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プロローグ
ゆうきが双子の兄である、『こうき』について憶えている一番最近の記憶は、丁度一年前の今日、こうきが死んだ日の記憶だった。
その日のゆうきは朝から体調が悪く、親の判断によって、その日一日学校を休むこととなった。
兄のこうきはゆうきに学校に行くことを告げ、家を出た。
ゆうきはベットの上から、学校へ向かうこうきを眺めた。
窓の外のこうきはどんどんと遠ざかっていった。
それが、ゆうきの見た、こうきの最後の姿だった。
やがてゆうきは眠りに落ちる。
そして目覚めると同時に、耳に入ってくる誰かの泣き声。
大人の泣き声だった。初めて大人の泣き声を聞き、ひどく胸騒ぎを覚えた。
一階に降りると、母親が泣いていた。
ゆうきは母親がなぜ泣いているのか聞いてみた。しかし母親はゆうきを抱きしめるばかりで、何も答えてはくれなかった。
その日の夜、こうきが死んだことを知らされた。理由は交通事故。即死らしい。
当日に通夜。次の日には葬儀が行われ、二日後に火葬が行われた。
こうきが死んで数ヶ月は、あまり実感がわかなかった。
もうこの世にはいないと自覚しだしたのは、半年も先のことだった。
こうきが死んでから一年、ゆうきは小学六年生になった。
家族もだいぶ落ち着き、皆で心機一転頑張ろうと誓った。
そんな時だった。ゆうきが“兎の使者”に出会ったのは。




