さんぽ
小道三歩は散歩が好きだ。
今日も今日とて帰ってすぐにランドセルを放り投げ、元気に外に向かう。
「ただいま! 行ってきまーす!」
「おかえり。車に気をつけてねー。行ってらっしゃい」
そうは言っても、一つお姉さんになった三歩。
下級生が入ってきたと言っても、まだまだ落ち着きは無い。
あ、玄関開きっぱなしで出た!
「いち、に、さん!」
三歩の散歩は三歩を元気良く数えるところから始まる。外に出るたびに数えるもので、すっかりと定着している。
三歩はお気に入りのルートがある。
家の近くにある側溝を飛び越えて、畔を歩く。家に生えてる木の枝を一本持って、それを手に持って歩く。
「こんにちは!」
三歩は畔を抜けて、近くの畑にいるおばあちゃんに挨拶をする。すっかりと顔なじみさんで、おばあちゃんの方も笑顔で答えてる。
「ねぇ、おばあちゃんはなにしてるの?」
「んーとね、今は野菜が大きくなるようにしとるんよ」
「そうなんだ! 大きくなるといいなぁ……」
「ふふっ。そうねぇ。大きくなったらまたお裾分けするからね」
「ありがとう! 楽しみにしてるね!!」
三歩は別れの挨拶をして、まだまだ進む。
どうやら今日は川沿いに咲いている菜の花と、堤防の桜を一望出来る橋を渡って、車が通れない方を行くようだ。
危なくない方を行く三歩。賢い。偉い。天才だ。
三歩は桜に手を伸ばして、なんとか触ろうとしている。だが手がたわずに、少しだけしょんぼりしている。
その後すぐに三歩はしゃがみ、何かをしているようだ。すぐに立ち上がり、歩き出す。
あ、こけた。幸いにも大きな怪我は無さそうだ。座ったまま、手をじっと見つめて、泣き出すかと思ったがゆっくりと立ち上がり、そのまま歩き出す。
いつの間にか強くなったものだ。
三歩はその後、奥にある少し細い橋を渡って、帰路についた。
それを見届けた私は、少し急ぎ足で家に入る。
何食わぬ顔でお菓子を用意して、三歩が帰ってくるのを待つのだ。
「ただいま! お母さんみてみて! これ、おすそわけ!」
「おかえり三歩。これは桜の花びら! ありがとう、可愛いね。あとで押し花にしよっか」
「おしばなー? かわいいの?」
「一緒に作ろうね」
「楽しみ!」
三歩の散歩はこれで終わり。




