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 ある日ある朝ある川で、桜の花弁を見つけた。ふとふとこの川の上流を思い起こすも、桜が咲いているような場所は思い出せない。去年にもあったっけなぁ……と記憶を掘り起こそうとするが、去年は忙殺されててあんまりまわりを見てなかったような気がする。

 幸いにも今日は休日だし、動きやすい格好に着替えて車に乗り込む。この桜の花びらがどこから流れてきたのか。それを探しに行くとしよう。

 ずんどこ川の流れに逆らって山に入っていくのだが、途中で道が無くなった。近くにあった道の駅に車を止めてマップを見てみる。どうやら更に山に入って細そうな道に入ると繋がりそうだ。


 マップを見るのもそこそこに、せっかく道の駅に来たのだし、道の駅をみて回る。結構家の近くにあるのにここに来たことはなかったなぁ。

 道の駅の裏に生えている桜達へ集う人と、その頭上にある桜を見ながら、露店で買った美味しそうな肉巻きおにぎりと、豚まんを食べる。こういうところにある食べ物はなんでこうにも美味しいのだろう。少し非日常なのも相まって、いつも以上に地元の豚がおいしく感じる。持ってきたレジャーシートを敷いて、横になる。ここらへんは特に日照時間が短いのか、既に山に太陽が隠れており、少しだけ肌寒い。いくら春と言えど、日がないとうたた寝出来そうに無かった。

 仕方がないので、いちごソフトクリームを買ってきて食べる。旬だし、地元のいちごを使ってるよ! とアピールしてるだけあってとても美味しい。

 と、ソフトクリームを食べてる時に本日の目標を思い出した。

 そういえば川に浮かんでた桜の花びらがどこから来たのか調べるのだった。


 思い出したし、すぐさま道の駅を出た。さっきマップを見た感じ、道の駅を出て次の交差点で右折したら川に繋がる。そのまましばらくは川に沿って行けそうだが、そのあとは未知である。

 しばらく走ると、右折地点が見つかり右折する。すぐに窓を開けると、車のエンジン音に紛れて川のせせらぎが聞こえてくる。どうやら目論見通りいったようだ。

 後続に車がいないことをミラーで確認しつつ、ゆっくり走る。今のところ桜は見つからない。更に川に沿って車を走らせる。未だに桜は見つからない。そうして、川に沿わなくなってしまった。ここまで来たけど、見つからなかったし帰ろうかと、離合スペースのような場所で転回しようとした時、川の反対側に登山口と書いてある看板を見つけた。

 もしかしたらあれに入ると桜を見つけられるかもしれない。だが、今日はもう日も暮れて来ているし、帰ろう。またマップを確認して登ってみるかを決めようと、そう思い転回して帰った。


 帰ったら早速さっきの登山口が川とどうなってるのかを調べた。

 すると、川の上流の一本と繋がっていることを発見。マップでは、川とも合流し、しばらくそのまま伝える事が分かった。早速登山準備をした。

 ただ、次の休日は一週間後だ。道の駅の桜は満開といったところで、一週間後にも咲いているかは分からない。でも、どうにも好奇心に背中を突き飛ばされて、登山する決意をした。

 登山なんて学生の頃ぶりで、とても心が躍る。一週間後が楽しみだ。

 そんなこんなで一週間。

 通勤路にある桜はまだ少し咲いている程度で葉桜になりかけている。

 家の近くを通ってる川には依然として桜の花びらが流れてきているので、もうそろそろ山の桜も散り際だろう。


 またまたやって参りました登山口。問題は車をどこに停めるかだなぁ。そこら辺に停めるのは離合できないし無理そうだ。

 もう少し行ったところに少しスペースが見えた。あそこだったら停めても離合出来そうだ。とはいえ、いくら車通りが少なそうと言っても、ここに心残りがあるのはなんかこう、もやもやする。

 少し戻ったところに駐車場があったし、そこに停めて行こう。

 車を停めて、一時間程歩いてようやくここまで戻ってきた。

 山を登る前だというのにちょっとだけ気疲れ。でも、ようやく桜が見つかるかもしれない! うっきうきで一歩目を踏み出した。あくまでもこの登山は川の上流にある桜を見つけるためだから、山頂に行くことはないと言い聞かせて登る。


 二十分程登って、予想通り川沿いに出た。でも、この時点でかなり足に負担がある。更に十分ほど登って、ちょっとだけ心が折れてきた。学生の頃に登っていたが、流石にいきなりはきつかったか。肉離れしそうな感覚はないが、かなり疲れが貯まっている感じがある。車までの道も考えるとあと十五分くらい登るのが限界か。でも、そこから十分ついに桜を見つけた。

 桜は一本だけで、そこだけ他の木々がそんなに高くなく、日当たりが良い。ただ、花はそこそこ散ってしまっており、かわりに葉桜が出てきている。

 木々の隙間から漏れ出てくる陽光が心地よく、川のせせらぎも含めて、安心する。一枚だけ写真を撮って、この好奇心の先のゴールにここまで神秘的なものが見れたことが嬉しくなる。

 そうやって、色々と見ていたらふと桜の花びらが川の中にある石にほぼ全部引っかかっていることに気がついた。よくよく考えると、そもそもあの曲がりくねった川を車で二時間もかかるような場所にたどり着くことはないのではないだろうか。……おっとぉ……。

 前提ががらがらと崩れ去る感覚に、再び好奇心が湧いてくるが、今日のところは一旦帰るとしよう。

 あの桜の花びらはどこから来たのか。この謎は来年に持ち越そう。


 そうして、今回の好奇心から来る旅は終了した。また新たに謎を残して……。ただ、あの山の奥に一本だけぽつりと咲いている桜のことは忘れないだろう。また、見に行こう。桜が咲くころに。

 余談だが、筋肉痛が三日ほど続いて、つくづく学生の頃とは違うのだと実感した。

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