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先輩と後輩  作者: 癒輝
2/2

一つ目の顔

先輩には、どうやらいくつも顔があるらしい

「お菓子よこせ」

「あげますけど、食べたら即帰ってください。」

「もちろん目的果たしたら帰るわ。」

「あと勝手に人の席座るのやめてください。」

「じゃあ机座る。」


片やにやにやと笑いながら、方や雪女もかくやと言わんばかりの冷たい目で相対する二人。

しかもここは後輩側の教室。それでもまわりはあせる姿を見せない。


それもそのはず、後輩が入学してから毎日のように繰り広げられているからだ。

先輩はあきもせず後輩をいじりにくるし後輩はなんだかんだでお菓子を用意している。


今日用意していたのはポッキーのようだ。

「んーポッキーうまー」

机に座ると言いつつちゃっかり机に突っ伏している先輩は半目を開けてカリカリとポッキーを食べている。

ぼうっとした気だるげな雰囲気。

その傍らで後輩はパッケージを持ったまま違う席に座ってため息をついていた。

「・・・・あ。」

そんな後輩を眺めていた先輩の口元がにやりと歪む。

「なんすか・・・」

「ポッキーゲーム。」

ポッキーをくわえたままじーっと見つめてみる。

「いいですけど。」

「顔そらしたらまけなー」

半ばあきらめたように反対側をくわえる後輩。くわえたまま動く気配はない。



(こいつ絶対途中で折るよな)

躊躇なく食べ進めていくにつれて後輩が慌て始めるのがわかる。

(近い近い顔近い近い)

(面白いわこいつ)

そんなことを考えつつ残り5センチ。ぴたりと動きを止め相手の目を見つめる。

すると流石にわかったのかゆっくりと食べ進めていく後輩。そんな様子をにやにやと眺めているから先輩の性格の悪さがうかがえる。

そしてポッキーが残り一センチほどのところで後輩の動きがとまる。

(んーどうしようか。)

一応教室と言うこともあり流石に変なことはできないし・・・

そう考えて、前に普通に笑いかけたときに赤面されたことを思い出し、それを試してみた。

意識して、ふわりとやさしく。

「~っ!?」

結果。思いっきり目をそらされた。

(なんだこいつかわいいぞ)

噴出しそうになるのを必死でこらえポッキーを回収してから鼻に軽くキスをした。

「なっ!?」

次は顔をそらされた。

「よし、俺の勝ちだな?」


「あ・・・・ちっ」

顔を赤くさせたまま舌打ちする後輩。

「ちょっ舌打ちするなよな」

それを見てをバンバンと叩いて大笑いをしている俺を横目に後輩は拗ねた顔を隠す。

「あ、隠れた。もっかいしたら仕返しできるかもしれないぞ?」

にやにやと笑い後輩の頭をつつく。こちらの顔をじーっと見つめいた後輩が不意に襟をつかみ引き寄せる。

「んなことしなくても・・・これでできるだろ。」

唇すれすれのところに口付けまた顔を隠す。

(かわいらしー反撃)

そんな後輩の仕返しにさらに追い討ちを駆けるように、耳元に唇を寄せ

「普通にキスしても良かったぜ?」

なんてささやけば後輩は思い切り赤面して拳が飛んできた。

「おまっ、いてぇ、つか、うぇてれすぎっ、げほっ」

むせながら爆笑する先輩を思い切り睨む。

「ばっかじゃないですか!?」


「そーだな、お前に関しては馬鹿になるわ」


「っ!!」


こうやって、また顔を赤くして。

本当に可愛い後輩だ。





~一つ目の顔~





ハイテンションで後輩をいじる、スキンシップの多い人






いかがでしたでしょうか。先輩と後輩、第一話です。

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