笑いを堪えるのが大変だった。
顕現したヴェルドラードは、極特SSS級、龍帝バハムート・キングの時の漆黒の色ではなく、俺との血と魂に依る主従の契約を成し虹翼の龍帝ヴェルドラードと名を改めた事に因って、身体の色が《虹翼の翼》と同じ色になったらしく、見るものを彷彿とさせる美しさと、圧倒的な存在感が流石龍帝だと改め感心させられた。
「主、政和様の命に依り、虹翼の龍帝ヴェルドラードここに顕現せり!」
いつもは頭蓋に響く低い声も、今こうして顕現状態になると、普通の低い声であり、結構渋みのある声なんだなと思い、改めて感心させらるのと同時に、後ろに居た三人から『政和、これはどう言う事なのか、小一時間ほどじっくりと問い詰めたいんだけど』と声が聞こえ、俺は『ん? 普通に俺の使い魔なんだけど』と答えると『んな訳あるかぁぁ!』と三人が一斉に声を挙げたが、スルーに徹して俺はカミューとミュアの側に寄ると、二人にシェリーさんを連れて、ヴェルドラードの背に乗るように伝え、俺も同じ様に背に乗り、他の三人に『お前らは乗らないのか?』と訊くと即座に『乗る!』答えが即答で返って来て、本当に現金な奴らだと笑いを噛み殺すだけで、真面目に腹筋が崩壊しそうになったのは、ここだけの話である。
「ユアン! 皇女様が待っているという黒の樹海の入り口まで案内してくれないか?」
「はっ! 直ちにご案内差し上げますので、我々の後に付いてきて下さい」
「了解」
「それじゃ、皇女様の所まで案内をよろしく」
あれ? いまのユアンの口調は、最初の頃と若干変わった様な気がするけど、俺の気のせいかな? そんな風に考えていると、いつの間にか黒の樹海の入り口付近まで近づいてきたのか、ユアン達が降下し始めたので、それに合わせてヴェルドラードにも、降下する様に伝え、遠くの方に馬車? 豪奢な大型の箱竜車らしき乗り物と、それを取り囲んで護衛をしている騎士の姿が、肉眼でも見える様になったのは良いけど、何か竜車の周辺では、護衛の騎士たちの慌てた様子が見受けられるのは、多分ユアン達の後ろから付いてきているヴェルドラードの姿が、ユアンたちを追いかけて捕食しようとしている魔物に見える可能性があるから、誤解を解く為にも、カミューに先に行って俺達の到着とヴェルドラードの存在を説明する様に指示を出すと『畏まりました。旦那様』と言ってユアン達を追い越して、先に馬車の前に降り立った様だ。
ユアンが、馬車の少し手前に降り立つのを見て、ヴェルドラードにユアン達の後ろに降り立つ様に伝えると、翼を羽ばたかせユアン達の少し後ろに降り立ったのは良いんだけど、ヴェルドラードの羽ばたきで、土埃が舞い上がって凄い事になってしまったが、こればかりは仕方が無い今回は許してもらおう。
「皇女様の所に到着したみたいだから、俺達もヴェルドラードから降りて、ヴェルドラードは腕乗りサイズになってくれ、そしてミュアはシェリーさんを地上まで下ろしてやってくれ」
「畏まりましたご主人様。シェリーさん下まで降りますので、わたしに捕まって下さい」
「はい。分かりました」
先にミュアとシェリーさんが、下に降りたので俺達も《虹翼の翼》展開しヴェルドラードから降りると、さっきの指示通りヴェルドラードは、腕乗りサイズになり、俺の腕をとまり木代わりにちょこんととまっている姿が、何とも可愛らしいが、ちょっと腕に爪が食い込んで痛いので、ヴェルドラードには一旦肩に移動してもらい、そのまま、俺達を待っているであろう姫様の竜車の前まで歩いて向かうと、竜車の前には、如何にも皇女と言える衣服の、一人の少女が立っていた。
