倦怠なパーティー
この小説を読んでいただいたこと、心から感謝いたします!
不定期更新の上に更新遅いので、できるだけ優しい目で見守ってあげてください…。
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「……次闘うときは大いに楽しませてくれよ。じゃ、またな」
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「きみは強いから生き残れる。私は弱いから生き残れない。それだけのことだよ…」
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「…ぉーい。おーい。聞こえてますかー?」
「…あー、はいはい」
「今日のレイ、やっぱおかしいよ。折角の誕生日なのに気分悪そうだし」
「頭が痛いっていってるだろ…」
「むー。それはただの頭痛ではない気がピコピコしていたり」
「…………はぁ」
何回目の溜め息だろうか。17歳程度とみえる容姿をもつ少年ルビー=レイは今、原因不明の頭痛に苛まれている。だがそれ以上に、頭痛いから話しかけるなと言ってるのに、お構いなしに喋ってくる左の少女、カイネにやられている。
彼女はレイと同じくらいの身長で、くりりと開いた(言ってしまえば開きすぎた)目、その中で力強く輝くオレンジの瞳孔、腰までかかるオレンジの髪が特徴的だ。因みに年齢も同じ位だ。
この二人は、女王・王子に次いで王に近い存在となる「護衛兵」という位についている。護衛兵とは、国王を護衛するだけの仕事だ。それだけだが、生活は全て保証されている。つまり、普段からあまり仕事がない上に何不自由なく生活できるという、ある意味天国のような役職である。
ただ両者とも、今ここにいる自らに若干の疑問を抱いてはいるのだが。
あと「誕生日」ではない、とレイが引き続き大した効果のない返事を返そうとすると、
「はい、ちょっと静かに」
国王の声が響いた。そのたった一言で、ざわついていた部屋が瞬間冷却されたかの如く静かになる。
ここグリステン王国の国王アフラ。整った顔立ちに鋭く細い目。強く引き締まった口。髪はつんつんとたっている。背は180cmを超えていて、全体的にひょろひょろとしている体つきをしている。この国の女性ほとんどが憧れとするのは、ある種必然的だ。またその容姿があってこそなのか、ぶっきらぼうな性格もプラス要因である…と国の女性は言う。
普段なら王の側近以外は入ることすら許されない無駄にだだっ広い王室に、今は所狭しと王族や兵士、使用人達が軒を連ねている。レイの誕生日(?)パーティーということで、皆統一感のない服装をしている。
ただ集団行動を嫌うレイにとっては、このパーティー自体いい迷惑であり、心の中で勝手にしてろと延々連呼している。
それは王も同じなようで、彼が気怠そうに形だけが整った挨拶をしていると、一つの声がこの妙に沈んだ空間を切った。
「山の恐竜が、ハザーに向かっています!援軍を願います!」
叫んだのは、ハザーという名の町を日々見守っている監視兵だった。
そしてその時、一人の男の目が光った。この空間から逃げれるチャンスだ!と言わんばかりに。
ああみえても王は王だ。そんな一般論が生まれた一つの要因である迅速な判断力をアフラが行使した。
「第三小隊…」
「俺一人でいってきます!」
が、レイのこの場を離れたいという思いが強すぎたようだ。指示は言い終わる前に強制終了を余儀なくされた。
レイは返事も待たず、愛用の中型片手剣をもつや否や、得意の『白い力』を使った。でてきたその炎のような姿の白い光はレイの脚にまとわりつく。そしてその力により、レイは瞬間移動のような高速ジャンプをし、部屋の上方にあるステンドグラス製の窓を抜け、夜空へ消えていった。
叫んでからそこまでの秒数、一秒足らず。
あまりにきれいな流れに、一同は口を大きくあけて唖然とすることしかできなかった。そんな彼の身勝手な姿を見慣れている数人でさえ、やれやれと首を振ることしかできなかった。
酷評でもアイディア的なものでもいいので、とりあえず感想をいただけたら嬉しいです!時間に余裕があるときは、もっと長めの文章も書いてみようかな、と思います。