年の頃は十六歳か十七歳くらいだろうか? 髪は綺麗な金髪で腰ぐらいまであるストレートで、瞳は碧眼で顔のパーツはシェリーさんと同じ様な感じで小さく綺麗に纏った感じで、身体つきも出るところは出、引っ込むところは引っ込むといった感じで、身長は百五十五センチくらいかと感じた。
「初めまして。私はエリュシオーネ皇国第一皇女であり、女神エリアス様の巫女を務めさせて頂いておりますエリザベート・フォン・ノエル・エリュシオーネと申します」
「初めまして。私の名は、マサカズ・ウチダと申します。そして右後ろにいるのがユタカ・カドヤ、その後ろがタケシ・コイズミ、そして私の左に居るのが、ヒロアキ・ジュウモンジに先ほど先着で到着を知らせに伺わさせたのが、私の従者のカミュー・ロシアンで、ヒロアキ・ジュウモンジの後ろに居るのがカミュー・ロシアンの妹、ミュア・ロシアンで同じく私の従者です。そして私の右肩に乗っているのが、私の使い魔兼従龍で虹翼の龍帝ヴェルドラードです。本来の姿は先ほどお目にされているかと思いますが、今はこうして私の肩に乗っています」
「皆様に大変不躾なお願いなのは、重々承知しておりますが、皆様が《虹翼の翼》お持ちである事は、ここにいるユアンとシェリーから聞き及んでおりますが、出来ましたら今一度《虹翼の翼》を広げて見せて頂けないでしょうか?」
やっぱり、ここでもこのパターンなのね……この分だと城に着いて皇王陛下との謁見の時もやらせられる可能性が高いな……
「分かりました。我々の《虹翼の翼》を、とくとご覧ください」
俺がそう言うと皆は俺を中心に等間隔に並ぶのを確認し、俺が右手を高く挙げると指をパチンッ! と鳴らす。
みんなそれに合わせ一斉に《虹翼の翼》を展開させる。
その場に居た 騎士が一斉に跪き、皇女様はその間も一人一人の翼の数を数え、目を見開き『王、公爵、伯爵』と呟き、本来は女性が跪く事は少ないのだが、突然皇女様がその場で俺達の前で跪き、『これほど高位の方々にお越しいただけるとは、感謝の念に絶えません』と言うと、胸の前で掌と指を組み合わせて、正に神に祈るが如く『どうか皆様が末永くエリュシオーネ皇国に滞在される事を、心より願っております』と言葉を発した。
暫くの間沈黙が続き、俺にもどのくらいの時間が経ったかわからなくなる頃に、ようやく皇女様が立ち上がり、そして騎士達も立ち上がると『皆様、大変お待たせ致しました。竜車にお乗り下さい。只今より皇城へご案内致します』と言い、皇女様が竜車の扉の前まで移動し、扉前で立ち止まると『マサカズ・ウチダ様から順に馬車にお乗り下さい』……要は位の高い順から馬車に乗って、降りる時は位の低い順からって事になるのねと、勝手に予想をして、俺から乗り込み次に宏明、その次が豊、次が武志、カミュー、ミュアの順に乗り込むと、一番最後に姫様が乗り込み一番最後に、皇女様付きのメイド、シェリーが乗り込むと静かに竜車の扉が閉じられると、静かに皇城へ向かって竜車が動き出した。
今回も、長い1話をお読み頂きましてありがとうございます。
まだまだ書き慣れていない部分が多いですが、感想などに良い所、悪い所などをコメント込で書いて頂けると、作者的には泣いて喜べるのですが……。
次話も頑張って書きますので、どうかお付き合い下さい。
次回予告
第03話 「エリュシオーネ皇国」でお会いしましょう。
2014/03/19
皇女のファーストネームを『ベッキー』から『エリザベート』へ、変更させて頂きました。
2014/04/04
政和達が装備する、武器と防具の初期設定名をすっかり忘れていまして……
《龍帝の○○》から《虹翼の○○》へ変更させて頂いたのと樹海の名前を『黒の樹海』から『魔の樹海』変更しました。
2014/04/20
第07話に合わせて、細かな部分を修正を行いました。